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梅雨の蓼科をネイチャースナップする

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

自分はストリート・スナップを本分とし、こんな本も出してるのだが、今は山暮らしをしているのでストリート(街頭)そのものが身近にない。社会人になるまで日本では東京にしか住んだことがなく、写真を始めたのが高1の時だから、目の前の街頭風景を被写体にしたのは自然な成り行きでもあったのだろう。午前中は学校に行かず、通学途中の渋谷とか高田馬場を、カメラを肩に下げてウロウロしていた。制服がない学校だったので、そういうことがしやすかったのだ。

それが写真の原点だから、社会人になって初めて地方に行った時に、全く写真が撮れなくなった。新聞記者だったので、仕事では写真を撮るし、転勤先は、わざわざ写真を撮りに来る人の多い三つ星の観光地、飛騨高山である。それでも高山で自分の写真をほとんど撮っていない。もちろん、高山は素晴らしい町だし、周囲の自然も素晴らしい。NaganoSnapshotを始めて「人のいない田舎町」を撮れるようになった今なら、いくらでも撮っているだろう。当時はおそらく、東京的な猥雑さと哀愁がない、整いすぎたマジメな町並みに戸惑っていたし、「新聞写真」という基礎中の基礎みたいな写真を日々撮っている中で、芸術的な感覚が完全に鈍ってしまっていた。

その後、東京に戻って息を吹き返したが、今、再び蓼科という、町ですらない「山」にいる。先述のように山を下りて町や村を撮ってはいるが、目の前の「山」に再び写真的に戸惑った。正統派の風景写真も自分なりに勉強はしてはいるが、やはりスナップマンの本分を生かした形で自然を撮りたい。それを犬の散歩のついでなどに練習をしてFacebookページにはちょこちょこ上げているのだが、今回は少しマジメに、装備を整えて蓼科湖から横谷峡入り口までの片道3km余りの散歩・サイクリングコースをフレンチ・ブルドッグのマメと歩いた。

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

FBに上げた以下のアルバムで練習した結果、ちょっとした視点の変化によって、グッとネイチャースナップの視界が開けたような気がする。カメラ的な言い方をすれば「マクロの視点」を加えたのである。山にはどうということのない草花が至る所にある。それを漫然と草むらとして見ているだけではどうにもならないが、マクロの目で見ると面白いしきれいだし、発見がある。

FBアルバム「名玉:Makro Planar 100/2.8 AEG」
FBアルバム「梅雨/蓼科の草花」
FBアルバム「マメのぼうけん」

草むらと言えば、学生時代、自分の心の荒廃の写像として草むらばかり撮っている仲間がいたが、それはそれで素晴らしい作品群だった。その草むら写真に敬意を表しつつ、今の僕的には、もっと客観に寄ってはいるが自己投影的ナイーブさも秘めたスナップフォト(ネイチャースナップ)を目指したい。それは即ち、広角で草むらを撮るのではなく、マクロ寄りの視点も持つことである。

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

季節は梅雨である。湖を離れてちょっとした森に入ると、あらゆる所に水滴があるような濡れた季節感だ。湿度は高いが涼しいので、ジメジメした都会の梅雨の感じとは違う。ここ数年の蓼科は、梅雨は梅雨らしく雨続きで冬は寒くて雪が多い。ある意味、正しい季節感がある。

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm 4

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         α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm 4

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm 4

仕事でマクロを使う機会は少ないので、これまではレンズメーカー製の適当な安いレンズを長年使い古してきた。そのレンズは別に悪くはないが特段良くもないという、無難なレンズであった。今回は、仕事でもっとマクロを使っていきたいと考えたのと、このネイチャースナップのような自分の写真にも生かしたいということで、マクロプラナーに入れ替えてみた。

とは言っても、これはEOS用のLレンズでも、α7用の新製品でもなく、最新設計の同名のレンズでもなく、旧コンタックス用のオールドレンズである。このマクロプラナー100は、名玉の誉れ高いのだが、キャノン・ソニーの現行高級レンズのような完璧なレンズではない。当時は完璧だと言われていたが、今の目で見れば甘い部分はある。例えば内面反射の事はこちらのFBの投稿に書いた。

それでもアナログレンズにこだわるのは、良いアナログレンズでしか表現できない「完全に近い不完全」から滲み出る「色気」というものが実在すると、信じているからである。僕は「マウントアダプター遊び」はしない。オールドレンズを使う時は、シリアスな戦力として使う。ただし、それはあまり科学的な態度ではないし、感性の上でも紙一重、技術的にも失敗と隣合わせである。だから他人にはオススメしない。僕自身、芸術性が求められない部分で間違いのない表現も必要としている。だから、ズーム中心に現行レンズもちゃんと揃えているし、その素晴らしさも普通に評価している。

アナログだからいい、デジタルだからダメといった、古いもの>新しいものという中年以上のインテリ層にありがちな感性はダメだ。そういう単純化のもとにオールドレンズを捉えてほしくはない。それは単に、新しいものについていけない自分を自己弁護する、無自覚な保守的な頑迷さの産物でしかないと思う。二項対立的に単純化された戦後の世界観で育った50代以上の人たちは仕方ないと思う。彼らは賢いので理屈では真実を分かっているとは思うが、戦後社会の刷り込みはそれ以上に強烈だからだ。しかし、先入観なく現実と真正面に向き合う感性を持っているはずの40代の僕の世代でも、案外みんなそんな感じなのだ。そのことについては、単純にびっくりしている。

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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           α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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        α7II Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

森を抜けて少し移住者住宅がある開けた場所に。飼い猫とマメのにらみ合いなんかもあり・・・

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         α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

都会にいると気づきにくいかも知れないが、今、田舎ではちょっとした空き地があればここぞとばかりに太陽光パネルが設置されている。今は形だけ、利権がらみで申し訳程度かもしれないが、焦って原発反対と騒がなくても、時代はちゃんと動いている。どうせ物事、ゆっくりとしか進まないのだ。

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

折り返し地点の横谷峡入り口に到着。ここには温泉施設やいくつか店があるが、ここ10年くらいでずいぶん寂れてしまった。今、地方で賑わっているのは、世界遺産などの付加価値があったり、外国人観光客にアピールできるごくごく一部の場所である。例えば、ここから山を反対側に下った軽井沢のアウトレットなどは、休日は大渋滞で近づくことすら難しいほどに賑わっている。

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

横谷峡そのものは素晴らしいハイキングコースだ。奥にあるひなびた温泉も良いと聞く。今日はそっちには深入りせず、別のルートで蓼科湖へ戻る。

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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         α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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          α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

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α7II Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

ゴールは間近

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         α7II Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

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       α7II Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

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α7II Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm 4 ZA OSS

到着。ゆっくり写真を撮りながらで、3時間ほどの歩き。ボディ1台にレンズ4本は、ある方法でそんなに負担にならず。それについてはまた次の機会に・・・(ヒントは下の使用機材のリンク)。

【今回使用機材】

 

・Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

・Contax Carl Zeiss Makro Planar 100mm 2.8

・Contax Carl Zeiss Sonnar 180mm 2.8

    


by hoq2 | 2015-07-07 15:13 | 写真(Nature Snap)

(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。


by hoq2
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