【EOS 5D Mark III】 最終評価=ボディ編

EOS5DMK3を導入してから1年余りが過ぎました。本ブログのおもな主旨は、「写真」という結果を紹介することにありますが、アクセス数が多いのは機材に関することをメインテーマにした記事です。ですが、ファーストインプレッション以降、まとまってボディやレンズを評価した記事を書いていませんでした。このままでは竜頭蛇尾になってしまうので、随時ファイナルインプレッションも書いていきたいと思います。

今回のボディ編に続き、各レンズについても不定期で上げて行きたいと思います。

同時進行でNEX-7編もやっています。


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まず、最初に言って置かなければいけないのは、これは自分にとっては歴代最高のEOS DIGITALだということです。2013年7月現在で、仕事用のメイン機として、また個人的(趣味的)な作品作りにおいてもNEX-7と共に使っています。仕事では2台持ちが基本になりますが、その際のサブ機は1世代前の5DMK2です。

ツッコミが多そうなので最初にエクスキューズしておきますが、ニコンのストラップをつけているのは、単純にこのプロストラップ(ニコンプロサービスで配布しているもの。これはF5時代のモデル)が自分にとって一番使いやすいからで、それ以外に他意はありません。たまたま未使用品が手元にあったので、メーカー違いを気にせずに5D3につけているだけです。

自分は、新聞社の社員カメラマンからフリーになりました。新聞社時代の機材は会社所有の支給品で、ニコンかキャノンが選択できました。自分は当時、ニコンユーザーでしたので、デジタル一眼の歴史はニコンのD1から始まりました。D1HからD2に切り替わる頃にフリーになり、その際にすっぱりとキャノンにシステムごと乗り換えました。その当時は、デジタル一眼の仕上がり画像がキャノンの方が一歩進んでいたからです(今はシステム全体を俯瞰すればニコンの方が良いと思ったりしますが)。また、フリーになれば自分の味で勝負できるので、EFレンズの繊細な描写の方がこれから撮りたい自分の写真に合っているという思いがありました。

EOSにしてからのボディの歴史はこんな感じです。2台いっぺんに買い換えることはなく、1台ずつ入れ替える方式をとっています。メイン・サブの分け方は、特定の条件下以外でその当時自分がどっちを優先的に使っていたかということを示します。

・メイン=1DMK2、サブ=20D
・メイン=5D、サブ=1DMK2
・メイン=1DMK3、サブ=5D
・メイン=5DMK2、サブ=1DMK3
・メイン=5DMK3、サブ=5DMK2

ここに来て、1Dを使っていないことにお気づきでしょう。それだけ今の私は5DMK3に信頼を寄せています。現行の1Dは、フルサイズ・高速の1DXで、自分が求めるスペック的には申し分ないのですが、全て自腹で仕事をしなければいけないフリーランスとしては、費用対効果も考えなければいけません。その中で、5DMK3が一台あれば1DXは不要という判断をしています。

1DXの5DMK3に対するアドバンテージはコマ速(12コマ/秒 vs 6コマ/秒)とAF性能(同じAFユニットだが、バッテリー等の関係で1DXの方がやや高性能と言われる)ですが、画総数的な画質では5DMK3の方が勝ります。それを鑑みて、自分が使うべきメイン機はどちらか。5DMK3に軍配を上げました。

(理由その1・激しい動体撮影をする機会が減った) 以前はサッカーやモータースポーツなど高速で移動する被写体も仕事の中にありましたが、仕事の内容が時代と共に変わってきて、今は走る犬くらいです。「走る犬」を撮るには、確かに1DXがベストです。しかし、現在はある程度自分の裁量で被写体を選べるようになってきているので、そういった「動きを止める」質の写真よりも「絵として美しい写真」を志向できるようになった。だから、激しく動く被写体を撮る機会は年に数回程度。また、5DMK3の連写・AF性能でも十分に「走る犬」を撮ることができます。単純計算で1DXの方が倍のカットを撮れ、AFの外しも少ないのは予想できますが、そのためだけに55万〜のボディを持つのは仕事として採算が合いません。

