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【Nagano Snapshot】プアマンズ・ライカで歩く中山道・和田宿


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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

伝統的なRR(リアエンジン・リアドライブ)のポルシェ911に対し、他のスポーツカーでは一般的なFR(フロントエンジン・リアドライブ)を採用した“鬼子”のようなポルシェが、かつて存在した。924、928、944、968という1970-90年代に販売されたモデルである。これらは、あくまで王道として存続している911に比べて価格が安く抑えられ、「プアマンズ・ポルシェ」と揶揄された。しかし、僕はブランド的価値よりも実用性やコストパフォーマンスを重視する。もちろん、安かろう悪かろうは論外で、自分の用途に照らし合わせてベストな道具を選んでいるつもりである(だから、時にはバカ高いフラッグシップモデルも買う)。そういう中で、30代の時に「ラスト・プアマンズ・ポルシェ」である968に乗っていたことがある。走りでは911に全く劣らない(バランスの面ではむしろ完全に凌駕している)し、国際A級ドライバーでもない僕の身の丈に合った、素晴らしいポルシェであった。

ドイツつながりで言えば、カメラの世界でポルシェに当たるのはライカであろう。最近再開した純粋なライフワークとしての街頭スナップのフィルム撮影には、M6TTLやエルマー、ズマロンといったライカを使っている。しかし、商業的な仕事がおおいに絡んでくるデジタル撮影に、新品価格100万円を超えるM9以降のデジタルライカを買おうなんてチラリとも思ったことがない。僕の仕事の内容やギャラの水準から言って、まったく割に合わないし、たとえ割に合ったとしても、同じ金を出すのならキャノンやニコンの最新のフラッグシップやレンズに使うだろう。あえて不便な部分を残し、成熟した技術を最高の水準で実現しているのは分かる。でも、デジタルライカは少なくとも今の僕には「仕事用」にはならない。

でも、仕事を離れれば、やっぱり欲しいのです。とは言っても、(少なくとも直接的には)金を生まないカメラに100万とかかけられる余裕があるはずもなし。そこで、デジタルライカ版の「プアマンズ」を使うことにしたのだ。なんのことはない、数千円のマウントアダプターでアナログライカ用に持っているMマウントレンズを、仕事と作品撮り兼用のα7IIにつけただけである。もちろん、968同様、技術的にはαの方がライカよりもずっと先進的で、写り自体はライカボディよりもむしろ良いはず。コスパはかなり良いと断言できる。

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我が「プアマンズ・ライカ」。α7II+八仙堂ライカM-ソニーEマウントアダプター、エルマーM50mmf2.8、ズマロン35mmF3.5、ビオゴン28mmf2.8、ロッコール90mmF4。レンズもライカブランドにはこだわらず、「下手したら上位モデルやライカ製よりよく写るが価格もスペックも抑えめ」という、「プアマンズ」精神に則ったラインナップである。

前置きが長くなったが、長野県内の街や村をスナップする今回の『Nagano Snapshot』は、この「プアマンズ・ライカ」のテストを兼ねた「中山道・和田宿」である。由緒ある中山道の宿場町の中では渋い脇役的な部類に入る、こちらも良い意味で「プアマンズ」精神あふれる場所をその初陣に選んだつもりだ。

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

和田宿は長野県長和町の旧和田村の中心にある宿場町だ。諏訪と上田の間くらいと言えば多少土地勘がある人には分かるだろうか。詳しくは公式HPをご覧頂きたい。僕は、蓼科高原にある自宅から車で行ったので、国道沿いの道の駅に車を置き、木製の歩道橋を渡って旧街道に向かった。もともとそう観光客が多い所ではないが、清々しい、静かな梅雨の晴れ間の月曜日であった。

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

「〇〇町・何丁目何番地・〇〇号」という地番表記は日本だけである。世界で主流の住所表記は欧米型の「〇〇ストリート〇〇番」という「通り名+建物番号」表記だ。詳しくは国際ニュースのまとめサイトに書いた拙文をご覧いただきたいが、なぜこうなったかというと諸説あって結局よく分からないのだが、欧米の都市はまず道路ができてそれに沿って人々が家を建てたが、日本は先に空き地に家が建ち、家と家の間が自然と道になったという説がある。ただし、街道の宿場町の場合は「先に道ができた」はずであり、その点では和田宿にはこの説は当てはまらないかもしれない。一方で、道の駅から現代の国道を渡って旧道の街道筋に至るまでには、いかにも空き地にポンポンと建っていったという民家や畑があり、つまりは街道のバックヤード的な村を形成していて、興味深い。

