写像的空間:写真(Street Snap)
2019-02-16T18:25:32+09:00
hoq2
(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。
Excite Blog
Street Snap B&W - 春のめざめ
http://hoq2.exblog.jp/30079395/
2019-02-02T00:10:00+09:00
2019-02-02T00:10:44+09:00
2019-02-02T00:10:44+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Leica M6 TTL Summicron 50mm F2 (4th) Ilford Delta 100 小金井
なんでもかんでもアベのせい。サヨクとかパヨクと呼ばれる反体制派は、安倍晋三という人を買いかぶりすぎている。彼に限らず、日本の政治家には、あらゆることの責任を負えるような強大さはない。「アベのせい」の正体は、戦後の日本を覆ってきたユルーい左右のイデオロギー対立そのものが崩れ去ることへの、戸惑いである。この戸惑う人々は、変化についていけないという意味では彼らが自称する「革新派」とは正反対の「守旧派」である。この国では、リベラルと保守が逆転している。
なんでのっけからこんな政治色の強いことを書いたかと言うと、別に社会派の写真に主旨替えしたわけではなく、近頃ようやく、日本の景気がどん底の暗いトンネルを抜けたことを、街をカメラを手にぶらぶらしていても、実感できるようになったからだ。僕はそれを、アベノミクスの成功の証しと言うつもりはない。でも、僕はこの5年あまり、目の下にクマを作りながら、民主党政権時代にピークを迎えた侘しく味気ない空っぽな不景気な街頭の空気感に、疲れていたのは事実である。そして、最近ようやく、街角に自分が若かった頃の80年代、90年代の充実感が垣間見えてきたことを、素直に喜んでいる。
Canon T90 FD 35mm F2 Ilford Delta 100 新宿
Canon T90 FD 35mm F2 Ilford Delta 100 新宿
Canon T90 FD 35mm F2 Ilford Delta 100 新宿
Canon T90 NewFD 28mm F2.8 Ilford Delta 100 新宿
僕の言う「街角に充実感があった80-90年代」とは、正確には80年代後半から90年代半ば、つまり昭和の末期から平成初期にかけてのことだ。要は自分が写真を始めた頃のことである。その頃から僕は、今と変わらず、白黒フィルムでこのようなストリート・スナップを撮っていた。特に自分が住んでいた東京の街角を撮るのが楽しくて仕方がなかった。当時、僕はサッチャー政権下で景気のどん底にあったロンドンから帰ってきたばかりで、まだバブル景気の余韻たっぷりの東京の賑やかさに圧倒されていた。三脚を担いで夜の街角を撮るのも好きだったが、それは、たとえ誰もいない街角にも、人の臭いが感じられる密度があったからだ。美しいけれど、どこまでも虚ろな、不景気な当時のロンドンとは対照的だった。
Canon T90 FD 55mm F1.2 Ilford Delta 100 新宿
Canon T90 FD 55mm F1.2 Ilford Delta 100 新宿
Canon T90 FD 55mm F1.2 Ilford Delta 100 新宿
そうは言っても、僕はその頃の東京に甘いノスタルジーを感じているわけではない。むしろ、当時の僕は、自分が生きている時代が大嫌いだった。多分、今、タイムマシンに乗ってあの頃に戻ったとしたも、それは変わらないだろう。安定していて賑やかだが、軽くて薄い不真面目な時代。僕はむしろ、不安定で貧しいけれど、激しくて前向きな、その一昔前の時代、60-70年代に青春を過ごした一回り上の世代が羨ましくて仕方がなかった。この感情もまた、今も変わっていない。
Canon T90 NewFD 28mm F2.8 Ilford Delta 400 新宿
Canon T90 FD 55mm F1.2 Ilford Delta 400 新宿
Canon T90 FD 55mm F1.2 Ilford Delta 400 新宿
平成の初めころの僕は、その大嫌いな時代が永遠に続くと思っていた。今にして思えば決して安定した時代ではなかったのだけど、世の中の仕組みがまだ分かっていなかった自分には、目の前の安定はどうせ揺らぐことはないと、拗ねた感情を持っていた。変化に飢えていたので、むしろ早く景気が悪くなれとすら思っていた。そして、生まれた時から何も変わらない自民党政権が変わることなど絶対にないと思っていた。「どうせ何も変わらない」という、その後のどん底の時代とは違う意味での閉塞感が、確かにあったのだ。
何か言いたいのかと言うと、「アベヤメロ」の人たちは、その頃の「どうせ何も変わらない」という子供じみたヒネクレと同様の感情を、今だにベースに持っていると思うのだ。つまり、確たる政治的思想や哲学、経済論に基づいた根拠のあるアベ批判をしているのではなく、要は「飽きた。はよ代われ」というだけのシュプレヒコールなのだ。時代を動かすには、そういう大衆のうねりも必要だとは思う。しかし、「自民飽きた」で、民主党政権に交代したのは良いが、時期がいかにも遅すぎた。僕らの世代はその20年前には、もおうとっくに飽きていたのだ。トンチンカンなタイミングでの無意味な政権交代が、日本の20年、いや、30年を失わせた最大の負の原動力だったと僕は思っている。念を押しておくが、僕はアベを支持しているわけでも、民主党政権そのものを非難しているわけでもない。日本の貧弱な政治そのものに、時代を動かす力などないと思っているだけだ。
Contax Aria Vario-Sonnar 28-85mm F3.3-4 Ilford Delta 400 長野県御代田町
Contax Aria Vario-Sonnar 28-85mm F3.3-4 Ilford Delta 400 長野県御代田町
Contax Aria Vario-Sonnar 28-85mm F3.3-4 Ilford Delta 400 長野県御代田町
今、街を歩いていると、昭和の臭いがはっきりと薄れていくのを感じる。僕は、ノスタル爺ではないので、それをそれほどネガティブにはとらえていない。むしろ、数年前までの空疎で不景気な街角、昭和の廃墟のような街の空気感が嫌だった。そんな街に不快感を感じたというより、そこを歩くことに疲れてしまった。いっそ昭和を取り壊した更地の上に、平成の先の「今」があった方が潔い。今の人たちの方がまだ、きちっと過去をリスペクトしたうえで新しいものを作る気概がある。平成のバカ共に比べれば。
Contax RX Distagon 25mm F2.8 Ilford Delta 100 小金井
Leica M6 TTL Summicron 50mm F2 (4th) Ilford Delta 100 小金井
Leica M6 TTL Summicron 50mm F2 (4th) Ilford Delta 100 小金井公園
そんなこんなで、僕は、今ここで発表している写真を撮った2018年春くらいから、日本はやっと失われた時代のトンネルの出口に差し掛かったのではないかと信じている。「春の目覚め」の時代である。いや、もう桜は咲いているかもしれない。しかし、まだまだ油断はできない。今の春がそのまま夏へとつながっていくかは分からない。2020年をピークに、冬に逆戻りするなんていうのが、案外現実的なシナリオかもしれない。ヒトラーの春の目覚め作戦さながらの失敗はごめんだが・・・
Contax RX Distagon 18mm F4 Ilford Delta 100 小金井公園
Contax RX Distagon 18mm F4 Ilford Delta 100 小金井公園
Leica M6 TTL Summicron 50mm F2 (4th) Ilford Delta 100 小金井公園
Leica M6 TTL Summicron 50mm F2 (4th) Ilford Delta 100 小金井公園
Contax RX Distagon 18mm F4 Ilford Delta 100 小金井公園
Leica M6 TTL Summicron 50mm F2 (4th) Ilford Delta 100 小金井公園
Contax RX Distagon 25mm F2.8 Ilford Delta 100 小金井
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Street Snap Color - 東京残雪地帯 「銀塩VSデジタル」の争いほど馬鹿らしいものはない
http://hoq2.exblog.jp/29752026/
2018-09-19T23:04:00+09:00
2018-09-20T12:14:20+09:00
2018-09-19T23:04:26+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
α7RIII Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 国分寺
学生の頃の一時期、三脚担いでの夜間街頭スナップに凝っていた。ほとんど白黒フィルムで、ちゃんとカラーの夜景を撮るようになったのはデジタル時代になってからだ。フィルム時代の長時間露光は、経験とカンが便りで、腹時計で「1、2、3、4・・・」と露光時間を計っていた。不安なので段階露光もするもんだから、金がかかるカラーフィルムを使うのがもったいなかったというのもある。とにもかくも肉眼で見る光景が浄化される白黒の世界に、さらに長時間露光による異世界が浮かび上がるのが楽しかったのだと思う。
翻って、初めてデジタル一眼レフを手にした時に僕が真っ先に反応したのが、「夜でも簡単に撮れる」ことだった。新聞社の写真部にいた当時、会社支給のニコンD1を持ち帰っては夜の街をほっつき歩き、露出をモニターで確認しながらISO800あたりで手持ち撮影を繰り返したものだ。あまりに楽に夜景が撮れるもんだから、逆に三脚に据えてじっくり撮ることが少なくなったくらいだ。
この冬、そんなことを思い出しながら、その当時買った最初期の安いカーボン三脚を引っ張り出して、残雪残る出張先の夜の街を2時間ばかり歩いた。
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA 国分寺
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA 国分寺
α7RIII Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) APS-C Crop 府中