(理由その2・5DMK3は1D系の絵作り) これは、しばらく使っていて思い直した部分ですが、5D、5DMK2に対して、5DMK3は色の出し方等が従来の1D系に寄っています。どういうことかというと、5DMK2まではアマチュア向けの「パッと見の鮮やかさ」を志向しており、それはそれで好きだったのですが、Photoshopでの後処理の幅を狭めるものでもありました。それに対し、プロ機の1D系は「パッと見の鮮やかさ」よりも「じっくり見た時のトーンの豊かさ」のようなものを志向しています。見る方の質も要求する絵作りで、これはまた後処理のしやすさにもつながる。5DMK2と5DMK3の仕上がりの一番の違いはここにあります。そういう意味では、"ハイアマチュア機”だった5D系が、MK3からプロ機になったと捉えることができるのではないでしょうか?また、画素数で1DXを上回り、大きさ的にも取り回しが楽なのでたとえ1DXを持っていたとしても、自分の場合は5DMK3を使う機会の方が多くなるのかな、と思います。

(理由その3・汎用性の高さ) 予算が有り余っていれば、用途ごとにボディを用意するのがいいに決まっています。しかし、5DMK3は1台で色々な使い方ができる。私の場合、撮影専門の仕事をする時には、大振りな2.8Lズームを使うことが多いですが、その場合はバッテリーグリップをつけた方がバランスがよくなります。また、縦位置シャッターもホールディングの安定にはあった方が良い。つまり、バッテリーグリップで1D的な使い方ができる。逆に外すとコンパクトサイズになるので、単焦点レンズをつけて歩きまわって撮るような際にはそうします。この「小さくまとめる」というのは1D系では得られないアドバンテージで、ライター業を兼ねた撮影や趣味の街頭スナップを撮ることも多い自分には大変に有難い。6コマ/秒というのも、じっくり撮る・連射してガンガン撮る、その両方いけるちょうどよい速さ(自分は、連射モード固定で単写・連射を指の動きで制御する撮り方をしています。10コマ/秒クラスでは単写が難しくなる)です。例えが良くないかもしれませんが、ベンツのステーションワゴンがあればポルシェは必要ない、そんな感覚ですかね。


では、★5つ満点の評価です。動画機能やオートHDRなどの付加機能については、自分はほとんど使わないので評価しません。スチルカメラとしてのベーシックな性能のみを評価します。


【画質全般 ★★★★★】 

絵の仕上がりの点で完全に満足する条件として、フルサイズであることが大前提になります。その点のみで、入れ替え対象になった1DMK3を凌駕します。APS-CやAPS-Hと同じ条件で撮ったとしても、絵の立体感やトーンの豊かさが違います。それをかつての1Dsよりもはるかに安い価格で実現しているのですから、僕はこのカメラは決して高くない、リーズナブルとさえ思います。前モデルの5DMK2との違いは上に書いたプロ機的な色出し以外の部分では、一見それほど変わりません。それは、ポジティブに捉えれば5Dシリーズのポテンシャルが高いということ。1DXは実際に使っていないので分かりませんが、おそらく仕上がりの美しさはやや5DMK3に分があるのではないでしょうか。


【色味 ★★★★☆】 

5D系のカラーバランスは、イエローに寄る傾向があります。初代5Dはひどかった。それがMK2で大幅に改善されましたが、MK2はその分タングステン光下などでややレッド寄りのシーンも見られます。そのレッド寄りがなくなったのが、MK3と言えると思います。アマチュア機的ないわゆる「人肌をきれいに見せる」という設定の悪しき部分がなくなったからでしょう。つまり、MK3は概ねニュートラルだが、シーンやレンズの組み合わせによっては5D系あるいはキャノン全般のクセと言えるものも残っていて、ややイエロー被りが見られるということです。しかし、そのクセさえつかんでいれば、ほぼ全ての条件下でAWB・ピクチャースタイル「スタンダード」で十分。後処理の微調整できっちりニュートラルな発色に持っていくことも、撮ったままの絵を基準に個性を強調したトーンを作ることもできます。もちろん、RAW撮影で後処理の幅を広げることも絵作りの選択肢に入れています。素性が良いだけにカメラ側でWBやピクチャースタイルをいじる必要性を私は感じません。


