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リタイア犬日記 ⑥ 2019 9/26 初外出


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知り合いのリタイア犬奉仕者の中には、なるべく色々な所に連れて行ってあげたいと、キャンピングカーを買った人までいる。犬連れで入れる施設が少ない日本では、案外合理的な選択だと思う。僕もできることならそうしたいが、理想を現実にするのは難しい。なので、せめて日々の普通の暮らしを大事にしたいと思っているが、たまに近隣に日帰りで出かけることくらいはできる。

マメスケとのそんなささやかな初外出は、自宅から車で1時間半ほど走った先の清里だ。自分たちが見たい写真展があったので、その時だけはマメスケに車で待っていてもらい、あとは犬連れOKのレストランのテラス席で食事をしてから散歩を楽しんだ。出会った他の犬連れの人や、声をかけてくる人たちは、マメスケを見て口々に「おとなしい子ね」と言った。元アイメイトだから事実そうなのだが、これは犬連れ旅行の際に、とてもありがたいことだ。一見して「おとなしい」と人々に感じさせることのできる犬は、犬嫌いな人も含め、雑多な人がいる観光地などでも受け入れられやすい。その結果、マメスケ自身も私たちもストレスなく楽しむことができるのが嬉しい。

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アイメイトの頃は、どこへでも使用者と一緒に入れたのに、今は建物の中に入ることはできないし、公共交通機関にも乗れない。だからといって、もちろん勝手に建物に入ろうとするようなことはなく、「急に入れなくなった」と不満を感じることもないようだ。むしろ、どこへ行っても分をわきまえた控えめな態度に見える。マメスケならば、本当はどこへ行っても迷惑はかけないのは間違いないので、こちらが恐縮するくらいだ。

とは言っても犬は人間社会の中では「弱者」である。弱いものに対して、「マナー」や「法律」を持ち出して、あら捜しをして力を誇示する者たちがいる。特に今の世の中では、彼らはインターネットの発信力を用いて惨めな自分を慰めるために弱者にマウンティングをしかけてくる。「マウンティング」という犬の行動が犬を含めた弱い者いじめのネットスラングになっているのは皮肉だ。ペットやアイメイトと自ら関わりながら多くの取材を重ねていると、そうした自称犬嫌いによる「マウンティング」の事例を見聞きする機会は人一倍多い。そして、僕の中でそれに対する警戒心が日々膨れ上がってきているのは否定できない。

なので、マメスケの「分をわきまえた態度」は、自分の身を守るためにもとてもありがたい。今の日本では、犬と愛犬家の権利を強く主張する勇気はとても持てないが、アイメイトのリタイア犬とリタイア犬奉仕者に社会的な役割があるとすれば、「よくしつけられた家庭犬」として行動で示し、理解を広めることなのだと思う。

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『リタイア犬日記』は、雑誌『愛犬の友』の連載と連動して公開しています。この記事の内容は、第1回「新たな絆」(2020年1月号)で一部触れています。


by hoq2 | 2019-12-25 13:47 | リタイア犬日記

(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。


by hoq2
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