僕は、APS-CのNEXシリーズからソニーのミラーレスを使っているが、フルサイズのα7も3世代目になって、7RIIIを手にしてからはプライベートではほとんどデジタル一眼レフを使わなくなった(今回掲載している写真を撮った半年後の今はα9を追加して仕事もミラーレスオンリーになった)。シャッターを切る前に露出・被写界深度が見えているのは、腹時計で長時間露光をしていた時代から見ればまさに革命である。写真の本質は技術ではなく感性だと考えているので、技術的な面にはなるべくエネルギーを削ぎたくない。技術はもちろん大事だし、技術の裏付けがなければ感性の表現も表面的なものになってしまうことは十分承知している。それでもやはり、写真家は技術者ではなく、表現者だと声を大にして言いたい。
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 国分寺
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 国分寺
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA 国分寺
デジタルでカラーでミラーレスで、と言うといかにもデジタルガジェット好きの最新機材原理主義者のようだが、このブログの他の投稿を見てもらえば分かるように、白黒写真はもっぱらフィルムで撮っている。ただし、いわゆるクラシックカメラマニアでもなく、使っている銀塩機材はほとんどが自分が生まれた1970年代以降の新しいクラシックカメラだ。さらに、出力までのことを言えば、フィルムを自家現像した後、フィルムスキャナーとインクジェットプリンターで出力するアナログとデジタルのハイブリッドだ。要は、「銀塩VSデジタル」などという古臭くて野暮な議論には全く興味がなくて、結果的にそうなったという話でしかない。僕の場合は、「結果」を追求したらいつの間にか「カラーはデジタル、白黒はフィルム」に落ち着いただけである。
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 国分寺
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS 国分寺
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS 国分寺
どちらもちゃんとやってみれば分かるが、アナログの暗室作業が難しくて高尚で、デジタル暗室がなんでも自動的にMacがやってくれるお手軽なものだなんて言うとバチがあたる。そんなことは割と常識だと思っていたが、特にこの国の中高年層には、銀塩>デジタルと言ってはばからない保守的な層(本人たちは資本主義経済の産物である最新デジタル技術を否定しているという点で革新的だと思っているようだ)が多くてウンザリする。いや、確かに、どっちも誰でも極められるような甘いものではないのと同時に、誰にでもチャレンジできる懐が深い表現手法だ。だからこそ、アナログの写真術とデジタル写真術は対立軸にあるのではなく、連続し、入り混じった同一軸にあるものなのだ。
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS 練馬
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS 練馬
僕は、フィルムで撮った写真を自宅の洗面所でアナログな道具や「勘」をめいっぱい使って自家現像するが、出力は20世紀のデジタル機器であるフィルムスキャナーで、編集は最新の写真編集ソフトで行う。反対に、デジタルカメラにアナログの光学フィルターを装着して、デジタル暗室では出せない効果を狙いつつ、画像編集ソフトで微調整したりもする。僕なんかよりもずっと力のあるベテランなら、もっと高レベルでデジタルとアナログを融合させているであろう。いや、「融合」ですらなく、道を極めている人ほど同じ地平で捉えているはずだ。
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
そんなわけで、前回の記事(下記リンク)からリニューアルしたストリート・スナップの投稿は、今後もカラーはデジタル、白黒はフィルム写真で埋められていくことになるだろう。
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS 練馬
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
今はまだその境地に達していないが、白黒とカラーの境界も僕の中ではなくなるだろう。そして、街角スナップだ、風景だ、ポートレートだという定形も、意味をなさなくなる。写真芸術の行末は、そんなふうになっていくと思うのだ。
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS 練馬
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA 練馬
α7II Tokina FIRiN 20mm F2 (MF) 練馬
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Street Snap B&W - Mere Winter, ちょっとした冬
http://hoq2.exblog.jp/29744861/
2018-09-16T03:14:00+09:00
2018-09-16T03:37:29+09:00
2018-09-16T03:14:42+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Rollei A26 豊科
このところ、プライベート作品の発表の仕方をリニューアルしたいと考えていた。そのため更新が途絶えていたのだが、方針が固まった。本ブログとSNS(facebookを中心にTwitterとインスタグラムにも連携)、そして時々リアルの写真展に参加したりフォトブックを作るということをしてきたのだが、前段のwebベースでの発表方法を整理することにした。
本ブログは、街角スナップの記録をメインにしているが、これまでは1回の撮影行ごとになるべく多くの作品を掲載してきた。それこそ日記的に、自分のための記録を公開しているという形だった。ただ、それだとSNSで今やっている、五月雨式に写真をバラバラと見せるやり方と被る面もある。ブログの役割そのものも時代と共に変わってきていると思うし、こちらの方はもう少し整理したものを掲載していくことにした。簡単に言えば、更新頻度を落としつつ、SNSよりも厳選した写真を掲載していきたい。そして、最終的には、来年あたり個展と写真集に結びつけたいと思っている。
今回から、そんなスタイルで再スタートという感じなのだが、今まで出したものはそのまま残し、未発表分から順次このやり方で吐き出していきたい。また、今までは東京を中心とした都会のストリート・スナップを【21st Century Snapshotman】のシリーズタイトルで、生活の拠点がある長野県の田舎の無人の光景を中心としたスナップを【Nagano Snapshot】としてまとめてきたが、これも変えることにした。撮影場所にはこだわらず、【Street Snap B&W】【Street Snap Color】と単純に白黒とカラーに分けて出していこうと思う。
Olympus OM4 Zuiko 21mm F4 旧軽井沢
Contax S2 Planar 50mm F1.4 豊科
Contax S2 Sonnar 180mm F2.8 安曇野
今回は、今年(2018年)の2月から3月にかけて撮影した白黒スナップからセレクトした。2016年の春から銀塩を再開したのだが、2018年9月の今、だいぶ撮影スタイルが確立してきたように思う。まず、東京から長野県に移住して「人がいない田舎町」を撮るのに慣れ、それなりに手応えを感じてきた。それに伴い、東京に行った時に撮る街頭スナップも少し落ち着いてきたように思う。
Contax S2 Distagon 18mm F4 安曇野
Contax S2 Makro-Planar 100mm F2.8 安曇野
Contax Aria Distagon 18mm F4 東京駅
技術的な面では、白黒はフィルムで撮って自家現像し、フィルムスキャナーで出力、デジタル暗室(Photoshop/Camera RAW)で調整するというハイブリッドなスタイルが定着した。最近は、新規の若い人ばかりではなく、僕のように出戻りでフィルム写真を撮る人も増えているが、コアな人ほどアナログの暗室作業にこだわる傾向が強い。僕の場合は、紙焼きができないわけでも、やりたいけれど時間や金がないということだけでもなくて、これが表現として自分に一番合っていると思うから、あえて積極的に20世紀末の過渡期に行われていたハイブリッドな手法にこだわり続けている。少ないとは思うが、このブログを見てくれた人で同じような人がいたらぜひ、色々と情報交換したり語り合いたいものだ。
Contax S2 Planar 50mm F1.4 豊科
Leica M6 Color Skopar 21mm F4 渡良瀬遊水地
Contax Aria Vario-Sonnar 28-85mm F3.3-4 丸の内
一方でカラーはデジタル専門で、カラーフィルムは一切撮らない。カラー写真の場合はどう考えても現在の高画素デジタルカメラに分があると思うからだ。単純な画質、そして「味」の面でも、僕はカラーフィルムはあまり好きではないし、デジタルのカラー写真は素直に美しいと思う。そういうことも、カラー編の時にあらためて整理して語りたいと思う。
Contax S2 Distagon 25mm F2.8 安曇野
Contax S2 Makro-Planar 100mm F2.8 安曇野
Contax S2 Makro-Planar 100mm F2.8 安曇野
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【21st Century Snapshotman】高輪 徘徊とセンチメンタリズム 2018年1月30日
http://hoq2.exblog.jp/29553031/
2018-06-13T12:42:00+09:00
2018-06-13T12:42:36+09:00
2018-06-13T12:42:36+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Sony α7R3 Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
日本はカメラ大国だが、写真大国かというと疑問だ。確かに作品作りとして真剣に写真に取り組んでいる人は多い。かなりの割合でいるであろう興味の大半が機材に集中している「カメラオタク」な人たちを差し引いても、写真人口そのものは世界的に見ても多いと思う。しかし、その大半は、簡単に分類できてしまう3パターンに収まってしまうと僕は思っている。要は、底が浅い。
