【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part1

「アドリブ旅行」
往年の「こち亀」の名エピソード
から拝借したこのフレーズが気に入っている。目的地不明、先の見えない旅。子供の頃からそういうロードムービー的な体験に胸が踊る。地についた足を離し、移動を開始する。その瞬間、肉体と精神が正真正銘の浮草になる。そして、社会や生きることのしがらみから自由になったような錯覚に陥る。

レンタカーの回送という仕事をご存知だろうか。ここではあえて詳細な説明をしないが、次から次へと乗り捨てられたレンタカーと鈍行列車を乗り継ぎ、全国の<下道>と<在来線>をぐるぐる巡って僅かな報酬を得る仕事である。次の目的地は直前まで分からない。

その点だけを捉えれば、自分にとってはこれは究極の「アドリブ旅行」である。ここでは、回送員として「稼働」した日々のロードムービー的な断片にスポットを当て、後のための忘備録を兼ねて写真と文章で記録していきたい。


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【アドリブの旅行】の記事一覧は こちら

2回目の稼働は、初回から1ヶ月以上空いてしまった。別にこの仕事に懲りたわけではなく、単に本業が思いのほか忙しかったのである。季節も秋からすっかり冬に移り変わった12月前半の2泊3日。四季の移ろいのロマンチシズムよりも、無粋なことが気になる。「スタッドレス装着OK?」

僕は新聞記者時代の飛騨高山に始まり、今は長野県の蓼科と東京の二重生活をしているから、雪道の運転経験は豊富な方だ。だからこそ、ノーマルタイヤで雪国を走る無謀さを知っている。レンタカーの場合、四駆はほとんど期待できないから、余計に北関東以北でノーマルタイヤは絶対NG!干されてもいいから、北でノーマルタイヤ車が配車されたら断ろうと決めていた。

前回は東北遠征はなかったが、それだけに予感はあった。ドライバー登録時に「雪道OK」と申告していたからだ。最初の冬の稼働で、試されるに違いない。とりあえず、この日1台目の配車は新百合ヶ丘。まあ、無難なところだが、我が家は東京の下町。スタート地点としては、ちと遠くないか?

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その1台目の引取り時にちょっとしたハプニングがあった。まだフレッシュな話題なので、ところどころボカして書きます。

ともかくそこにママチャリに乗った外人さんがいた。で、なーんかイヤラシイ笑みを浮かべながら、腕組みをしているわけです。前カゴに灯油缶を積んでいたのが妙に印象的。セントラル・ヒーティングの国から来ても、やっぱり日本では石油ストーブなんだなあ。やがて、パトカーと警官が集まってきた。その外人さんが警官に日本語でまくし立る。「ここは川崎市の土地ですよ!いけません、いけませんね!」

どうやら、その店舗前の歩道(公道)に、店関係の車が止まっていることにクレームをつけているらしいのだ。「店」にクレームをつけたが相手にされず、キレて110番したというところだろう。実を言うと、僕も「お客さん優先」で、その歩道上に引取り車を停めてキズチェックをしていた。その途中で外人さんの存在に気づいたというわけだ。

僕はその時、極めて日本人的な態度を取った。「俺は無関係」

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警官に吠える外人さん、時々こっちを睨んでいる。それを見てみぬフリして淡々と引き取り手続きを済まし、車を出発させた。【アドリブ旅行01】横浜から巡り巡って佐久平=part1<序章>でその理由を書いたのだが、僕はこの“副業”では、波風立てず「ハイハイ承知致しました」で淡々とコトを進めるようにしている。逆にもし僕がこの「店」の客だったら、半分面白がってどちらかに加勢していたと思う。

で、どっちに加勢するだろうなあ。案外、「店」側だな。だって、その歩道、すごく広いんです。拡幅のための用地買収の途中で、既にセットバックを終えて異様に広くなっている部分があるじゃないですか。それなんです。だから、なんというか、「店」も「分かっていてやっている」。誰も迷惑しないし、区画整理が終わるまでの一時的なことだから、と。行政や警察も分かっていて、見て見ぬふり。そういう日本的な「アレ」なんだと思う。

「日本は狭いんだよ!狭いところにひしめき合って、工夫しながらなんとかやってるんだ。厳格に法に従っているだけでは成り立たない、本質的に貧しい国なんです。法の隙間を埋めるためには、良くも悪くも慣れ合わばければいけない。日本が長いなら、分かってもらえますよね?」。なーんて言うか言わないか。

同時に、在住外国人すらもイラつかせるほど、今の日本は「悪い」状態なのかな、と少し悲しくなった。何を隠そう、僕も心がささくれ立つと、警察とかそういう石頭連中に腹を立てて同じようなクレーマー行為をしてしまうタイプなのです。その外人さん、出稼ぎ系ではなく明らかに知性系の白人さんだった。なのに、痩せこけて擦り切れた服を着ていた。しかもママチャリに灯油。在住外国人にまで及んでいるとすれば、今の日本の貧困は想像以上に深刻なのではないか。

ともかく、現実の僕は「俺は無関係」。タンタカタカタカタカタカタン、と『ナイトライダー』のテーマのように淡々と千葉は佐倉方面に向かうのであった。

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高速使わず下道はやはり遠いね。新百合から千葉は佐倉の勝田台まで4時間以上かかった。日はとっぷりと暮れ、アマゾン行きのバスがあるフシギな駅前。はい、来ました。成田空港。これから千葉が絡むと必ずと言っていいほど行く、次の目的地です。脇目もふらず、京成電車に乗り込みます。

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前回の成田空港は日中、今回は夜。趣が違うのは幸い。たちこめるジェット燃料の匂いには肉体的には弱いが精神的には嫌いじゃない。二度目の「歩道なき道」をタカタカと進む。

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どんより系の月夜の成田から向かったのは、茨城の聞いたことのない町。国内にもまだまだ全然知らない町があるものだ。

よく、今の若者の内弁慶が嘆かれるけれど、本気で知ろうとしたら、狭い日本でも一生かかっても足りないかもしれない。これだけ若者に金が行き渡らない時代に、「外に出ろ、留学しろ」は無責任だと思う。覇気があるない以前に、外国はおろか、町に出る電車賃にすら事欠くのが当たり前。若いころに上昇気流に乗れた世代は、縮小縮小の世の中で若者やった事、ありますか?

だから、知らなかった石岡市に、小さく胸踊らせてもいいでしょう?僕は若者じゃないけれど。とはいえ、「実際は留学フェアなんかの参加者は増えているんですよ」とは、ある留学関係者から聞いた話。

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後から振り返れば、これが記録的に余裕がある車中泊だった。日付が変わる前に最終目的地につき、車内で映画を見たりする余裕があった。いつもそんなだとなかなか楽しいのだが・・・

Part2に続く>

【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part2
【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part3
【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part4(完)



【今回使用機材】

    

by hoq2 | 2014-01-30 00:57 | 写真(アドリブ旅行) | Trackback | Comments(0)

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