【Nagano Snapshot】 蓼科1 白樺湖 (NEX-7のホワイトバランスに物申す)

 2011年夏より、長野県・蓼科の別荘地に定住している。1年余りが過ぎ、土地への理解がゆっくりと深まるにつれ、愛着も湧いてきた。そして、いつしかカメラを手に町に出て、写真を撮るようになった。長年撮っている東京とはずいぶん勝手が違うようにも感じられ、しかし、同時に集中的に通ったベルリンとすら、同じような写真を撮っているようにも思う。
  「そこも、ここも、そことここの間も皆同じ」ーーー。そういう信念があるから、これは長野の町のガイドブック的な紹介ではない。どこにでもあるような物体、通り、風景は、どこにいても気になる。だが、写真というものは撮り手の意志とは関係なく、「記録」し続ける側面もある。だから、いつかこれらの写真がたまったら、何かしらの形でまとめて発表したいと願っている。それがもしかして、50年、100年経って、21世紀初めの「地方」というものの、異端の記録になるかもしれないと夢想する。


このシリーズを、以前HP上で公開した【Tokyo Snapshot】、そして、それをベルリンの写真と合わせて発表した写真集『Berlin+Tokyo』の続編的な位置づけで、【Nagano Snapshot】と名付けました。本ブログでは、内容を絞ってまとめる前段階として、撮影日順にあまり点数を絞らずにアップしていきます。将来のための私的な忘備録代わりという側面もあります。

初めての町を歩くことも、何度も同じ町を歩くこともあります。



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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200


今回は、白樺湖を一周しました。風景写真っぽいのもありますが、これはあくまで歩きまわってパッパッと撮る街頭スナップです。山を中心とした長野の自然の風景写真はこちらのカテゴリにまとめていきます。それとは別物という意識です。

標高約1400mにある湖なので、冬は凍結します。しかし、地球上のあらゆる寒冷地の例に漏れず、温暖化の影響はあります。昔はワカサギの穴釣りやスケートができたのですが、今は安全が担保できるほど氷が厚くないので、できません。湖岸には遊園地、ホテル、スキー場、土産物屋などがあり、70年代的な観光地になっています。ブラックバスを最初に合法的に放流した湖の一つでもあり、昔はバス釣りのメッカだったと聞きます。今もいることはいますが、駆除の方向に180度舵を切っています。

今の感覚なら、アウトレットモールとか自然そのものを楽しむ感じにした方が流行るでしょう。白樺湖的な観光地は時代遅れという批判もあるでしょうが、僕は昭和の娯楽映画に出てきそうな雰囲気が好きです。かと言って遊園地などの観光施設で遊ぶかと言うと、長年通っていて今近くに住んでいても一度も入ったことがない。でも、子供がいれば楽しいと思います。

冬はもともと観光客はスキー客に絞られるので、それほどにぎやかではないですが、今年は特に少ないように感じます(取材をしたわけではない。感覚です)。やはり中央道笹子トンネルの崩落事故の影響は顕著と言わざるを得ません。その分、静謐な湖岸の風景が撮れてこの日の僕にとっては良かったのですが・・・


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         NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO400 露出補正+0.3

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F5.6 ISO100

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F4 ISO100 露出補正+1.0

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         NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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         NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200 露出補正+1.7

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200 露出補正+0.7

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F2.8 ISO100

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F5.6 ISO100

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F5.6 ISO100

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F8 ISO100 露出補正-0.3


今回から、写真表現の根幹に関わるカメラの技術的な面で変えたことがあります。屋外日中は条件に関わらずNEX-7のAWBは使わない。NEX・EOSともこれまでは、ほとんどAWBで撮っていました。仕事でもプライベートでも。どのような光線状態でも自然な見た目のホワイトバランスで撮れる、それがデジタルカメラの銀塩カメラに対するアドバンテージの一つであり、それがオートでできることを否定する要素が見つからなかったからです。ただし、それは必ずフォトショップ=暗室作業を通して完成、という自分の撮り方においてです。

特に客観的な「画質」という面で、デジタルが銀塩を凌駕したと確信した時点(キャノンで言えば1DMK3、5D2以降)で、いくつかの条件がある時を除いてRAWは使わなくなりました。もちろん、RAW現像で絵を追い込んでいくという手法は今も有効です。自分の場合は、写真は冷たい機械の目≒神の目を通すから面白いと思っているので、おそらく一般のハイアマチュアやプロよりも、カメラに委ねる部分を多く持たせたいという考え方です。そして、デジタルカメラが安心して委ねられるところまで来た時点で、jpeg撮影にシフトしました。端折って分かりやく言えば、シャッターを押した時点での完成率を上げたわけです。もちろん、最終的には自分の意志や趣味を前に出したいですから、暗室作業=Photoshopでの調整は必ずします。jpegの「撮ったまま」がポジフィルム、RAWがネガフィルムだとすれば、今の自分の撮り方は、「調整ができるポジ」に近い。RAWを使わないから、撮影時点でのホワイトバランスが大事になります。