①昭和ジャンル系・・・「風景」「鉄道」「ポートレート」など、昭和テイストなフォトコンテストの「〇〇部門」に当てはまるような写真。これらには明確なジャンル分けとレッスンプロたちが掲げる最大公約数的な「正解」があって、作品づくりと発表は答え合わせのような形で行われる。
②キラキラ系・・・①のデジタルネイティブ版。①を古臭いとバカにしつつ、実は同じようなスタイルで現代の最大公約数にウケる意匠で撮っている。彩度高め、ピント浅め、玉ボケがきれい。「正解」あり。プロの商業写真にもこれが多い。
③中二病系・・・アーティスト志向の強い人たちが撮る写真。学生写真全盛の70〜90年代に学生だった40〜50代くらいに多いか。この中にはオリジナルで勝負できる本物の写真家が含まれるが、大半は「どこかで見たような」表面的な表現に終始する。暗いトーンのイメージが多いので一見作品に深い意味がありそうだが、それっぽいことを器用にファッション感覚でなぞっていると言った方が実態に近いだろう。実践の積み重ねと哲学が圧倒的に足りていない。
今回は、寒い夕刻に寂寞感を伴いつつ、都心の少し外れを歩いた。そのせいか、③っぽい心象風景的な写真が多くなった。
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
そこまで言っておいてじゃあお前の作品はなんだ、という話になるが、僕は①②③そのものを否定しているわけではない。写真に真剣に取り組んでいる人は、最初に①的な基礎を学ぶか、③を進めているうちに壁にぶつかって①に立ち戻る期間が必ずあるはずだ。僕は後者で、写真を始めて30年たった今も、これまで撮ってこなかった風景などのジャンルについては、あらためて基礎の「正解」をおさらいする所から勉強している。②についても、現役で商業媒体にも作品を発表している以上、「ウケる写真」からは逃れられないし、今のこの時代に自分のトーンを確立する前段階として避けて通れない道だ。③は、まさにアマチュア時代の自分のことである。
ただ、大半のプロ含む写真愛好家がそこに分類されてしまう日本の現状を底が浅いと言ってはいる。①②③は、あくまで通過点に過ぎず、物事の本質を突いた深い写真はその先にある。
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
Sony α7R3 Sonnar FE 85mm F1.4 GM
僕は不器用なので、イングランドサッカーのような直線的な表現しかできない。しかし、①②③を踏まえた④に到達している自信はある。精一杯謙遜しても、④から先に向かう強い意思を持って写真を撮っていると断言できる。写真は、一生かかってもゴールが見えないほど奥が深いのだから当たり前だ。
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
Sony α7R3 Sonnar FE 85mm F1.4 GM (APS-C Crop)
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
Sony α7R3 Sonnar FE 28mm F2
本ブログのカテゴリ「Nagano Snapshot」をまとめた写真集をKindle(電子書籍)と紙のフォトブックで出しました
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【21st Century Snapshot man】北品川 アトムレンズの彷徨 2018.2.21
http://hoq2.exblog.jp/29500555/
2018-05-17T23:53:00+09:00
2018-05-18T00:15:09+09:00
2018-05-17T23:53:14+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
このブログでも何度か書いているように、国内外をあちこち引っ越している僕には故郷がないけれど、小学校を卒業した東京・品川区は数少ない地元と言える土地だ。好きなのは下町なのだが、なんというか、等身大の自分にしっくり来るエリアは、品川区・大田区・目黒区(東寄り)あたりの下町でも山の手でもない中庸なエリアである。
小学校の後半を過ごした町そのものは、品川区の西の端の武蔵小山だ。そこから海外へ引っ越した。そして、帰国してすぐの頃と、サラリーマン時代の一時期には品川駅(駅そのものは港区にある)周辺にも縁があった。今回歩いたのは、その品川駅の港南口から南に下った北品川あたり。埋め立てで海は少し離れてしまったが、今も江戸時代の漁師町や宿場町の雰囲気が残る雰囲気の良い街歩きスポットである。
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
今回の機材の方の主役は、年明けに広尾あたりを歩いた時と同じく、放射能を発する危険なレンズたち。放射性物質を含んだトリウムガラスを使った「アトムレンズ」と言われる2本だ。アトムレンズをテーマにしたグループ展に出品するにあたって、まだ候補作が足りないという思いがあったので、所有するレンズのうち、該当するオリンパスOMのズイコー50mm1.4(初期型のモノコートバージョン)、キャノンFDの35mmF2(初期型凹レンズバージョン)を中心に撮った。ただ、グループ展のための目的撮りになってはつまらないので、非アトムのズイコー21mm、NFD28mm、NFD135mmも使った。
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-W 21mm F3.5
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 NFD 135mm F2.8
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-W 21mm F3.5
小学校の同級生の奥さんが北品川出身で、去年、6月の品川神社の例祭の時期の街歩きを勧められたのだが、果たせなかった。今回は品川宿あたりの予習をする機会にもなったので、今度はこの町のハレの姿も撮ってみたいな、と思う。
Canon A1 NFD 28mm F2.8
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 NFD 135mm F2.8
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
街歩きをしていると、必ずその日のハイライトとなるスポットや風物に出会う。今回は山手通りと目黒川の間にある荏原神社であった。釣り竿を持った恵比寿様がいるかつての漁師町らしい神社で、ちょうど境内の梅がきれいに咲いていた。一種のパワースポット的な面もあるのだろうが、僕はたいてい、こういう場所にたどり着くと「ああ、今日も街歩きをして良かったな」と安心して、あとの撮影は惰性な感じになってしまう。逆に、なかなかこれといったポイントにたどり着かないと、撮影に一区切りつけられない。
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
荏原神社から、惰性でもうちょっと先に進んでみる。
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 NFD 135mm F2.8
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 NFD 135mm F2.8
Canon A1 NFD 135mm F2.8
自分が品川区で過ごした少年時代は、プラモデルとかモデルガンに夢中だった。ガンプラブームに直撃したというのもあるけど、この地域が町工場が多いモノづくりの街なのも影響していると思う。自動車とかの大きなものではなく、ネジとかテレビのチャンネルとか、そういうプラモデルやラジコン的な小さくて精密なモノづくりが、周りにあふれていた。僕はノスタルジーを嗅覚で感じるタチなのだけど、町工場の焼けた金属の臭いとか機械油の臭い、ラッカー塗料の臭いなんかを嗅ぐと安心する。
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
今回は最初のハイライトスポットで満足せずに少し足を伸ばした甲斐があった。第二のハイライトスポットを発見。鯨塚がある利田神社とその裏の小さな船着き場だ。ビルの谷間に江戸時代の漁港の雰囲気が感じられる品川らしい場所だ。
境内の看板に書かれた鯨塚の由来は次のようなものだ。「江戸時代に品川の海岸に現われた大きな鯨が江戸中の話題になり、最後には捕獲されて浜離宮に運ばれ、将軍家斉に上覧された後に解体された。その供養のためにこの地に立てられたの鯨塚である」。ここに来たのは初めてだと思うが、どこかで聞いた話だ。小学校の社会の教材の「私たちの品川」に書いてあったような気がするが、定かではない。
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Canon A1 NFD 135mm F2.8
Canon A1 NFD 135mm F2.8
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
Olympus OM4 G.Zuiko Auto-W 21mm F3.5
Canon A1 FD 35mm F2 (concave)
Canon A1 NFD 135mm F2.8
「アトム展」には、結局この日の撮影分から2枚出展した。アトムレンズだからそうなのかは分からないが、ズイコー50mmもFD35mmも、シャープなのに階調が豊かなレンズだ。本当はマウントをもっと整理したいのだけど、こういうレンズがあるとOMもFDも残さざる得ないので困る。
Paperpool『アトムの子供たち』出品作
本ブログのカテゴリ「Nagano Snapshot」をまとめた写真集をKindle(電子書籍)と紙のフォトブックで出しました
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【21st Century Snapshot man】横浜みなとみらい夜景 2018 1/16
http://hoq2.exblog.jp/29440113/
2018-04-17T22:53:00+09:00
2019-02-16T18:25:32+09:00
2018-04-17T22:53:20+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
α7RIII FE 85mm F1.4 GM (三脚使用)
