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【諏訪4】 見直しの諏訪 (キャノンNFD80-200テスト)

 2011年夏より、長野県・蓼科の別荘地に定住している。土地への理解がゆっくりと深まるにつれ、愛着も湧いてきた。そして、いつしかカメラを手に町に出て、写真を撮るようになった。長年撮っている東京とはずいぶん勝手が違うようにも感じられ、しかし、同時に集中的に通ったベルリンとすら、同じような写真を撮っているようにも思う。
  「そこも、ここも、そことここの間も皆同じ」ーーー。そういう信念があるから、これは長野の町のガイドブック的な紹介ではない。どこにでもあるような物体、通り、風景は、どこにいても気になる。だが、写真というものは撮り手の意志とは関係なく、「記録」し続ける側面もある。だから、いつかこれらの写真がたまったら、何かしらの形でまとめて発表したいと願っている。それがもしかして、50年、100年経って、21世紀初めの「地方」というものの、異端の記録になるかもしれないと夢想する。


このシリーズを、以前HP上で公開した【Tokyo Snapshot】、そして、それをベルリンの写真と合わせて発表した写真集『Berlin+Tokyo』の続編的な位置づけで、【Nagano Snapshot】と名付けました。本ブログでは、内容を絞ってまとめる前段階として、撮影日順にあまり点数を絞らずにアップしていきます。将来のための私的な忘備録代わりという側面もあります。

初めての町を歩くことも、何度も同じ町を歩くこともあります。


※ 各画像はクリックで拡大します( Mac・PC )

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

約1週間の旅をα7II一台で撮るにあたって、望遠ズームが欲しくなった。大艦巨砲主義のEOS用の70-200 2.8とは別に、携帯性と経済性に優れ、なおかつ画質が良いという一石三鳥なレンズを検討し、NewFD(MF時代のキャノンマウント)に行き着いた。この80-200は、最後期型(FD末期T-90時代)のLレンズの直進ズームが名玉とされているようなのだが、そっちは「経済性」が今ひとつ。数千円で手に入る二軸のNewFDタイプを入手した。

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僕は趣味性の高い撮影では単焦点を好むが、仕事では2~3倍の(古い言い方をすれば)ショートズームを常用している。もちろん、そこそこの単焦点の方が高価で巨大なズームよりもよく写る。しかし、仕事の場合はそうした自己満足的なレンズ性能・描写、あるいは単焦点ならでは精神性といったものよりも、単純に「何がどう写っているか」という「腕」の部分の方がはるかに重要である。別の言い方をすれば、一定以上の描写であれば、一般の人が見て分からないような機材上の差などどうでも良い。だから、僕は失敗のリスクが少なくシャッターチャンスを逃しにくいAFズームを軸に使う。ただし、暗い高倍率ズームはあらゆる面で最低水準をクリアしていないので使わない。

逆に趣味性が高い撮影用にズームを買ったのは初めてだ。犬を連れて歩く観光要素が強い撮影なので、1台のボディでレンズ交換を減らしたかったがその理由。でも、現用・純正の普及価格帯のズームにはまるで色気がなく、食指が動かない。α7用には、高価なフラッグシップ望遠ズームもいらない。そして、ツァイスオタクではあるが、こう見えてキャノンの繊細で透明感のある描写も好きなので、描写・価格・大きさのバランスの取れた「FDのF4通し・非L」を選んだ。

そのテスト撮影を兼ねて、早咲きの桜が咲き始めた4月上旬の諏訪の町を歩いた。正確には、その後の旅用のセット(α7II+純正Zeiss 24-70+NFD80-200+Contax D18mm)の習作ということになる。

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

最初のこの一コマを撮った瞬間、「これは大正解だ」と確信した。今のレンズにはない豊かな階調とニュートラルなボケ、そして何よりも無理をしていない幅を持った描写が心地よい。銀塩カメラ(フィルム用)のレンズは、現像・プリントでの調整を前提としているので今のレンズに比べてラチチュードが広いのだろう。特にFDレンズはその傾向が強いように思う。ツァイスは同時代のコンタックス用であっても、「いじりようのない」絵が出てくることが多いが、このレンズは正反対で、「いじることが前提」の幅を持った絵が撮れる。これは、ある意味デジタル時代に合っている。デジタル写真はPhotoshopでの調整を経て初めて完成する。デジタルは(jpeg撮影であったとしても)ネガフィルム的であるというのが僕の持論だ。

逆に後処理での調整をほとんど行わない(行えない)ポジ(=リバーサル)的な撮り方であれば、このレンズの評価は下がると思う。階調が非常に豊かな反面、「撮ったまま」ではコントラスト・彩度・黒の締りがまるで足りない非常に眠たい描写である。しかし、これをPhotoshopでレベル補正(またはトーンカーブ調整)していくと、豊かな階調はそのままにキリッと立ち上がっていく。これはなかなか素晴らしい体験だ。この特性はモノクロで活用しても面白いと思う。いい意味で日本的なニュートラルなボケ味や色合いは、デジタルでの使用経験はないが、大好きだったマミヤ6用のGレンズにも似ている。

今、α7というフルサイズミラーレス機の登場で再びMFレンズの中古市場が高騰しているが、マニア受けしないズームは相変わらず捨て値で売られている。その点でも、当時の高性能ズームは狙い目だと思う。

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          α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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         α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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         α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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         α7II Canon NewFD 80-200mm F4

この諏訪という町、諏訪湖あり、諏訪大社あり、温泉あり、お城あり、高原あり、酒蔵・味噌蔵ありで非常に見どころの多い町なのだが、一般市街地の“町相”にはピンと来ないものがあった。関西の小都市のような「和」の風情は中途半端だし、地場産業の精密機械工業も廃れている。ジュネーブあたりを意識しているのであろうが、「東洋のスイス」も言い過ぎである。

ただ、春の兆しの影響もあるのだろうが、今回歩いてみて、だいぶ見直した。レンズテストの関係で望遠気味に視点を変えたのが良かったのか。背後の山肌にも広がる立体的な町並みは結構迫力や密度があることに気づいた。伝統的な風情も、思ったよりも点在しているようである。

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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         α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

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α7Ⅱ Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm F4 ZA OSS

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α7Ⅱ Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm F4 ZA OSS

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         α7II Canon NewFD 80-200mm F4

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α7Ⅱ Carl Zeiss Vario-Tessar FE 24-70mm F4 ZA OSS

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

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α7II Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4

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α7II Canon NewFD 80-200mm F4


【今回使用機材】

    

・Canon New FD 80-200mm F4

・Contax Carl Zeiss Distagon 18mm F4 MMJ
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by hoq2 | 2015-04-19 04:03 | 写真(Naganao snapshot) | Trackback | Comments(0)

(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。


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