写真事務所「ND2 studio」では、旧スタジオがあった東京・板橋区や現スタジオがある下町エリアでフォトウォークを開催しています。ND2のプロカメラマンが一緒に街歩きをし、ストリート・スナップのポイントをご案内します。本ブログでは、開催されたフォトウォークの様子や、コース紹介を随時公開しています。
Sony α7C / Canon New FD 135mm F2.8
藤子・F・不二雄は、自身のSFテイストの漫画はScience Fictionではなく、ありふれた日常の中に混在する非日常な世界=「Sukoshi Fushigi(少し不思議)」を描いていると語っていた。その少し不思議なSF空間は、僕が大好きな大人向けの『SF短編集』だけでなく、おなじみの『ドラえもん』や『パーマン』でも存分に描かれていた。
ND2 studioの隣には、高度経済成長期に開発された大団地群がある。敷地内に残された武蔵野の森の面影と未来的な超高層住宅が両立し、人工的な竹林、池や噴水、スーパー、幼稚園などもあって、それこそ少し不思議な人工都市である。ただし、ここで感じる未来は、現代基準の未来ではなくて、ちょうど藤子漫画が絶頂期にあった1970年代の“未来”である。そのなんとも説明し難い未来観も、これまた「少し不思議」なのだ。昭和45年生まれの僕がここで感じるのは、のび太のひ孫のセワシ君が住む「トーキョーシティー ネリマブロック ススキガハラストリート」の高層団地のイメージであり、『機動戦士ガンダム』のスペースコロニーの地球環境を模した都市空間である。
Sony α7C / FE 28-60mm F4-5.6
Sony α7C / Voigtländer Color Skopar 21mm F4 P
Sony α7C / Canon New FD 135mm F2.8
Sony α7C / Canon New FD 135mm F2.8
Sony α7C / Tamron SP 17mm F3.5
このSF団地を抜けて環八を越えると、隣町の西台である。ND2 studioがある中台と同じく「谷戸地形」の台地を形成するが、西台はスピリチュアルな雰囲気に満ちている。要所要所にパワースポット的なお寺・神社があったり、丘のてっぺんの開放的な空気感とは対照的な谷底の不思議な空気を感じたり、超狭小な路地の先に廃屋群があったりで、なかなかの曲者である。霊感が強い人は、きっとこの地に「何か」を感じるはずである。そう、西台にもまた、先の団地とは違った形の「SF」があるのだ。
Sony α7C / Leica Summicron 50mm F2 (4th)
Sony α7C /
Voigtländer Color Skopar 21mm F4 P
Sony α7C / Leica Summilux 35mm F1.4 (2nd)
コース最大のパワースポットは、その名も「西台不動尊」である。谷戸地形特有のすり鉢状の谷を見下ろすような位置にあり、谷底の淀んだ空気を浄化するパワーを感じる。あるいは東京全体の中で、何か結界的な役割を果たしているのかもしれない。周辺には、江戸時代以前の街道筋の雰囲気もあり、古くから人が住んでいた地域なのであろう。この場の独特な空気は、巨石信仰や自然崇拝などの日本古来の宗教観とも結びついているような気がしてならない。
Sony α7C / Voigtländer Color Skopar 21mm F4 P
Sony α7C /
FE 28-60mm F4-5.6
Sony α7C / Canon New FD 135mm F2.8
夕方の公園に響く子どもたちの歓声を背に、西台の丘の頂に立つ。そこから見下ろす環八の渋滞はちっとも不思議ではない現実世界のもののはずなのに、一帯にはまだSF=少し不思議な空気が漂っていた。
Sony α7C / FE 28-60mm F4-5.6
Sony α7C / FE 28-60mm F4-5.6
Sony α7C / Canon New FD 135mm F2.8
ND2 studioのフォトウォークでは、「中台コース」「上板橋コース」「西台コース」の3コースを設定しています。この「西台コース」は、大規模な高層団地群を抜け、ミステリアスな西台の丘を探検する全行程1時間30分〜2時間のコースです。
Nikon F3P / Ai Nikkor 28mm F2.8 S
Sony α7C / FE 28-60mm F4-5.6
Sony α7C / FE 28-60mm F4-5.6