学生時代の一時期、三脚担いでの夜間スナップに凝っていた。モノクロフィルムで夢の島などの埋立地の人工的な緑地風景や、住宅地の路地なんかを撮っていた。その後も手持ちの夜間スナップは続けているが、しっかり三脚に据えてのスナップはしばし撮っていなかった。でも、このところは新ジャンルの星景や王道の風景写真を通じて三脚撮影の再勉強をしていて、その流れで今回は久々に街頭に三脚を持ち出してみた。
行き先はみなとみらい。つい、フィルム時代の意識の名残りで、夜でも光が多い場所を選んでしまった。今のデジタルカメラなら、下の1枚目や2枚目のように、三脚を使わなくてもしっかり写ってしまうのだから、昔とは勝手が違う。これだけ明るければ、今のカメラならたいていは手持ちで撮れてしまう。
α7RIII FE 85mm F1.4 GM (手持ち)
α7RIII FE 85mm F1.4 GM (手持ち)
EOS 5D MarkIV Sigma 35mm F1.4 ART (三脚使用)
それでもやっぱり三脚を使う意味は、画質や被写界深度を稼ぐためという技術的な理由もさることながら、スローシャッターによって醸し出される異世界に魅力を感じるからだ。昔の一般人の常識は「夜は写真が撮れない」だった。それだけに、スローシャッターで鮮明な夜景を撮ることを覚えた時には、相当な感激があったのを覚えている。「瞬間を切り取る」のが写真だと思っていたところに、数十秒とか数分といった「時間の流れ」を写し取る写真との出会いは、当時の自分の写真観に対してエポックメイキングな出来事だった。
α7RIII FE 85mm F1.4 GM (手持ち)
α7RIII FE 28mm F2 (三脚使用)
α7RIII FE 85mm F1.4 GM (APS-C Crop) 三脚使用
今回はいつもの2台持ちだったので、アルカスイスプレートによるクイックリリースも活用しながら、臨機応変に手持ちと三脚使用を使い分けてみた。高感度性能が格段に上がった今のデジタルカメラであれば、伝統的なスローシャッターによる夜景撮影と手持ち撮影を同時に使い分けるのも楽しい。三脚はジッツオ・エクスプローラー2型のアルミを使用。比較的コンパクトな三脚だが、今主流のカーボンではない一世代前のものなのでそれなりに重い。でも、今回のような風の強い海辺ではこのくらいの重量感があった方が安心だ。ストラップをつけて肩に担げばそれほど負担にはならない。
真ん中が今回使用したGitzo explorer 2型
EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 ART (手持ち)
α7RIII FE 28mm F2 (三脚使用)
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【21st Century snapshot man】広尾 アトムレンズと抽象化する思考 2018 1/4
http://hoq2.exblog.jp/29423972/
2018-04-09T21:31:00+09:00
2018-04-09T21:31:43+09:00
2018-04-09T21:31:43+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Olympus OM-4 G.Zuiko 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
2018年最初の街頭スナップは、たまたま所用で訪れた東京の広尾あたり。もともと都心部のスナップは得意としているが、高級住宅でもあるこういう街は案外人通りが少なく、古くも新しくもなく撮りにくいかもしれない。
ただ、今回の撮影では、「どこを(何を)」撮るかよりも「何で」撮るかが重要だった。近く「アトムレンズ」による作例を集めたグループ展に参加することになっていて、出品作の候補を少し足したかったからだ。写真家としては当然のことだが、「展示のための展示」や「機材に撮らされている写真」はつまらない。だからふだんはあまりこういう撮り方はしないのだが、今回は無機質な都心の住宅地と「アトムレンズ」という響きに繋がりを感じた。
アトムレンズとは、1970年代前半ごろまで作られていた“放射能レンズ”である。画質向上のため放射性物質を含むトリウムガラスを使っており、ガイガーカウンターを近づけると反応する。今生き残っているアトムレンズは、トリウムガラスの特性でほとんどが経年変化により黄変している。カラーだとそのままイエローかぶりするが、白黒では影響がない(あるいはイエローフィルター的な効果がある)。今回は手持ちのアトムレンズ、オリンパスOMのズイコー50mmとキャノンFD35mmF2S.S.C(初期型凹レンズバージョン)の2本で撮った。
Olympus OM-4 G.Zuiko 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
淡々とした街を35mm・50mmという限られた焦点距離で見つめていると、思考がだんだんと無機的になっていく。今、時間を空けてこの時の写真を見ていると、街を歩いていた時のリアルタイムよりも、イメージが抽象的に見えてくる。リアルな街角を抽象的に切り取るのは自分の作風の一つなのだが、久しぶりに自分のこの側面を出せたような気がする。これとは正反対の荒木的な「撮影者と被写体の魂と魂がぶつかるような写真」が当然受けが良いのだが、僕は良くも悪くも日本的で業の深い写真には、嫌なベタつきを感じてしまう。自分に完全に欠如している才能を心からリスペクトするし、すごいと思うが生理的に好きではない。
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Olympus OM-4 G.Zuiko 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Olympus OM-4 G.Zuiko 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
写真には無限の表現があるので、どのような表現が正解か、より優れているかということはない。とはいえ、表現者は誰しも自分にとっての正解を秘めているべきで、「見る人に判断を委ねる」というような無責任な態度ではいけない。ただ、自分の志向と違うからといって、それだけで否定したり貶したりしてはならない。
その前提に立って言わせてもらえば、せっかくカメラ(レンズ)という機械の目を通しているのだから、写真家は人間の生々しさよりも、淡々として厳かな神の目に寄り添うべきだ。だから僕は、カメラを手に世俗に飛び込んで行くようなことには気が進まない。もちろん、私も人間くささが臭い立つような作家の作品には、いち観客として魂を揺さぶられる。でも、撮り手の立場からの素直な気持ちとしては、写真よりも絵画や音楽の方が人間臭さを発揮するのに合っていると思う。
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Olympus OM-4 G.Zuiko 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
Canon A-1 FD 35mm F2 S.S.C Ilford FP4 Plus
今回は、撮った写真がいい意味で独り歩きしてくれたと思う。撮った時の手応えと、3ヶ月ほど寝かせた今の印象が全く違う。でも、「アトム展」には結局、この中からは出品しなかった。観客を意識してしまうと、ポリシーに忠実になれない甘さがあるのかもしれない。
Olympus OM-4 G.Zuiko 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
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【21st Century Snapshot man】砂町銀座 我が心横たわる下町 2017 12/17
http://hoq2.exblog.jp/29418925/
2018-04-07T12:34:00+09:00
2018-04-07T12:42:34+09:00
2018-04-07T12:34:07+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
α7RIII Canon EF 85mm F1.8 Sigma mount converter MC-11
2017年最後の街頭スナップは、夕闇の砂町銀座になった。砂町そのものには強い縁はないが、東京の下町は思い入れが強い地域の一つだ。僕は海外を含めてあっちこちへフラフラこっちへフラフラ、幼い頃から文字通りの風来坊だったので、地元を持たない。いや、あちこちに地元があると言ってもいいかもしれない。その中で、東京の下町は転勤などではなく好き好んで住んだ街なので、東京を離れた今も楽しく散策することが多い。
だから、下町方面で仕事があると嬉しい。帰りに下町撮影行ができるからだ。クリスマス1週間前のこの日は、浅草橋でインタビューと撮影を終えて、一時期事務所を構えていた町に近い砂町銀座に向かった。
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
α7RIII FE 24-70mm F2.8 GM
α7RIII FE 24-70mm F2.8 GM
日本語の下町は英語のDowntownの直訳から派生した言葉なのだろうか。でも、両者の意味は違う。英語のDowntownは市街の中心部を指し、「下町」よりも「都心部」の方が意味としては近いだろう。日本語の「下町」も決して郊外を指すわけではないが、市街の中心部というよりは「庶民的な街」の意味合いが強い。かといって、「旧市街」かと言うと、特にスクラップ&ビルドが激しい東京などではちょっとイメージが違う。寅さんの「労働者諸君!」という定番のセリフではないが、「労働者の街」が実態に近いと個人的には思っている。あるいは、東京の下町の場合は、山の手に対する海側の低地という地形的なニュアンスもあるのかもしれないが、僕の中ではどうしても、下町という呼称と東京23区東部の庶民的なエリアのイメージがぴたりとはまらない。
α7RIII Canon EF 85mm F1.8 Sigma mount converter MC-11
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA
近年は東京の下町に数えられるエリアでも、豊洲などの湾岸部にはタワーマンションが立ち並び、庶民とは正反対の住民が急増している。砂町あたりは今、ブルーカラーとホワイトカラーの境界線の一つになっていると言えよう。その境界線より下町側にある砂町銀座はやはりとても心地よく、散歩していて気持ちが休まる。地元民ではないのに、なぜだろう。たぶん、街を包む人々のメンタリティに奥底で共感するからだと思う。本当の故郷には「同化」できる安心感があるのだろうが、それとは違う意味で、根本的な価値観が共有できる町とでも言おうか。
α7RIII Canon EF 85mm F1.8 Sigma mount converter MC-11