石がズラッと乗った旧本陣の屋根が見えてきたら、旧中山道である。

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

この旧本陣は、歴史資料館になっていて、内部を見学できる。しかし、この日は定休日であった。田舎ではせっかく入ろうとしたら休みだったということがやたらと多い。本気でお目当ての施設や飲食店を訪ねるのなら、必ず事前に最新情報をチェックすることをオススメする。

「まあ、いつものことだし」と気を取り直して街道沿いをそぞろ歩く。

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

往時の宿屋を偲ばせる木造家屋はやはり見事で、そのうちの1軒の軒下にはズラリとツバメの巣が作られていた。都会の鉄筋コンクリートのビルにもツバメの巣はあるが、やはり木造家屋の方が巣を作りやすかったり、居心地が良いのだろうか。

そして、その先には、まだ生きている昭和の残照があった。

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

こうした昭和の残照たちにシャッターを切りつつさらに進むと、やがて前方に本日のメインエベントが出現した。昭和の残照というより、すでに残骸だ。このガソリンスタンドは、平成の大合併の前まで村人の暮らしと共に発展し、活気にあふれていたに違いない。

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

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Sony α7Ⅱ Leitz Summaron 35mm f3.5

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

本当に理想的な褪せ具合、錆具合だったので、全レンズを使って撮りまくってしまった。こうして物質文明的な昭和が風化して、どんどんバーチャルな世界にシフトしていっているのが今の日本である。僕はそれを嘆かないし、古いものが良い、新しいものはダメという二元論は馬鹿馬鹿しい。良いも悪いもなく、世の中の常識は変わっていくのだ。ただ一つ言えるのは、街頭スナップを撮っていると、最近は残骸や廃墟といったものばかりが目につくということだ。もうこのジャンル自体がオワコンなのだろうか?いや、現実世界が全てバーチャルに飲み込まれるはずはなく、現実世界があるからバーチャルも存在しうる。つまり、現実世界はいずれまた別の形を取ってまた別の形の活気を得るのだから、それを撮ればいい。今は特殊な「過渡期」が少しばかり長く続いているだけだ。過渡期に巡り会えたのはむしろラッキーであろう。それに、「腐ったガソリンスタンド」はとてもいい被写体だ。

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

宿場町の外れの八幡神社には土俵があった。これは過去の遺物というわけではなく、今も毎年5月に相撲大会が開かれるそうである。30年ほど前、相撲好きの都会の高校生だった僕らは旅先で神社や校庭に土俵があるのを見て、驚いたり喜んだりしたものだ。当時から都会っ子の目には珍しかった。伝統として保護されるべきものは、しっかり番犬に守られている。現場の人たちの苦労に感謝しつつ、外野からはその行く末をそれほどには心配しなくて良いだろう。

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

いったん国道に出て、川沿いに旧街道に戻った。「田島魚店」の所から旧本陣を通り過ぎ、反対側の宿場町の端まで歩いた。

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

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Sony α7Ⅱ Minolta M-Rokkor 90mm f4

端から端まで歩いて15分ほどの、静かな静かな宿場町である。観光地として再開発するプロジェクトもあるようだが、同じ中山道の奈良井宿や妻籠宿のように、現役の旅館や土産物屋、資料館などが連なる観光地という感じではない。ここだけを目的に遠方から観光に来るのはやめたほうがいいかもしれない。しかし、カメラを手に歩くのなら話は別だ。一本の道を往復するだけで、濃密な時間を、その時も、撮った写真を整理する時にも、二重に楽しむことができる。だから街頭スナップはやめられない。

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Carl Zeiss Biogon 28mm f2.8

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Sony α7Ⅱ Leica Elmar-M 50mm f2.8

「プアマンズ・ライカ」、いいと思う。レンズの個性を余すことなく、しかも現代的に発揮するα7Ⅱボディを介した写りはもちろん、Mマウントアダプターをつけての操作性も全く問題なし。広角レンズ使用時のマゼンタ被りなどの問題も見られなかった。こうも良いのなら、やはりキモであるマウントアダプターはしっかりとしたものを使いたい。今回使った中華製激安アダプターが悪いわけではないが、ヘリコイド付きで最短撮影距離を一眼用レンズ以上に縮めることができる、コシナ・フォクトレンダー製のVM-E Close Focus アダプターを導入する決心がついた。

         




by hoq2 | 2016-06-25 12:08 | 写真(Naganao snapshot) | Trackback | Comments(0)

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