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コンデジで街歩き 上諏訪散歩 Sony Cyber-shot DSC-RX100M6


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コンデジというものをほとんど持ったことがなかったけれど、昨年の秋にRX100M6を買った。今は自分専用のデジタルカメラを持っていない嫁のために、感性のままに撮れるコンパクトで万能なカメラが欲しかったので、24-200mmという高倍率ズームを搭載して登場したM6に飛びついた。

RX100シリーズは10万円前後する高級コンパクトで、一般的には「嫁カメラ」としてはオーバースペックなのだが、僕の嫁は新聞社でスポーツカメラマンをしていたプロなので、逆にコンデジでは申し訳ないと思いながらこれをプレゼントした。嫁は技術よりも感性重視の撮影スタイルなので、大きなカメラをレンズ交換しながら振り回すよりも、一台の小さいカメラでサクサク撮った方が合っていると思ったのも事実だ。とはいえ、「作品」を生み出すのに必要な高画質と高機能は必須であり、やはりただのコンデジでは役不足である。高級コンパクトは各社から出ているが、ソニーにしたのは「よく写る高倍率ズームを搭載した高級コンパクト」と言うと、RX100M6がドンピシャだったからだ。

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で、嫁のために買ったといいつつ、半分は自分が使っているというのは世の常で、僕も家族で出かけた時やちょっとした出張時には自分のα9/7RIIIを持ち出さずにRX100M6を使うことが多くなっている。

今回は、嫁と犬と上諏訪の町を散歩しながら街角スナップしてみた。「写真」よりも「散歩」を重視したいけど、スマホで記録する以上の「作品」を撮りたい。そんな微妙な要求に対して、この手のカメラは絶妙に応えてくれる。

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ご覧のように、少なくともブログサイズでは、コンデジの高倍率ズームだとは、言わなければ分からない画である。当ブログの「カメラ」カテゴリで前回、同じ画角に相当するフルサイズ用のFE24-240mmF3.5-6.3の実写レポートを書き、その高画質ぶりに驚いたが、まさに「高級高倍率ズーム」という新しいカテゴリが登場したと言っていいのではないかと思う。「安かろう悪かろう」な高倍率ズームも健在ではあるが、かつての自分が凝り固まっていたように、「高倍率ズーム=低画質」とは断言できない嬉しい状況になっている。

特にこのRX100M6用のバリオ・ゾナーは、高画質なうえに超コンパクトにまとまっており、その点では大柄なFE24-240mmF3.5-6.3を完全に凌駕している。10代からのツァイス信者で、今もフィルム撮影でヤシコンのバリオ・ゾナーを愛用している自分としては、バリオ・ゾナーだというだけでぐっと身近であり、強い信頼感がある。例えば、上の電球のショットなどが分かりやすいが、切れ味鋭くコッテリとした期待通りの描写が嬉しい。

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個人的には、やはり望遠側が200mmまであるというのは、相当にスナップの幅を広げると思う。東京のような混み合った都会ではせいぜい135mmまでで十分だとは思うが、空間が広い地方都市や田舎のスナップでは、被写体との距離感が都会よりも遠いので200mmまであると大変具合が良い。それと、散歩メインの「ながら撮り」では、手元のズーミングでサッと撮れるのはとても有り難いのだ。

さらに、こういう撮影スタイルの時は特に、小さいことは正義である。自分の手が届く範囲で、ローアングルもハイアングルも自在だというのは、ズーミングの自由度と共に大きく機動力UPに貢献している。

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一方で、僕はRX100M6がコンデジだからといって、「押すだけで写る簡単なカメラ」だとは思わない。むしろ、ちゃんと撮ろうと思えば思うほど、多彩な機能を使いこなしていかなければいけない。例えば高倍率ズームは、画角が自ずと決まっている単焦点レンズと違って、幅広いレンジから自発的に画角を選んで追い込んでいかなければいけないし、「親指AF」などのフォーカスモードの選択を単純化する機能がない分、フォーカスモードやAFエリアを被写体によってこまめに切り替えていく必要がある。さらには、タッチパネル・タッチパッドなどの保守的な一眼レフにはなかった新しい操作も習得しなければ、素早く正確にピント合わせをするのは難しいかもしれない。

そういう意味では、一眼やフルサイズミラーレスの方が操作そのものは楽である。少なくとも僕はそう思う。

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被写界深度に関しては、やはり物足りなさを感じる。1.0型センサーで広角側開放2.8、望遠側4.5というスペックだと、どうしても物体の質感で勝負したいカットや、背景を整理したい場合にはうまくいかない場合がある。ズーム倍率を抑えて広角側開放1.8、望遠側2.8となっている従来機種や兄弟機のM5Aでも、フルサイズやAPS-C機の立体感を表現できるかというと、それは無理な注文だ。

「ストリート・スナップの基本はパンフォーカスである」というのは真理だとは思うが、都会の雑踏を歩いたブレッソンや木村伊兵衛と違い、僕は今、超少子高齢社会で疲弊した地方都市を歩いている。朽ちていく物体や人がいない町の空気感、そこにいる自分の寂れた開放感といった心理を表現するのに、被写界深度やフルサイズのパースペクティブは重要なファクターだ。撮影に徹する時はフルサイズか35mmフィルムでスナップしているが、都会ではズーム、田舎では明るめの単焦点を使うことが多いのはそのためだ。

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逆に、都会の雑踏を機動力をフルに発揮してパンフォーカスで切り撮っていくような使い方をすれば、とても良いかもしれない。今度はシリアスな雑踏のスナップ撮影にも持ち出したいと思う。

何はともあれ、今回のような散歩写真は、より本格的なカメラでも、スマホでも撮れなかったと思う。カメラという工業製品としての技術的な面だけでなく、作品主義に立っても、RX100M6はブレークスルーを果たしたカメラだと思う。

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by hoq2 | 2019-01-09 12:08 | カメラ

(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。


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