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
特に「歳末」のノスタルジアと下町は僕の心の中で強く結びついている。下町に住んでいなかった時期も含め、年末年始はたいてい、アメ横や浅草寺、柴又帝釈天あたりに行っていたからだろうか。そう言えば、明治神宮など山の手の大きな神社仏閣に初詣に行ったことがないことに、今気がついた。
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
α7RIII FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII FE 28mm F2
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
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【21st Century Snapshot man】甲府 2017 11/30 シグマ Art ラインを一通り
http://hoq2.exblog.jp/29415520/
2018-04-05T19:06:00+09:00
2018-04-05T19:06:53+09:00
2018-04-05T19:06:53+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
α7RIII Sigma Mount Converter MC-11 Sigma 12-24mm F4 Art
甲府はよく通過する街だが、中心部を歩いたことはほとんどなかった。この日は夜までに東京へ行けば良かったので、寄ってみることにした。翌日の撮影仕事に備えて、まだ来たばかりのα7RIIIの習熟訓練の意味もあった。シグマのマウントアダプターMC-11(キャノンEF-ソニーE)がどれくらい使えるのか、母艦がα7IIの場合と違いはあるのかというテストもしてみた。仕事撮影と同じく、EOS5D MarkIVとの2台持ち。MC-11には特にRIIIで使う機会が多くなりそうなキャノンEFマウントのシグマ12-24artを組み合わせた。
EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 Art
EOS 5D MarkIV Sigma 35mm F1.4 Art
Canon EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 Art
5D MarkIVには、シグマArtラインの35mm/1.4と50mm/1.4を使用。12-24と合わせてこの3本のArtラインを一軍で使っている。僕はレンズメーカー製レンズに対して全くマイナスイメージは持っておらず、純正信者でもない。高いものにはそれだけの価値はある、その逆もまた真実なりとは思っている。でも、商業写真家の端くれとしての必然だが、撮影機材に関しては「所有する喜び」みたいなものよりもコストパフォーマンスが第一である。国産レンズメーカー御三家のシグマ、タムロン、トキナーは、まさにリーズナブルな製品を揃えてきているので、自然、所有率は高くなる。
過去にはタムロンも使っていた(フィルム用は持っている)が、今現役で使っているのは前述のシグマ3本とトキナー1本(EマウントのFiRIN20mm)だ。特に中国・韓国メーカーが価格破壊ぎみに台頭してきている最近は、日本の御三家は質で勝負しようと以前よりも高級路線にシフトしている。Artラインはその戦略を最初に打ち出したシグマの新しいシリーズで、タムロン、トキナーも追随してきている。今やかつてのレンズメーカーに対する「安かろう悪かろう」のイメージは当てはまらなくなってきていると思う。それでも、Artラインと同等のスペックのキャノンLレンズは約2倍の価格差がある。逆に普及帯のレンズは純正品との価格差がなくなってきている。
キャノン・ニコンの純正で20万円前後、シグマなら10万円程度の大口径レンズが、最も性能と価格のバランスがおいしいところだと思う。実際、僕が所有する3本はまさにそれで、コスパだけでなく純粋な性能も素晴らしい。シグマの回し者でもなんでもないのだが、「やっぱり純正が欲しいな」と思ったことは一度もない。今のキャノンやニコン、ソニーの高級レンズももちろん、非の打ち所がないのだが、価格とのバランスには疑問符がつく。
EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 Art
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 Art
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 Art
Canon EOS 5D MarkIV Sigma 50mm F1.4 Art
甲府という街は、甲府盆地全体に結構市街地の広がりがあるようで、中心部以外でも色々と街歩きが楽しめそうな雰囲気がある。特に個人的に最近は、郊外や田舎のスナップが楽しくなっているので、甲府盆地をゆっくりと広範囲に探索してみれば色々とドキッとするような光景に出会えるのではないかと思う。
それと、今回のような薄曇りの日はやはり白黒向きだな、と改めて思う。曇りの日のカラーのスナップは、実際に目で見た印象よりも退屈な仕上がりになってしまう。
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
EOS 5D MarkIV Sigma 35mm F1.4 Art
EOS 5D MarkIV Sigma 35mm F1.4 Art
EOS 5D MarkIV Sigma 35mm F1.4 Art
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
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【21st Century Snapshot man】八王子 2017 11/28 α7RIIIで夜間スナップ
http://hoq2.exblog.jp/29409787/
2018-04-02T22:52:00+09:00
2018-04-02T23:07:21+09:00
2018-04-02T22:52:28+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
この5年ほど、東京と蓼科の家の往復で八王子をよく通過する。それまでほとんど縁のない街だったが、何度かスナップしたこともあって結構親しみのある街になっている。高速代をケチって甲州街道(国道20号)をひたすら真っ直ぐ、下道で帰ることが多い。秋の八王子あたりのイチョウの黃葉はなかなか見事である。いつか写真に撮ろうと思っていたが、このあたりは出張の帰路に暗くなってから通ることがほとんどで、ずっと機会がなかった。
この日もまた、夜になってから八王子に差し掛かったわけだが、今回はちゃんと車を駐車場に入れてひと歩きすることにした。というのも、手元には数日前に届いたばかりの新製品のα7RIIIがあったからだ。ほぼぶっつけ本番でポートレート撮影の仕事に使った(EOS 5D IVとの併用)帰りで、疲れてはいたけれど早速街頭スナップでも使いたいという気持ちが勝っていた。
レンズはゾナー55mm1.8とFE70-200F4G、サブカメラは2軍落ちした7IIと前回のブログでも使ったトキナーFiRIN20mmF2である。
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA (APS-C crop)
フィルム時代やデジタルカメラ黎明期は、手持ちの夜間スナップではISO800まで上げるのがせいぜいだったが、今回は800と3200の間で撮っている。昔は撮影地も新宿・渋谷・銀座といった明るい不夜城的な街を選んで行ったものだが、八王子のような郊外都市でも十分手持ち撮影ができるのは嬉しい。ブログサイズはもちろん、A3程度までのプリントでも、ストリートスナップフォトでは十分な画質であろう。7IIと7RIIIの高感度性能の比較では、RIIIの方が1〜2段分画質が良いという印象だ。いずれより高感度性能が高い7SIIIも出るだろうが、自分の要求には高感度性能においてもRIIIは十二分である。
なにしろ、常用ISOの上限がせいぜい800だった時代からは、隔世の感がある。これ以上何を求めようか。写真をグラフィックアートの一つだと考えれば、少しは機械的なアラがあるくらいでないと、人間の感性が入り込む余地がなくなってしまう。
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
スマホでも夜景が撮れる今となっては、「夜」であることそのものに、写真としての価値はないのかもしれない。それでも夜景そのものに突破口を見出すのなら、三脚に据えてしっかりと「夜」を写し込む必要があるだろう。シリアスな夜景写真には、まだそれ自体に価値があると僕は見る。翻って、こうした手持ちの夜景スナップは、単に昼間のスナップの延長だと位置づけた方が良さそうだ。だから、次に夜の街を歩く時は、三脚を持っていこうと思いながら、短い撮影を終えた。
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
α7RIII FE 70-200mm F4 G OSS
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7RIII Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
α7II Tokina FiRIN 20mm F2
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【21st Century Snapshot man】谷保ー新宿 2017 11/19 Tokina FiRIN 20mm
http://hoq2.exblog.jp/29405726/
2018-04-01T01:42:00+09:00
2018-04-02T23:03:01+09:00
2018-04-01T01:42:31+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
このブログは事実上、街頭スナップ作品の習作発表の場となっている。最近は他にやることが多く、更新のペースがだいぶ落ちている。4月になろうとしているのに、まだ去年の秋の作品を掲載している。でも、このままマイペースで淡々と、原則撮った順に載せていきたい。あくまで写真集にまとめるのがゴールであり、ここはいわば、スナップ行のよりプリミティブな未編集記録である。
