【126フィルム インスタマチックでスクエアフォーマット】 ローライ A26復活への道


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Rollei A26 Sonnar 40mm f3.5 Ilford FP4(Reloaded 126 cartridge)

インスタマチックカメラをご存知だろうか?あるいは、126フィルムを知っている人は今、どれくらいいるだろうか?40代半ばの私も、自分の手で扱うのは後追いで興味を持ったごく最近である。APSフィルムならば、記憶に新しい人も多いだろう。APSは1990年代に登場し、デジタル化の波に飲まれた「カセットポン」の簡単フィルムだが、これに先立つ1960-70年代に一時代を築いたカセットフィルムの一つが、126フィルムだ。フィルム自体は35mm判だが、26x26mmの正方形フォーマットである。コダックが簡便さを売りに「インスタマチック」として1963年に発表し、アメリカではファミリー向けのカメラとして結構普及したようだ。だが、汎用性の高い従来からの135フィルムと併存することはできず、1970年代以降急速に姿を消した。

今、僕はこのフォーマットにハマっている。スクエアを撮りたいのなら、「いろはす」な女子カメで流行っているマミヤスケッチなんかどう?いや、正統派は6x6だろう。スマホで十分じゃね?そもそも、トリミングすりゃあいいじゃん・・・そんな声をはねのけてまで、僕が「126」にこだわるきかっけは、かつてベルリンに通って写真を撮っていた時に、何の気なしに、見た目のデザインだけでこの「Rollei A26」というカメラを土産に買ったことだった。それがちょうど126フィルムが完全に生産中止となった2007年のことで、当時はギリギリ最後まで作っていたイタリア・フェラーニア社製の「Solaris」ブランドの126フィルムが手に入った。でも、その当時買った、たった1本のカラーネガフィルムは、今日まで防湿庫に眠っている。

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このA26は、今風に言えば高級コンパクトカメラと言えるだろう。今もファンが多いローライ35に対し、よりライトユーザーを狙った製品だが、コダック製の普及機が固定ピント・固定絞りのプラスチックレンズだったのに対し、A26は目測ピントながらクリアで見やすいファインダーに、しっかりとゾナーレンズを搭載している。露出制御は1/250〜1/30・F3.5〜F22のプログラムAEのみ。ピントは目測手動、露出は全自動と、まさにアナログ時代の「かんたんカメラ」なのだが、実用の際にはこのマニュアル制御できない露出制御で結構苦労した。その話は後で書くとして、このカメラのメカとしての一番面白い部分は、ボディを左右に引っ張ることにより、巻き上げとレンズの沈胴の動作を同時に行う点である。この「横に引っ張る」という巻き上げは、70年代に日本でも普及した横長のポケットカメラ(110フィルム機)に踏襲されている。



上の写真2枚と動画でA26の沈胴・巻き上げ機構は理解してもらえたと思う。さて、問題はフィルムである。プラスチック製の126カートリッジの中には、ブローニーフィルムのように裏紙が巻かれた35mm判のフィルムが入っている。単純に考えれば、カートリッジを分解して暗室で135フィルムを詰め替えれば良さそうなものである。ただし、126フィルムと135フィルムはパーフォレーションが違うのだ。126フィルムは、下にしかパーフォレーションがなく、1コマあたりの大きさが135よりも一回り大きいものが1カットに1つずつついている。これによって、等間隔のコマ間でフィルムを巻き上げていくわけだが、135フィルムを詰めるとパーフォレーションが違うのでうまく巻き上げられなかったり、コマダブリを起こしたりする。しかも、カメラによって巻き上げとシャッターチャージの機構が違うので、対処法は一概には言えないのだ。しかし、海外サイトにいくつか先人の成功例が出ていたので、まずは期限切れの126フィルムを入手して、カートリッジを入手することにした。

これが、ちょうどヤフオクに出ていて入手した1970年に期限切れとなったVerichrome Pan(ISO125・モノクロ・12枚撮り)。Ebayにはちょこちょこ出ているが、国内ではかなり貴重。

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これをA26に詰めて、まずは撮影。犬を連れて高原の別荘地にある我が家の裏の車山湿原へ。A26は小さくてレンズが引っ込むので、山に持って行って記念写真を撮るのにちょうどいい。A26フィルムは12枚撮りと24枚撮りが一般的だが、こういう時は1回のイベントで撮りきれる12枚撮りがベターだ。46年前に期限切れになっているので、感度は確実に落ちているだろう。全自動露出なため撮影時の調整はできないので、現像時の増感(D76 1:1で指定の20℃・9分+1分30秒)で対処する。

