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【Nagano Snapshot】 茅野6 霧夜の夜景

 2011年夏より、長野県・蓼科の別荘地に定住している。1年余りが過ぎ、土地への理解がゆっくりと深まるにつれ、愛着も湧いてきた。そして、いつしかカメラを手に町に出て、写真を撮るようになった。長年撮っている東京とはずいぶん勝手が違うようにも感じられ、しかし、同時に集中的に通ったベルリンとすら、同じような写真を撮っているようにも思う。
  「そこも、ここも、そことここの間も皆同じ」ーーー。そういう信念があるから、これは長野の町のガイドブック的な紹介ではない。どこにでもあるような物体、通り、風景は、どこにいても気になる。だが、写真というものは撮り手の意志とは関係なく、「記録」し続ける側面もある。だから、いつかこれらの写真がたまったら、何かしらの形でまとめて発表したいと願っている。それがもしかして、50年、100年経って、21世紀初めの「地方」というものの、異端の記録になるかもしれないと夢想する。


このシリーズを、以前HP上で公開した【Tokyo Snapshot】、そして、それをベルリンの写真と合わせて発表した写真集『Berlin+Tokyo』の続編的な位置づけで、【Nagano Snapshot】と名付けました。本ブログでは、内容を絞ってまとめる前段階として、撮影日順にあまり点数を絞らずにアップしていきます。将来のための私的な忘備録代わりという側面もあります。

初めての町を歩くことも、何度も同じ町を歩くこともあります。



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EOS5D MK3 Tokina AT-X 16-28mm2.8 FX Pro F6.3 80秒 ISO400


夜の山は本当に暗い。日本の街は世界一明るいから、本当の闇夜というものを知らない日本人は非常に多いと思う。40代前半の僕でも、「昔の夜は本当に暗かったんだよ」とは言えない。この国では、街灯が全くない場所は限られているし、その街灯も他の国に比べて格段に明るい。登山をする人や、僕のように山奥に住んでいないと闇夜は体験できないであろう。

そして、逆に満月の明るさを知らない人も多いのではないか。「本が読める」というのは本当だ。山中の闇では夜間撮影はさすがに難しいが、強い月光は撮影に十分すぎる光量を持つ。この日は満月だったので、三脚を手に夜の蓼科に繰り出そうと思っていた。

ところが、夕方から曇りだし、日が落ちると霧が出てきた。それでも、視界はある。年末で別荘に来ている人も多いので、建物から漏れる人工光もあった。僅かな光があれば写真は撮れる。しばらく待っても濃い霧は晴れなかったが、予定通り出かけることにした。


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EOS5D MK3 EF24-70mm2.8L F5.6 30秒 ISO400

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EOS5D MK3 Tokina AT-X 16-28mm2.8 FX Pro F8 231秒 ISO400

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         EOS5D MK3 Tokina AT-X 16-28mm2.8 FX Pro F6.3 80秒 ISO400


写真に詳しくない人のために解説しておくが、夜間の撮影ではシャッターを1分とか10分とか開けて撮る。これを長時間露光と言う。長時間露光は、僅かな光を拾って増幅するようなものなので、実際に目で見た情景が「真っ暗」でも、写真には明るく対象物が浮かび上がる。だから、フレーミングが難しい。夜の山くらいのわずかな明るさだと、光学ファインダー越しでは細部が見えないのだ。

こういう時に、デジタルカメラのライブビュー(背面液晶のデジタル画像)が役に立つ。光学ファインダーは「目で見たまま」、一方、ライブビューは「撮影結果」に近い明るさの画像を表示する。さすがにこれだけ暗いとノイズがひどいのだが、それでも「見えない」ものが「見える」ので非常にありがたい。

が、ノイズが強いライブビュー映像を見ていると、見えてはいけないものまで見えてしまうような気になってきた。最近、「恐怖映像集」なるものを見てしまったので恐ろしいたらありゃあしない。背中の方に嫌な気配を感じつつしばらく撮影を続けていると、横付けした車のアイドリング中のエンジンが急に首を締められたようなうめき声を上げ始めた。僕は霊感が強いのだ、と言いたいところだけど、僕の車はボロなのでオーバーヒートしやすい。音の正体は長時間のアイドリングで沸騰した冷却水のボコボコ音である。でも、怖くなって街へ逃げた。


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         EOS5D MK3 EF24-70mm2.8L F8 6秒 ISO200

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EOS5D MK3 EF70-200mm2.8L F16 20秒 ISO400

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EOS5D MK3 Tokina AT-X 16-28mm2.8 FX Pro F8 15秒 ISO200

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EOS5D MK3 Tokina AT-X 16-28mm2.8 FX Pro F8 10秒 ISO400


しかし、怖がりなくせに、どういうわけかこういう恐ろしいモノを撮ってしまった。この時も撮影中に急に横の方からうめき声的音がしたが、まあ、下水の水流の音だろう。近所の誰かがトイレでも使ったか。


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EOS5D MK3 Tokina AT-X 16-28mm2.8 FX Pro F8 30秒 ISO400

これらの写真に、悪霊が発する光のようなものが写っていると早トチリした人は、このサイトあたりを見た方がいい。僕もよく「心霊写真を撮ったことがあるか」と聞かれるが、ない。世に出回っている心霊写真はどれも、写真の基礎が分かっていればちっとも怖くない。写真を「見る」文化が育っていないため、早トチリしたり騙される人が多いのだろう。嘘と分かって楽しむのはいい。また、現代の科学程度で宇宙の全てが解明できているはずもない。そういう意味では僕も確実に超常現象を信じている。だが、早トチリやこじつけ、商業的に仕組まれた超常現象を信じるのは人生の無駄である。マヤ暦の滅亡を信じた中国人を見るまでもなく、洒落にならない。ノストラダムス(五島勉)に騙されてある日街から姿を消した男を知っているが、彼は今どうしているだろう。

by hoq2 | 2012-12-30 15:30 | 写真(Naganao snapshot) | Trackback | Comments(0)

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