さて、この2017年11月19日は、午後のインタビュー仕事帰りに国立から谷保駅まで歩き、新宿に出て夜間スナップを少々撮った。予約していたα7RIIIが間もなく届くかという時期で、デジタル・カラーの街頭スナップの主力にしていたα7IIを今後2軍としてどう使っていくかということを考えていた。そして、それを想定して買ったトキナーのEマウントレンズ、FiRIN20mmF2をスナップに持ち出した。
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN20mm F2
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN20mm F2
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2 (APS-C Crop)
これまで持っていなかったα用の超広角にトキナーの20mmを選んだのには、以下のような理由がある。
まず、僕はキャノンEOS5D系とソニーα7系を同時に併用している。撮影仕事ではEOSとαの2台持ちである。超広角はずっとキャノンに任せており、最初に使っていたEF16-35/2.8Lの歪みがどうしても好きになれず、機能は落ちるが歪みが少ないトキナー16-28/2.8FXに買い替えた経緯がある。ただ、キャノンから11-24/4が出た時に11mmという画角の可能性に魅力を感じ、続いてシグマから12-24/4が出るのを待ってトキナーを売却してシグマに飛びついた(要はキャノンの11-24は高くて買えなかったのだ)。そういうわけで、僕の超広角は開放F値では2.8から4にスペックダウンしていた。とはいえ今更16mmクラスの2.8ズームに戻る気にもなれず、Eマウントネイティブの超広角を買うとなれば、(オールドレンズは別として)ソニーでもキャノンでも持っていない20mmクラスの単焦点、それもなるべく明るい玉が良いと思っていた。
この条件にぴったり当てはまったのがトキナーFiRIN20mmF2だったわけだ。最近発売されたレンズでありながらMF専用なのだが、20mmレンズはMFの方がかえって使いやすい面もあり、あまり気にしなかった。ただ、この日記を書くにあたってトキナーのHPを久しぶりに開いたら、このレンズのAFモデルが発表されていた。現時点で価格未定とのことで、価格差しだいではあるが、AFはないよりはあった方がいいので、今だったらAFモデルにしていたと思う。
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
Sony α7II FE 70-200 F4 G OSS
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
トキナー20mmは歪みがなく、極めてシャープなレンズで、品のいい発色や線の細い描写は自分好みだ。だから買って正解だったと思う。また、今はAFモデルに買い換えることは全く考えていない。というのも、このレンズを主に使う場はこのような街頭スナップを想定していて、僕は街頭スナップでは2台持ちをすることが多いのだが、α7RIIIと7IIがデジタルカラーの街頭スナップの主力となった今は、7IIにこの20mmを固定で使うことが多くなっている。この場合、ボディのデジタルズーム機能を使って20-30mmのズームレンズ的な使い方をするのだが、デジタルズーム使用時はMFの方が都合がいいのだ。デジタルズームを使うと、AFエリアの設定が無効になってかなりアバウトなAFになり、どっちみち事実上AFは使えないからだ。
APS-Cサイズにクロップするやりかたでズーミングする場合は、AFエリアの制約はないので、本当はこっちの方は良いのだが、残念ながらα7IIではAPS-Cサイズへの切り替えをカスタムキーに割り当てることができない。なので、今回は一回一回メニューを開いてAPS-Cに切り替えて20mmと30mmの画角を使い分けたが、速写性が求められる街頭スナップでメニューを辿るというのは非常にまどろっこしい。一方、デジタルズームならば7IIでもカスタムキーに割り当てられるので、今はC-2ボタンをデジタルズームにして、FiRIN20mm使用時に1.5倍程度まで多用している(α7RIIIではAPS-Cへの切り替えをC-2に割り当てられるので、逆にデジタルズームは使っていない)。
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
フィルム時代は、1.4〜2.8クラスの中望遠までの単焦点でISO800・1/15〜1/60 ・F2〜F4で手持ちの夜間スナップを撮っていたものだが、今はISO1600、3200でも満足いく画質で撮れるし、手ぶれ補正もあるのでF4クラスの望遠ズームでも十分に夜間スナップができる。デジタルカメラの発達により表現の幅が広がったのは大変良いことだ。今の若い人は、「夜は写真が撮れない」というのが一般人の認識だったことを知らないのではないだろうか。ただ、白黒写真はフィルムには敵わない(ライカモノクロームは別かもしれないが・・・)ので、最近は久々にフィルムでも夜間スナップをしてみたいと思っている。
Sony α7II FE 70-200 F4 G OSS
Sony α7II FE 70-200 F4 G OSS
Sony α7II FE 70-200 F4 G OSS
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2 (APS-C Crop)
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2 (APS-C Crop)
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
Sony α7II Sonnar Tokina FiRIN 20mm F2
今回は、「デジタルズーム」とか「手ブレ補正」とか、銀塩爺が毛嫌いしそうな単語を書いてきたが、僕は頭の固い銀塩爺が、ものを知らなさすぎるデジタル坊やよりもずっと嫌いである。銀塩爺の方が、上から目線なだけにタチが悪い。彼らは今を否定することを文化的に程度が高い者がすることで、革新的だとすら思っているフシがある。しかし、実際には、新しいものを脊髄反射的に拒否しているだけの超が3つくらいつく保守的な人種だ。今と20世紀の昔では、保守と革新が逆転していることにも気づいていないのだろう。
第一に、銀塩に凝り固まっている爺はほぼ例外なく、「写真」に興味がないただの「カメラオタク」である。
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
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【21st Century Snapshotman 】 追憶の西新宿
http://hoq2.exblog.jp/29352637/
2018-03-06T01:16:00+09:00
2018-03-06T01:31:58+09:00
2018-03-06T01:16:51+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mmF1.4 Ilford FP4 Plus
写真少年だった高校・大学時代は高田馬場に通っていたので、西新宿のヨドバシカメラやペンタックスギャラリーあたりには学校帰りによく行った。その他にも何かと用があり、酒を飲まない自分にとっては、東口のゴールデン街や歌舞伎町などの通ぶった学生御用達のエリアよりも、西口のビル街の方に馴染みがあるかもしれない。もちろん、その当時はまだ都庁は丸の内にあったし、ヨドバシは文字通りのカメラ店だった。
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mmF1.4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mmF2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Makro Planar 100mmF2.8 Ilford FP4 Plus
僕の一番古い西新宿の記憶は、「スカイライダー」(初代仮面ライダーのリメイク版・1979年放映)のオープニングだかエンディングだか忘れたが、空を飛ぶことが売りだった新仮面ライダーが新宿高層ビルの上空を飛んでいるシーンだ。その当時は海外(カナダ)から帰国したばかりだったのだが、特撮ヒーローものは向こうでは見たことがなかった(スターウォーズ一作目やテレビならバトルスター・ギャラクティカの時代)ので、夢中になって見ていた(そのすぐ後にガンダムブームの直撃を受ける)。
仮面ライダーもさることながら、三角ビル(住友ビル)のカッコよさにもしびれたものだ。一時期は都庁の影にかすんで古臭さが際立っていたけれど、一周回ってまた80年代初頭のファッションがリバイバルしている今は、この時代のものがかえってカッコよく見えてきている。その手の流行にいちいち乗るつもりはないが、90年代的な都庁に比べて、それより一回り古い新宿副都心の高層ビル群に風格がつきまじめているのは確かだ。
そんなノスタルジーに浸りながらビル群の情景にシャッターを切っていると、ライカM6とペンタックス6x7を下げた外国人に声をかけられた。同じようにフィルムカメラの2台持ち(コンタックスRTS・Aria)をしていた僕に興味を持ったようだ。Gullaume Ducreuxというフランスの写真家だそうで、日本で個展を開くために来日中とのこと。後でググってみると、素晴らしいアート作品を生み出している一流の写真家であった。
そんな彼と短い写真談義をした後、お互いの写真を撮り合って別れたわけだが、「フィルムでしか作れない作品がある限り続けていこう」と握手をした。僕の場合は、オリジナリティ溢れる芸術性を強調するような作風ではないので、恐らくは彼ほどにはフィルムであることに必然性はないかもしれない。もちろん、モノクロの街頭スナップは僕の写真の原点であり、一生やり続けたいことに変わりはない。
ただ、いつかはキャンピングカーで長い旅暮らしをしたいという夢があり、その時には旅先からSNSやブログをUPしたい。そうなれば、今のように自分でフィルム現像してフィルムスキャナーでスキャンして仕上げるというスタイルは守れないだろう。かといって、デジタルのカラー写真を単にモノクロ変換したモノクロ写真には、満足できそうもない。だから、そういう暮らしがもし実現すれば、僕はフィルムを捨てて、その時にまだあれば、デジタルライカのモノクロームモデル(国産メーカーから常識的な価格のモノクロ専用機が出ればもっと良いが)を終のカメラとして手にしようと思う。