その結果上がったネガがこちら。全体に眠い印象なのはうっすらと平均的に被っているからか。しかし、半世紀近く前のフィルムでここまで撮れているということに、むしろ驚いた。

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そして、それをフィルムスキャナーでスキャンしたのがこちら。僕は、上級機のミノルタ・Dimage Scan Elite 5400と、中級機ながらブローニーや4x5もスキャンできるエプソンF3200を使っているが、135専用のDimage Scan Elite 5400では上に寄ったスクエアフォーマットの126判をノートリで取り込むことができない。そこで、F3200の片側ガラスタイプのブローニー用ホルダーにネガをテープで貼るやり方で取り込んだ。

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さて、ご覧のように1コマダブってしまったのだが、撮影時の状況としては、一連の巻き上げ動作をしたにも関わらずシャッターが下りず、何回かガチャガチャやってたら暴発的に一枚取れてしまったような状況であった。一言で言えば、ジャムってしまったわけだ。あとで見てみると、下の写真の巻き上げ動作に関係するボディ側のプラスチック製の歯車の歯が一つ欠けていた。今となっては最初から欠けていたのか、ジャムった時に壊してしまったのかは分からないが、2500円でジャンクが出ていたので部品取りして交換修理した(写真はは交換後の状態)。

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そして、いよいよ現代の135フィルムへの詰めかえに挑戦である。現像時にカートリッジの分解には成功。両手で持って何度かひねるようにすると半分に割れる。コダック製のカートリッジは丈夫にできていてほぼ必ずヒビが入ってしまうが、プラモデル用の接着剤や瞬間接着剤で補修すればOKだ。中のフィルムを生かさないのであれば、明るい所でカッターナイフなどを使ってじっくりと分解すれば失敗はないだろう。

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カートリッジの分解から詰め替えは、この動画を参考に、ほぼその通りにやらせてもらった。このやり方では裏紙を使うが、裏紙なしでフィルムをじかに詰めている人もいる。裏紙ありのメリットは「撮影枚数・フィルムの終わりが分かる」「フィルムのみよりは平面性が確保できる」「感光のリスク低減」など。裏紙なしのメリットは、詰替え作業の簡便さとフィルムを有効に使えるコスパの良さだろう。裏紙は繰り返し使っていると破けたりするが、テープで補修しながら使えば結構長持ちするというのが、これまでの実感。最悪、ブローニー用の裏紙をカットして再生できるはずだ。だから、僕は「裏紙あり」でやっている。



暗室(僕の場合はダークバッグ内)での手探りでの作業になるので、慣れるまでは結構難しいかもしれない。僕はジャンクフィルムを使って明るい所で練習を繰り返した。僕の場合は巻き上げトラブルなどのリスクを極力減らすために12枚撮りオンリーだが、器用な人、あるいは裏紙なしなら20枚撮り・24枚撮りも行けるだろう。カートリッジのサイズ的に36枚撮りは難しいと思う。

詰替えがうまくいけば、いよいよ撮影だ。ここでまた一工夫必要になる。

そうそう、その前に大事なことがひとつ。先述のように、本来の126フィルムは上にはパーフォレーションがない。ネガの写真を見てもらえば分かるが、スクエア画面はフィルムの上に寄った形となる。つまり、135フィルムの詰め替えだと、上のパーフォレーションが絵にかかってしまう。僕は、逆にこれが良いと思って、ブローニーでもトリミングでもスマホでもなく、「詰め替え126フィルム」にこだわっているというわけだ。逆に言えば、パーフォレーションがかかるのが受け入れられない人は、インスタマチックカメラで撮るのはやめたほうがいいだろう。

さて、話を戻して撮影時の一工夫とは、「一コマ飛ばしで撮る」ということだ。135フィルムのパーフィレーションは126フィルムよりも間隔が狭いので、普通に撮ったらたいていコマがダブってしまう。A26の場合は1コマ飛ばすことで、それを避けることができる(何コマ飛ばせばいいかはカメラによるようだ)。具体的には「1枚撮ったら巻き上げ、さらにレンズにキャップかカバーを被せて空シャッターを切ってもう1回巻き上げる」ということを繰り返す。A26の場合は、これで12枚撮りが10枚撮りになるが、コマ間が広めになることで、スキャン時にテープでキャリアに貼り付ける(このやり方でないと上のパーフォレーションを活かしたノートリでの取り込みができない)のが容易になるというメリットもある。