【AF性能 ★★★★☆】 

MK2から大きく進歩しています。AFシステム全体が10D系から1D系に一新されました。スペック上は1DXと同等です。ただ、その割には追随性が世界最高峰レベルではないな、という実感はあります。1DXよりは少し遅いでしょう。おそらくバッテリーや映像エンジンの違い(同じDIGIC5+だが、5DMK3は1基、1DXは2基搭載されている)の影響はあると思います。とは言っても、トップクラスでの微妙な比較ですから、絶対的な性能としてデジ一のトップレベルには変わらないでしょう。私がこの点で1DXが欲しくなったのは、トップスピードで走るイタリアン・グレーハウンドを追った時のみです。


【コマ速 ★★★☆☆】  

もう次期モデルに投資したくないので、しばらくMK3が現行であって欲しいくらいこのカメラに惚れ込んでいますが、唯一、次期モデルに期待したいのがコマ速のアップ。6コマ/秒でもそれほど困ることはない(最終的に撮れなかったということにはならない)のですが、犬の一瞬の動きや表情など、1Dで難なく撮れていたものが、結構気合を入れないと撮れないこともあります。その点で、8コマ/秒あればもう何も望まないというレベルに昇華する。現状では、1DXまでは必要ないにしても、サブに7Dが欲しくなることもあったりするのが本音なわけです。スポーツ等がメインの被写体の人にはギリギリオススメできない、そんな感じです。


【光学ファインダー ★★★★☆】 

視野率がMK2の98%から100%になりました。視野率100%は仕事のメイン機としてはやはり欲しい条件。この点も、1D系を必要としない理由の一つと言えます。ただ、フォーカシングスクリーンが固定式になってしまったのは、MK2からの退化。私はMFカメラの時代から方眼マットをデフォルトで使っていますが、これに関してはデジタル的に方眼を入れることができるので問題はない(だから固定式にしたと思われる)。しかし、MFレンズを使う時に明るいスクリーンに換えるなど、そういうことができないわけです。まあ、自分の場合はMFレンズを多用するもののライブビューとの併用でうまくやってますので、方眼が入れられればAF用の暗めのスクリーン固定でもOKです。でも、スクリーン交換というオプションはやはり残して欲しかったですね。


【モニター・ライブビュー ★★★★☆】 

大きく見やすいし、画質もいいです。初代5Dは、実際の仕上がりとモニター表示の明るさや色の差が大きく、大きな不満があったのですが、完全に実用レベルに進化しています。撮影画像の確認はもとより、モニター画像を頼りにしたライブビュー撮影でも何ら問題はありません。唯一の不満点は、表示画像を拡大した際に、2段階の拡大率を経ないと等倍に戻らないことです。これは、ライブビューで手持ちのピント合わせに拡大機能を用いた時に、弊害になります(ボタンを2回押している間にピントがずれることがある)。シャッター半押しなどワンアクションで復帰できれば良いのですが・・・


【大きさ・操作感・質感など ★★★★★】 

大きさ・重さの感じ方は個人差があるので、なんとも言えませんが、ずっとF5やD1、1Dを使ってきた自分には小さくて軽い部類に入ります。しかし、kissでも大きいと思う人には巨大で重いカメラということになるでしょう。

基本的なレイアウトは5DMK2と変わりません。撮影モードの切り替えがクラッシックなダイヤル操作でできるのは、銀塩世代には嬉しい。僕はこの点で、5D系のレイアウトの方が1D系よりも好きです。

MK2との大きな違いは、ON/OFFスイッチがボディ背面下部から上部ダイヤルの脇に移動していること。これは、カメラバッグに入れたまま操作できるので、良い変更だと思います(MK2はバッグから出さないとON/OFFができない)。また、バッテリーグリップにマルチコントローラーがついたのは非常に嬉しい。縦位置シャッター使用時のAFエリア切り替え(自分は「マルチコントローラーダイレクト」に設定している)が楽になりました。

仕事用なのでモノとしての質感やデザインにはそれほどこだわりませんが、防塵・防滴性は実用上十分だし、剛性感や質感もMK2よりもプロ仕様に向上していると思います。


【総評 ★★★★★】 

コマ速など微妙な不満点はあるにしても、これ1台で自分の望む範囲のことは全てカバーしている。個人的にはベストEOS、満点です。



by hoq2 | 2013-07-16 20:20 | カメラ | Trackback | Comments(0)

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