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mmF1.4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Makro Planar 100mmF2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mmF4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Makro Planar 100mmF2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mmF4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mmF4 Ilford FP4 Plus
銀塩プリントの肌感覚や、暗室の酸っぱい臭いをリアルタイムの記憶として持っているのは、僕ら昭和40年代生まれの世代が最後だ。だからといって、僕らにはフィルム写真を継承していく責務があるなどということは、間違っても言わない。確かに、デジタル化と共に写真への情熱を失った人は大勢いる。でも、彼らは単に、フィルムとデジタルの間に分断などないという当たり前のことが理解できていないのだ。新しいものについていけない人は、結局は古いものを継承することもできないと僕は思っている。
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mmF1.4 Ilford FP4 Plus
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mmF1.4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mmF2.8 Ilford FP4 Plus
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【21st Century Snapshotman 】追憶の心象風景と追憶のカメラ 横浜・菊名/Contax RTS 2017.11.06
http://hoq2.exblog.jp/29226229/
2018-02-02T23:28:00+09:00
2018-02-02T23:36:34+09:00
2018-02-02T23:28:31+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
初めて横浜の菊名あたりを歩いた。都内の東急沿線に住んでいた子供の頃は、東横線沿線のこのあたりが地の果てであった。海外を含めもっと遠い所も知っていたけれど、自転車で行ける範囲が小学生の日常の世界の全てであった。
当時の多摩川の向こう側は、まだ竹藪生い茂る小高い丘とか仮面ライダーが戦いそうな造成地が点在していて、小学生男子の冒険心をくすぐる土地だった。はっきりとした場所は覚えていないが、横浜に転校していった友だちを訪ねて、悪ガキ4〜5人で品川区から歩きだったか自転車だったか、この港北区あたりに行ったことがある。途中、第三京浜に阻まれて、目指す「前ちゃん」の家はすぐその向こうだと、そのまま防音壁を乗り越えて高速道路を強行突破した。ルール違反に極めて不寛容な今の時代なら、ニュース沙汰になっていたかもしれない。前ちゃんはとても驚き、喜んで、庭でツクシを採ったり、造成地の山を登ったり、東京の僕らの地元ではできない遊びをした。前ちゃんのお母さんが心配していたような記憶はあるが、不思議と帰り道はどうやって帰ったか全く覚えていない。
そんな冒険譚の記憶が心の片隅にまだ残っていて、少しワクワクしながらこの町を歩いた(前ちゃんの家が菊名だったかは分からない。多分違う)。とはいえ、平日の真っ昼間の閑静な住宅街である。気候も極めて穏やか。追憶は穏やかさの中に静かに包み込まれていった。
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Makro Planar 100mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mm F4 Ilford FP4 Plus
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
僕はもともとはコンタックスユーザーだったが、10年弱前に一旦フィルムを辞めた際に全てのコンタックス機材(結構な数を揃えていた)を売り払ってしまった。そこから、2年前にモノクロフィルムに限定して銀塩を再開し、友人から一部買い戻したりもらったり買い足したりして、以前ほどの充実度ではないがコンタックスシステムも復活している。今の自分と以前の自分が求めるものと買えるものは少し違うので、以前は持っていなかったレンズを選んだり、持っていたレンズをあえて揃えなかったりしている。例えば、P85mm1.4とD35mm1.4という巨砲を以前はMMGで揃えるこだわりを持っていたが、今は共にスルー。代わりにMP100/2.8とD18/4の2本は、ソニーEマウント用も考えて今回の出戻りで初所有している。
出戻りのボディは人にもらったAriaと以前自分が所有していたS2を買い戻してこの2台でしばらく回していたが、今回の撮影の直前に初代RTSを買い足した。これは、実用を考えてというよりノスタルジーを満たすための買い物だ。高校生の頃に初めて自分で買ったカメラが、ボロボロの中古のRTSだった。当時ヨドバシカメラの地下にあった小さな中古売り場の棚にあったのを、しばらく羨望の眼差しで眺めていた。ボディについていたP50mm1.4のT*コーティングの輝きと、ポルシェデザインの流麗なボディをなんとしても自分のものにしたかったのだ。そして、ついに手にしてからは、毎日学校へ持っていって行き帰りや校内で写真を撮りまくった。それが僕の写真の原点だ。
Contax RTS Carl Zeiss Sonnar 180mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mm F4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
ところがそのRTS、大学生になってから東北・北海道旅行の途中で電車に置き忘れてなくしてしまった。その後、就職した新聞社の初ボーナスででレンジファインダー機のG2を買ったものの、コンタックス一眼レフ復帰はそれから10年ほど経ってから新聞社写真部の先輩にRTSIIIを借りて東京とベルリンのストリート・スナップを撮り、気に入って自分のものを買うまでは果たせなかった。
そんな経緯から、初代RTSは、甘い思い出と苦い思い出が入り混じった自分の若気の至りの象徴である。過去を振り返る年齢になり、フィルムカメラが安く手に入るようになった今、どうしても手元に呼び戻したい一台だった。
RTSは初期の電気カメラなので、ちょっとしたことで修理不能になりやすいかもしれない。逆に今がこのカメラを実戦で使うラストチャンスとも言える。ともかく、やはりRTSをリベンジして良かったと思う。フェザータッチのシャッターといいシャリッと気持ちよく巻き上がるレバーといい、このカメラで撮影をしているだけで、当時の感動と写真への純粋な情熱が蘇るようだ。
僕はいつも2台持ちで街頭スナップするので、今回もRTSをレンズ交換しながら、サブにはP50固定のアリアを使った。期せずして、ヤシコン一眼レフの1号機と最終モデル(Nシリーズを除く)の共演となった。
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mm F4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Rollei A26 Ilford Delta 400
速射性に勝る一眼レフは「人」が被写体になりやすい繁華街でガシガシと使い、こういう静的な被写体が多い住宅地はライカでスッと空気を切る方がいいかもしれない。でも、RTSのフェザータッチは、ニコンF3のカシン!というカッチリさやキャノンA1のバチン!としたエレクトリックな感じや、ニコンFM2のパコン!という金属的なシャッターよりも、ライカとは違う趣きではあるが、人がいない空気感を静かに切り取るのに合っている。
Contax RTS Carl Zeiss Makro Planar 100mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Makro Planar 100mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Sonnar 180mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 18mm F4 Ilford FP4 Plus
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Contax Aria Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Contax RTS Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8 Ilford FP4 Plus
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【21st Century Snapshotman 】Zansetsu Tokyo (α7RIII /α7II) 2018 1/27
http://hoq2.exblog.jp/29202818/
2018-01-28T23:59:00+09:00
2018-01-28T23:59:08+09:00
2018-01-28T23:59:08+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
東京で記録的な大雪となり、大混乱となった(らしい)5日後、いつものように取材のために上京した空き時間で街頭スナップをした。たいていは特に場所を選ばずにたまたま訪れたあたりをランダムに歩くのだが、この日は千歳烏山ー千歳船橋の「ちとせライン」を辿った。僕が今おもに生活している長野県の軽井沢エリアでは雪はたいして降らなかった(その後の寒波の方が異常だった)のだが、東京にはこの日もまだ残雪があったので、よほど降ったのだろう。
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM
Sony α7RIII Carl Zeiss Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
さて、今回初めてこのブロクにα7RIIIの作品を掲載した。2017年11月末の発売日に買っており、仕事のポートレート撮影や犬の撮影、日々の散歩写真や勉強中の風景写真にと既にフル活用している。街頭スナップも、まだブログに掲載していないだけで結構撮っている。詳しいインプレッションはいずれ書こうと思っているが、一言で言えば素晴らしいカメラである。