沈胴式のA26のゾナーレンズにはキャップがついていないが、ペットボトルのキャップがちょうど良いサイズだ。光を遮るには黒でなければならないが、そうなるとコーラゼロのキャップ一択となる。

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そうやって撮るとこんな感じのコマ間のネガになる。

それと、もう一つ問題が発生した。インスタマチックの場合、カメラ側にはISO感度の設定がなく、フィルム側のケースにつけられた「切り欠き」によって感度の情報がアナログ的にボディに伝えられる。これも機種によってISO感度の設定自体がなかったり、「Hi」と「Low」のざっくりした切り替えしかなかったりする。A26の場合は「ISO64-400」に対応と謳っているが、どうやら「Hi」「Low」の2段切り替えらしい。

で、それを理解したうえで、ISO100相当のベリクーローム・パンのカートリッジにISO125のフィルム(イルフォードFP4プラス)を入れて普通に撮ったわけだが、僕が求めるネガ濃度を基準にすると+3くらい露出オーバー(濃い=写真が明るすぎる)ネガになってしまった。cds露出計の劣化や高速シャッターの精度が出ていないなどのカメラの経年劣化も考えられるが、僕は次のように3つの要素が3段オーバーに結びついていると考えた。ちなみに、上のネガは、試行錯誤の過程の1〜2段オーバーのものだ。

1. 「Hi」と「Low」の2段式だとすれば、「Hi」がISO200相当、「Low」がISO64相当。つまり、ベリクロームのISO100のカートリッジを入れるとISO64基準の露出になる。そこにISO125のフィルムを入れたので、+1

2. プログラムAEの味付けがオーバー目。人物の記念写真がメイン用途のこの手のカメラは、空バックや逆光で人の顔がつぶれないよう、オーバー目に振った味付けになっていると思われる。また、ネガカラーの使用がメインに考えられていたはず。ネガカラーのラチチュードは+3・-1なので、それも+側に振る理由になる(写ルンですもこういう設定)。これで+1

3. 僕が自家現像で目指すモノクロネガの濃度は、ラボの機械焼きよりも1段ほど薄い。これを考慮して+1

ということで、3段オーバーになってしまったと思われる。1段オーバーなら許容範囲なのだが、3段はモノクロネガ(カラーネガよりラチチュードが狭い)メインの僕には困るわけで、2段もしくは3段分を吸収する方法を考えなければならない。マニュアル露出のカメラなら何も困らないのだが、この点、フルオートというのは困ったものである。

というわけで、最終的には次のような形で解決した。

1. ISO200のカートリッジを新たに入手(部品取りのジャンクボディに運良く入っていた)。これにISO100(125)のフィルムを入れる。−1

2. A26のような古い電気式カメラは、本来は環境汚染対策で生産中止となっている130Vの水銀電池を使用する。現代の135Vのアルカリ電池等でも作動するが、その場合は露出計の反応が強くなりすぎる(暗く写る)。そのため、クラシックカメラには電圧降下アダプターを使うのが王道だが、これを逆手に取ってあえて135Vで劣化による電圧降下が少ないSR44型電池をそのまま使う。-1

3. 現像時間の短縮(ISO50相当)。-1

ネガカラーの場合は3はなしでちょうど良いくらいだろうから、減感指定せずに普通にラボに出して問題ないだろう。

そういうわけで、テスト撮影で以下のような写真が撮れた。今後は、A26の本来的な使い方の記念写真に加えて、普通の135判のモノクロ街頭スナップに自分が撮ったという烙印的に126写真を混ぜるという使い方をしていこうと思っている。パーフォレーションつきのスクエアが、僕のトレードマークみたいになればいいな、という感じだ。

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以下は山歩きの記念写真。コンパクトに収まるこのカメラの本来の使い方は、こういう純粋で伝統的な記念撮影であろう。

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そして、スクエア病はさらに悪化して、この後、レンズ交換ができるローライSL26なんていうカメラも復活させたのだが、それはまた長くなるのであらためて書かせてもらいたい。

     


by hoq2 | 2016-07-23 23:31 | カメラ | Trackback | Comments(0)

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