【21st Century Snapshotman 】ニコンへの回帰 長野・松原湖 (2017 6/21)


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このところ『Paper Pool』の合同企画展に連続して出品させてもらっている。このギャラリーの特徴として、カメラの機種やフォーマットなど、いわゆる「機材縛り」の企画が多いのだが、今度のお題は「ニコンF」とのことで、自分の出番はないと思っていた。Fがいくら名機だといっても、今あえて遡って使う理由が自分にはないし、かつて現役で使っていたわけでもない(Fは僕が生まれる前に発売されたカメラだ)。

もちろん、『Paper Pool』さんの企画はいつも興味深くフォローしているので、「Fだけでなく、Fヒトケタに広げてはどうか」という意見を巡って喧々諤々があったのは横目で見ていた。それで、「F2、F3はOKにしよう。ただし、モータードライブはなし」(要はMF一眼のニコンフラッグシップ)という結論を見て、F3ユーザーとして参加表明させてもらった。とはいえ、僕の手元にあるF3は、アマチュアカメラマンである義理の母のもらった5、6台の「使わなくなった銀塩カメラ」の一台であり、僕はこの一年ほどその中の一台であるライカM6TTLに夢中になっていたので、そのF3には一度もフィルムを通していなかった。

だが、20代のころ新聞記者として仕事カメラに使っていたのがこのF3とF4であり、その後カメラマンに転身してF5、D1、D2、D2Hとニコンのフラッグシップを10年余り使ってきた。僕にとって、(今はキャノンユーザーなのだが)ニコンはプロとしての自分の写真の原点である。

そういう特別な想いがあるカメラなので、開催まで数週間、F3の新作が1枚もない状態で参加表明させてもらった。自分の場合、写真を撮りためて一区切りついたら発表するという手順を踏みたいので、個展などの枠が先に用意された状態で「作品展のために撮る」ということはほとんどやらない。だが、今度は状況が状況なので、「F展のためにF3で撮る」ということをせざるを得なかったのだ。ただ、あまり「Fっぽい写真を撮る」という目的に縛られたくはなかったので、まずは用事でたまたま出向いた長野県・八ヶ岳山麓の松原湖をF3とサブのOM4で撮ることにした。

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このブログでよく書いているように、僕はボディ2台にレンズ5本くらいで街頭スナップをすることが多い。ボディ2台にそれぞれ今なら24-70の標準ズームと70-200望遠ズーム(または16-35の広角ズーム)をつけて、あらゆる状況に瞬時に対応するというのが、特に新聞の報道カメラマンの基本スタイルである。僕はその文化で修行したので、今でも報道系以外の仕事でも2台体制が当たり前になっている。とはいえ、今回はお題のカメラはF3一台しかないので、ここはあえて自分のスタイルを貫くことを優先して、サブにお題とは無関係のOM-4を持ち出した(軽快なOMシステムはサブカメラに最適で、最近お気に入り)。レンズはF3用がAi28mmF2.8s、Ai50mmF1.4、Ai85mmF2s。OM-4はZuiko35mmF2.8、Zuiko21mmF3.5、Zuiko135mmF2.8。

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僕のF3のイメージは90年代初頭だ。発売は1980年とずいぶん古いのだが、2000年まで生産していた息の長いカメラなので、重ね合わされる時代背景が人によって結構違うのではないかと思う。僕の場合は、1993年に新聞社に記者職で入社(後にカメラマンに転身)し、仕事用と自分の趣味用を兼ねて中古のF3を買った。写真部のカメラマンは会社から機材を支給されるが、地方版などでは記者が自分で写真を撮る場合がほとんどで、それ用の「記者カメ」は支給されず、皆思い思いに私物を使っていた。ただし、会社からレンズを借りたりプロサービスを受けることができるため、ほぼ全員がニコンであった(写真部員には少数ながらキャノンユーザーも当時からいた)。

報道の話から離れても、F3の時代的イメージは不変だ。だから今回、せっかく松原湖というマイナーながらも観光地に来たのだから、何かバブル崩壊前後あたりのその時代の、まだ「いい日旅立ち」的な昭和の臭いが残る旅情を撮りたかった。松原湖は今回が初訪問だったのだが、おそらく1993年あたりに来ても、その10〜20年くらい前のノスタルジーを感じる場所だったのではなかろうか。今調べたら、「いい日旅立ち」は1978年のリリースらしいから、ちょうど良い感じだ。



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しっかり間違いなく撮れる感じはやはりニコンであり、ニッコールの線の太いしっかり感とズイコーのどちらかと言えば繊細なシャープさとは、描写の傾向が違う。まあ、しかし、ここで混ぜ込んでも言わなければ分からないレベルではある。そもそも、レンズの「味」なんていうものは、絞っちまえば皆一緒だというのが真実であろう。しかし、そう思っていた割には、今回は傾向の違いが出たように思う。奇しくも同じ水辺となった前回投稿のキャノンFDとオリンパスズイコーで撮った「手賀沼」は、違いがほとんど見られなかった。


似ているから相性がいいのか、違いが際立つ方がいいのか。まあ、それはどっちでもいいのだろう。そのあたりは自己満足の世界以外の何者でもないのだから。

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ただ、思うのは、ドイツ車に乗っていた20-30代の頃はニコン派で、イタリア車に乗っている40代の今はキャノン派というのは、関係があるような気がする。一方で、趣味の方のレンズはツァイス派からライカ派になってきており、逆の好みになっているような気がする。要はこれもまた、「どっち(で)もいい」というのが正解なのだろう。あまりレンズの「味」に引っ張られない方がいい。

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1時間程度で一周できる小さな湖(前回の手賀沼は沼なのにここよりずっと大きい)だが、ご覧のように時代に取り残されたようなタイムスリップ感がある空間である。「いい日旅立ち」なちょっと昔の旅情は確かに感じられたが、それにしても寂れ過ぎかもしれない。「2020年」という数字があちこちで変革の目安・目標になっているように、こういう昭和の廃墟のような景観が一新される日も近いであろう。

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「F展」には2枚出す予定である。もう1回か2回、F3で撮影に行く必要がありそうだ。

【使用機材】
・Nikon F3 HP
・Ai Nikkor 28mm F2.8 S
・Ai Nikkor 50mm F1.4
・Ai Nikkor 85mm F2 S

・Olympus OM-4
・Zuiko Auto-W 21mm F3.5
・Zuiko Auto-W 35mm F2.8
・E.Zuiko Auto-T 135mm F2.8

     

by hoq2 | 2017-08-18 01:33 | 写真(Street Snap) | Trackback | Comments(0)

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