僕は仕事用のデジタルカメラは必ず2台持つことにしているが、今はEOS5DMarkIVとα7RIIIの併用だ。初αの7IIからEOSとの併用を続けているが、レフ機とフルサイズミラーレスの組み合わせは案外使いやすい。7RIIIで「バッテリーの持ち」「連射速度」「AF-Cの追従性」というミラーレスの弱点が完全に克服されたので、もうα9と7RIIIの2台体制、あるいはRIII2台のソニーオンリーにしてもいいのかな、とすら思い始めている(ソニーのプロサービスに加入申込してしまったくらいだ)。
もちろん、ソニーに完全移行するには、それなりの投資とリスクが伴う。レフ機のメリットやキャノン(あるいはニコン)の「プロの道具としての安心感」もあり、まだEOSを捨てる決心はついていない。今年中にキャノンからもEFマウントのままでフルサイズミラーレス機が出るという噂もあり、やはりまだしばらく様子見といったところだ。
同時に、今やミラーレスもシリアスな仕事用として完全に使えるようになったので、キャノンEFの古いレンズを売却し、ソニーFEのシリアスなレンズを増やすというシフトを進めている。今回使ったGM(Gマスター)の85mm1.4とゾナー55mm1.8、FE28mmF2、トキナー20mmF2はRIII導入と合わせて、キャノンやなけなしのライカレンズ、趣味のオールドレンズを売りながらやりくりして集めた単焦点群だ。
Sony α7RIII Carl Zeiss Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7RIII Carl Zeiss Sonnar FE 55mm F1.8 ZA
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
今のところ、まだ前世代のα7IIは売らずに済んでいる。仕事で使う機会はもう想像できないが、街頭スナップのサブ機としてはまだまだ活躍の場がある。ただ、RIIIとAF周りの操作系が異なることと、RIIIのAFの使いやすさに慣れてしまうと、もはや7IIでAF撮影はしたくなくなってしまった。だから今はMF専用で考えている。今回はEマウントネイティブのトキナー20mm(これがまたすごくいいレンズだ)をつけたが、例えば僕はEマウントの35mm単焦点は持っていないので、マウントアダプターでライカ用の35mmあたりをつけてもいい。と言っても仕事で使わないまだ高値で売れるカメラを養うほど豊かではないので、そのうち手放す可能性大である。
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM (APS-C crop)
もう一つ、7RIIIの使えるところは、APS-Cサイズにワンタッチでクロップできることだ。7IIにもAPS-Cクロップ機能はあるが、カスタムキーを割り振ることができなかったのでいちいちメニューを開かねばならず、簡易ズーム機能として使うには実用的ではなかった(7IIでもデジタルズームにはカスタムキーを割り振れるが、デジタルズームはAFに制約があったりでいまいち使えない)。
7RIIIではこれができるようになったので、シャッター近くのC2ボタンに割り振った。ワンタッチで画角が1.5倍になるので、単焦点レンズなら簡易ズーム的に使えるし、ズームレンズならズーム域を望遠側にシフトできるのでとても便利だ。RIIIくらいの高画素機だと、1.5倍程度のトリミングは画質に全く影響しないと言っても過言ではない。もちろん、85mmをトリミングした127mm相当の絵と、135mmレンズの写りは違うし、それを知っているからフルサイズ機を使っている。でも、そういう所にこだわりすぎると写真の質を落としてしまうのではないかと思っている。保守的なことを言わず、便利な機能はどんどん使うべきだ。
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM (APS-C crop)
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7II Tokina FiRin 20mm F2
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM (APS-C crop)
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM (APS-C crop)
今回は三脚も持ってきていたので、夜景も少し。でも、東京で撮影中に寒くて辟易するなんて、今まであっただろうか。夜景撮影は早々と切り上げて長野へ帰った。
Sony α7RIII Sony FE 85mm F1.4 GM (APS-C crop)
Sony α7RIII Sony FE 28mm F2
Sony α7RIII Sony FE 28mm F2
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【21st Century Snapshotman 】秋葉原はやはり奇妙な街だった 2017 11/2
http://hoq2.exblog.jp/29099869/
2018-01-14T01:10:00+09:00
2018-01-14T01:23:48+09:00
2018-01-14T01:10:31+09:00
hoq2
写真(Street Snap)
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
こういうことは言ってはいけないのだろうが、事実だからしょうがない。秋葉原はやはり奇妙な街である。世界標準では児童ポルノそのものであるモチーフがそこかしこにデカデカと掲示され、その中を縫うように歩く5人に一人ほどは外国人である。海外から非難されても全くおかしくない物たちが、ここではむしろ当たり前に受け止められている。残りの世界の常識とは隔絶された聖域都市然としているから、秋葉原はやはり奇妙な街なのである。
Nikon F3 Ai-s Nikkor 28mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai-s ED Nikkor 180mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai-s ED Nikkor 180mm F2.8 Ilford FP4 Plus
オタクと言えば、古い世代から見れば「不可解な若者たち」の最たるものである。この街にはもともと若者から高齢者まで幅広い層が歩いていたように記憶しているが、以前は中高年層はオタク文化とは離れた所でこの街に用があるように見えた。しかし、今はその部分を年齢で分けるのは困難で、外国人観光客も入り乱れて、電気街を歩く集団は総体としてヌルっとしたオタク層を形成しているように見える。考えてみれば、オタク第一世代といわれる人たちは、既に還暦を迎えているのだ。
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
渋谷や新宿がマジョリティの欲望を吸い尽くす街なのに対し、秋葉原はマイノリティの価値観を肯定する街なのではないか。僕もオタク寄りの人間である。渋谷でナンパしたり、歌舞伎町の風俗に行ったことなど一度もないけれど、秋葉原のガンダムショップやプラモデル屋に足繁く通った時期もある。自分がマイノリティだからこそ、マイナーで弱い存在の立場や気持ちが分かるはずである。それなのに、“弱者”を乾いた欲望の玩具にするような行き過ぎた文化には、鬱屈とした狂気を感じる。ここは、マイノリティに勇気を与える素晴らしい街だ。だが、開き直ってメジャーになってしまうと、暗い部分が正論に晒されることになる。マイナーかつ激しいものは、もっとアングラでコッソリやるのが筋だと思うのだ。
Nikon FE Ai-s Nikkor 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Rollei A26 Ilford FP4 Plus
カメラはニコンF3とFEを使用。新聞社時代はニコンユーザーだったので、原点回帰と言えば原点回帰。きっちりと堅実に撮れる間違いのないカメラとレンズなので、逆にあまり語るべきことはない。FEは自宅に眠っていた妻の古いカメラを呼び起こして初めて使用。レンズは5本持っていったが、最近入手した20mmF3.5を積極的に使ってみた。ブログサイズでは分かりにくいレベルだが、思っていたより全体的に甘い印象を受けた。でも、僕のピント合わせが甘かったせいかもしれない。その証拠に結構前ピンのカットが多かった。レンズのせいにするのは時期尚早だ。
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon FE Ai-s Nikkor 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
秋葉原ほど現実とバーチャル・リアリティの境目が曖昧な街はなかなかないだろう。ガンダムやらプラモデルに夢中になっていた頃の自分が、目の前の現実よりもサイド7やらア・バオア・クーの方を向いてこの街を彷徨っていたから、今アキバを歩いている人たちの肌感覚もだいたい分かる。今だって写真という仮想現実そのものを作りに来ているわけなので、カメラを持った自分との親和性は、銀座や渋谷、新宿といった他の東京の繁華街よりも高いと感じる。それがたとえフィルムカメラというアナログなガジェットであっても、かえってデジタルの本質を知るこの街だからこそ、それを包括するだけの懐の深さはあると思う。
Nikon FE Ai-s Nikkor 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Nikon FE Ai-s Nikkor 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai-s Nikkor 28mm F2.8 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai-s Nikkor 85mm F2 Ilford FP4 Plus
Rollei A26 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Nikon F3 Ai Nikkor 20mm F3.5 Ilford FP4 Plus
Rollei A26 Ilford FP4 Plus
撮影から2ヶ月経った今、写真を見ながら振り返っても、やはり夢遊病患者のような秋葉原彷徨であった。
Nikon FE Ai-s Nikkor 50mm F1.4 Ilford FP4 Plus
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