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【Nagnao Snapshot】 佐久 浅間山緑景

 2011年夏より、長野県・蓼科の別荘地に定住している。1年余りが過ぎ、土地への理解がゆっくりと深まるにつれ、愛着も湧いてきた。そして、いつしかカメラを手に町に出て、写真を撮るようになった。長年撮っている東京とはずいぶん勝手が違うようにも感じられ、しかし、同時に集中的に通ったベルリンとすら、同じような写真を撮っているようにも思う。
  「そこも、ここも、そことここの間も皆同じ」ーーー。そういう信念があるから、これは長野の町のガイドブック的な紹介ではない。どこにでもあるような物体、通り、風景は、どこにいても気になる。だが、写真というものは撮り手の意志とは関係なく、「記録」し続ける側面もある。だから、いつかこれらの写真がたまったら、何かしらの形でまとめて発表したいと願っている。それがもしかして、50年、100年経って、21世紀初めの「地方」というものの、異端の記録になるかもしれないと夢想する。


このシリーズを、以前HP上で公開した【Tokyo Snapshot】、そして、それをベルリンの写真と合わせて発表した写真集『Berlin+Tokyo』の続編的な位置づけで、【Nagano Snapshot】と名付けました。本ブログでは、内容を絞ってまとめる前段階として、撮影日順にあまり点数を絞らずにアップしていきます。将来のための私的な忘備録代わりという側面もあります。

初めての町を歩くことも、何度も同じ町を歩くこともあります。



※ 各画像はクリックで拡大します( Mac・PC )


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 EOS 5D Mark III Carl Zeiss Distagon 28mm 2 絞り優先オート F9 露出補正-0.3 ISO200 C-PL + Gradual ND


前回の川崎でのスナップとは打って変わって、色と光がいっぱいの初夏の長野。浅間山を望む佐久市/御代田町の田園風景と気になっていたバス停(?)付近などを回りました。

もともと「街派」だったのが、去年から田舎のスナップを、そして今年から本格的に山や渓流を撮っています。試行錯誤を繰り返す中で、まだそうした緑や青空に対する自分のトーンが確立していません。このごろの写真を見返すと、少し色が派手すぎるように感じました。ピクチャースタイルの「風景」をベースに少し調整していたのですが、やはりパッと見はよくても飽きがくる。そこで、今回は「鮮やかさを維持しながら渋めに」をテーマに、特に青空のトーンを変えてみました。

ちなみに、浅間山を望む田園風景は鋳師屋(いもじや)という所で、こういう由来があるそうです。↓

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田園風景と浅間山の間には、しなの鉄道の線路があります。少し前に話題になった、撮り鉄と思われる者が線路沿いの桜の木を切った事件の現場からそう遠くない場所です。撮り鉄が犯人と確定したわけではありませんが、僕は鉄道写真については疑問に思うことがあります。

鉄道写真の王道というか「決まり事」として、全編成が分かるように、また車輪まで入れて撮るというのがあるそうです。木を切ったりするのは、その邪魔になるからだと。そういう「鉄のオキテ」に凝り固まった写真は、撮る方も見る方もつまらんだろうと思うのですが、それはまあいいでしょう。彼らの多くは「写真」よりも「鉄道」「カメラ」が好きなんだろうし、その立場に立てば理解はできます。問題は、決まり事に固執する余り暴力的に「そこにある風景」や状況を変えてしまう輩がいることです。

街頭スナップなどでも、「落ちているゴミをどけるか否か」みたいな論議は昔からあります。しかし、撮り鉄の木を切るとか雑草を刈るとかはそういう哲学的な論議とはまったく次元の違う話。線路に入り込んで邪魔な杭を抜いたり雑草を取ったり、仕事中の駅員にどけと罵声を浴びせたりという過去の証拠映像は見ましたし、私自身、駅で撮り鉄集団に罵声を浴びせられたことがあります。なんでもプロの鉄道写真家にも草刈り鎌だか刈払機だかを常備している人がいるとか。鉄道雑誌の記事だったのですが、それには絶句してしまいました。

私は「正しい人」であろうとは思いませんので法律がどうのとか社会的モラルがどうのなんてことは言いません。写真は、現場の状況や変化に臨機応変に対応しながら撮るものです。「何をどう撮るか」ということをある程度先にイメージすることは大切ですが、現場に立つと99%大なり小なりその通りにはなりません。そこでどう目の前の現実に対応するか。その反射神経の鋭さが写真家の能力であり、才能なのです。それが全くできないのは、単純に写真が絶望的に下手な人。直感的に気ままに撮りまくるスマホ女子高生の方がよっぽどスルドイ写真家だと言えるでしょう。

反射神経どころか自分の頭と体は微動だにさせず、「邪魔なもの」を強引に排除する究極の石頭。こういうのをバカと言う。本当の意味でのバカは害悪です。僕は「どう撮るか」という部分の変更を含めた反射神経を発揮するのが写真家的なアプローチだと思います。とはいえ、撮り鉄の多くはそこは動かしたくないと思っているようです。その部分は認めるとしても、ちょっと考えたり感じたりすれば、木を切ったりしなくても予定調和を達成できるポイント・アングル・タイミングは無限にあります。機材のことばかりでなく、「写真」にも少しは興味を持ってもらわないと、世間からのバッシングは止まないと思います。

また、桜事件に関する議論で案の定「黒澤明はどうなんだ」ということを言う人が散見されましたが、それは筋違い。フィクションを作りこむのと「そのにあるもの」を追う写真は違います。お客さんや貨物を乗せて走る鉄道は、映画の大道具ではありません。写真にもフィクションを作りこむジャンルはありますが、いわゆる「鉄道写真」は広義でのドキュメンタリーです。反射神経が必要です。フィクションであってもそれは本質的には変わらないのですが・・・

鉄道写真は、日本で最も盛んな写真のジャンルの1つです。法律・モラルの面から語ることは大事ですが、私はこの国の写真文化の質を象徴する問題だとも思うのです。


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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Distagon 28mm 2 絞り優先オート F10 ISO100

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EOS 5D Mark III Tokina AT-X 16-28mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO100 Gradual ND

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NEX-7 Carl ZeissSonnar24mm 1.8 絞り優先オート F8 露出補正-0.7 ISO100 C-PL + Gradual ND

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Distagon 28mm 2 絞り優先オート F11 露出補正-0.7 ISO200 C-PL + Gradual ND

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NEX-7 Carl ZeissSonnar24mm 1.8 絞り優先オート F4 露出補正-0.7 ISO100 C-PL + Gradual ND

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EOS 5D Mark III Tokina AT-X 16-28mm 2.8 絞り優先オート F11 ISO100 C-PL + Gradual ND

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EOS 5D Mark III Tokina AT-X 16-28mm 2.8 絞り優先オート F11 ISO100 C-PL + Gradual ND

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NEX-7 Carl ZeissSonnar24mm 1.8 絞り優先オート F2.8 ISO100 C-PL + Gradual ND

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NEX-7 Carl ZeissSonnar24mm 1.8 絞り優先オート F2.8 ISO100 C-PL

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NEX-7 EOS 5D Mark III Tokina AT-X 16-28mm 2.8 絞り優先オート F11 露出補正-0.7 ISO125 C-PL



    


<使用機材>

    

    

    
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by hoq2 | 2013-06-07 02:22 | 写真(Naganao snapshot) | Trackback | Comments(0)

(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。


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