風呂場の混合栓というやつを交換しました。
もともと90年ごろのTOTO製がついていましたが、ずーっと湯温調節ノブの隙間から水が漏れていました。これまでこの家は別荘として使っていたので特に問題になりませんでしたが、定住後1年の水道代が思ったより高かった。別荘地の管理人さんはこれはたいした影響はないと言っていましたが、やはり気になるので。これを直すには丸ごと交換しかないという話をチラッと聞いていたのですが、業者に頼むと高く付きそうで、水道代との差額がどんなもんなのかと二の足を踏んでいました。
イギリスでは配管工というのは需要の高い技術職で、英国バブルの崩壊後、シティのビジネスマンが大挙して配管工の資格を取って転職したという話もあるくらいで、まあ、そんな頭があったので素人仕事では難しいと勝手に思っていたのですね。一方でヨーロッパのホームセンターには便器でもバスタブでもなんでも売っていて、家関係は自分で直したり交換する人も多い。で、日本のホームセンターにも蛇口関係は普通に売ってるわけで、自分でやってみることにしました。
カクダイ製の手頃なやつを買ってきてつけたのですが、説明書の表記がややこしい。壁の水道管の先端のネジが切ってある所と本体の間に二本パイプをつけるのだけど、「角度と高さが揃うように一旦ねじ込み、その回転数を覚えておく。そして、シーリングテープを巻き、前回の回転数よりも1回転少ない所までねじ込む」というようなことが書いてあるわけです。まあ、理屈は分かります。で、その通りやったら水もれ。3回やり直しても同じ。ここで頭を切り替えました。説明書の文句を盲目的に信じるのではなく、しっかりねじ込めば良いのだと。「1回転少なく」は要はシーリングテープの厚みの分きつくなるのでマージンを取るということだろう。そして、シーリングテープは1回締めてから逆方向に回して緩めると効果がなくなる。だから、1回シーリングテープを巻いてキツキツの所まで回して(そうすると少し行き過ぎる)、その回転数を覚え、「1回転少なく」にはこだわらず、その手前の角度が合う所までもう1回テープを巻き直してねじ込みました。あと、シーリングテープはネジ込む方向と同じ時計回りで。これはちょっと考えれば当たり前。これでOK、水漏れなし。やっぱりどんなことでも教科書通り機械的にやるのはダメ。自分で考えて失敗しながらたどり着いたことが正解です。
まあ、なんのことやらわからんでしょうが、こういう教科書どおりにいかない微妙なところが技術職が成立するゆえんなのでしょう。
これでメデタシ。お湯も出る。温度調整もOK。さあ、風呂をためよう。
・・・蛇口がバスタブに微妙に届かない・・・。
ここで慌てず、新カクダイの蛇口を取り外した旧TOTO蛇口と交換。こういう所のネジ経が各メーカー共通なのは素晴らしい(レンズマウントを各社変えているアコギなカメラメーカーは猛省してほしい)。業者に頼んだら、多分こういうことはしてくれないだろう。
21世紀製カクダイと20世紀製TOTOのハイブリッドで全て解決↓
日本のメディアはすぐにDIY女子とかってなんでもファッションぎみの趣味にしちゃうけど、これは楽しみでやってるんじゃないくて、使えるものはできるだけ長く使い、自分で直せるものは直すというだけのこと。自省も込めて、こういう当たり前のことを日本人は80年代くらいからしなくなった。みんなが身近なことを自分でやり始めると修理業者が困るかもしれませんが、ネットでちょっと調べれば自分でどこまでできるかとか、修理の適性価格とかがすぐに分かる時代なのだから、今は皆さん色々と同じようなことをしていると思います。
だって、車なんかちょっとしたヘコミですぐ部品交換、10万とかじゃないですか。限りある資源を有効に使おうという時代に、「楽して儲ける」とか「安く作って(仕入れて)高く売る」とかのバブル脳では人類の発展はありません。僕はそういう資本主義に開き直った考えをエラソウに言うヤカラが大嫌いです。目先の利益の追求は最終的には自分の首を締める。そして、「昔はみんなそれくらいやっていた」と脊髄反射的に言う上の世代の人たちの感性からは逆説的に聞こえるかもしれませんが、混合栓くらい自分で交換するのが当たり前というのが成熟した民主主義だと思うのです。
一方で、プロの仕事の質も上げていきたい。「安かろう悪かろう」の正反対の仕事をしっかりするのが当たり前であってほしい。今の日本みたいにプロと素人の境目があいまいなのはダメ。難しいことや質が高くないと意味がないこともいっぱいあるので、素人仕事で済むこととプロにお願いすることをしっかり見極めるのもまた、成熟した消費者の選択だと思います。
ちなみに、僕の車は17万2163km走ってます。
タイミングベルトとかブッシュとか消耗品を交換しながら、ここに来て最高潮の走りになりました。先日やった微妙だけど効果絶大だった整備が、この後輪(駆動輪)の中央のボルトの締め込み。僕は車のメカは詳しくないので何というのか分かりませんが、減速中にヒグラシが鳴くような音が後輪の方から聞こえて来たので、見ると緩んでいたので締めたらすごく調子がよくなった。中央道の上り坂は登坂車線級だったのが、今では時には追い越し車線に進出するほどです。いやまあ、車関係は修理屋さんに頼ることがほとんどですが、こういう微妙な所って、意外と普段運転してる本人にしか分からなかっりするみたいですね(現代的な新車では起きない類のことでしょうが)。
他に最近、素人ながら直して延命させたのは、釣竿、実家のドアノブ、実家のマリーが昔噛み切った電気スタンドのコード、ストロボのFMトランスミッター、レンズのAF切り替えスイッチなど。まだまだ買ってきたものでつけ替える程度のことです。五郎さんにはまだまだですな。
真ん中のこれを締めたら調子がよくなった↓