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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F8 ISO100


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         NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F8 ISO100

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200 露出補正+1.0

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200 露出補正+0.7

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         NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F8 ISO200 露出補正+0.7

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200

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         NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200

写真の色再現は、これはフィルム・デジタル関係なく「目で見た色」を忠実に再現できるものではないし、その必要もない。写真は写真で、人間の視覚とは違います。だから面白い。それをふまえて、AWBの話に戻ります。

現行のEOSデジタルのAWBは前記の「Photoshopでの調整」、具体的にはカラーバランスやレンズフィルター(Photoshop上)の調整で好みの色味に仕上げられる精度を持っている。1Dであれば、mk2の時点でそうでした(初代5Dはイエローに振りすぎることが多かった)。そして、自分のカラーバランス感覚は、一般的な日本人の感覚よりもクールトーン寄りをニュートラルと捉えます。目で見たままの日本の風景の色温度が、僕の思うニュートラルよりも暖色寄りなのは分かっています(そのあたりの話は僕が薄いシアンが入った眼鏡をかけるようになった経緯を書いたこちらを参照)。EOSのAWBは概ね、一般の日本人が自然に感じる表現なので、これを基準に自分の思うニュートラルにPhotoshopで調整するのがルーティーンになっています。僕の感覚からすれば、EOSはレッドやマゼンダというよりもイエロー寄りに暖色傾向を作っているので、補色のブルーに気持ち寄せればだいたい収まる。また、仕事の写真は「一般向け」を意識して実際には全くいじらないことも多いです。

しかし、NEX-7はAWBを基準にすると収まらない。マゼンダが強すぎる。マゼンダ寄り、なら「例の暖色寄りね、場合によっては後で調整させてもらうよ」とカメラに語りかければ良いのですが、マゼンダ被りレベルのコマが目立つ!レンズもそう。今回の写真でもそうですが、Rokkorはちょうど良い発色で出ているし、専用zeiss24mmはさすが、破綻しない。なのに、ソニー純正の50mmやソニーの発色に合わせたと思われるシグマ19mmは真っ赤っ赤。これまでここにアップしている写真は、かなり赤を抜いてお茶を濁しているのです。

まずはボディの初期不良を疑い、サポートに問い合わせたが、結論から言えば「仕様」とのこと。「人肌がきれいに出る設定にしている」らしい(それにしても対応が最悪だった。まず、電話に出た女性が写真・カメラのイロハが分かっていない。1回1回上司にお伺いを立て、答えにならない答えを繰り返す)。青白い顔よりも血色の良さを感じさせる赤みのある顔のほうが「きれい」なのは分かります。しかし、顔以外が「赤く染まる」ところまで振るのはいただけない。写真が「見れない」人は、人が写っている写真、特に自分が写っていると「顔」しか見ません。「写真」そのものの内容なんてどうでも良いというか、写真そのものを見るという感覚自体がない。そして、日本は写真を「見る」教育がおそらく先進国の中で一番おろそかなので、そういう「見れない」人がマジョリティーです。ソニーは営業戦略で全て分かっていてそこに合わせたか、決定権を持つ層自体が「見れない」のでしょう。技術者の本意でないことを祈ります。


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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F2.8 ISO200

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO200 露出補正-1.0

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F8 ISO200 露出補正-0.7


あるいはNEXの中でも7に顕著なこの現象も出ていて、その相乗効果もあるかもしれません。しかし、これはあくまでマウントアダプター遊びの中で起きることとされていて、純正レンズで少しでも出ているのなら大問題。zeiss24mmは純正扱いとしても、Rokkor35mmを始めとする私が使っている非純正レンズが逆に顕著なマゼンダ被りを回避できているんだからねえ・・・。でも、これは広角レンズ固定のGRDigitalでも見られる現象(少なくと自分が画像に直に触れた旧モデルでは)なので、あながちありえない話ではないのですが・・・。

そういうわけで、今回はNEX-7だけで撮ってますが、AWBはあきらめました。屋外では曇ってようが夕方だろうが日陰だろうが「太陽光」に固定。これでかなりましになりました。黎明期のデジタルカメラで常識だった設定(デーライトフィルム感覚)に逆戻りです。だって、オートだとちょっとした条件に反応してすぐ赤くしようとするんだもん。日陰は青いままでいいんだよ!AWB調整をすれば?という声があちこちから聞こえてきそうですが、さんざん色んな補正パターンを試しました。駄目でした。屋外でちょっとでもクールトーンな状況を捉えるとカメラが赤くしよう赤くしようとするので、中心点を変えてもオートを使う限り崩れ方が余計におかしくなる。ただし、人工光下ではデフォルトのAWBでOKです。

しかし、AWBが日中屋外で使えないってデジタルカメラとしてかなり重たい欠陥なのでは?初期のキャノンやニコンも「下」のレベルの人間に合わす「人肌」設定でしたが、技術を積み重ねる中で、コンシューマー機も客観的にニュートラルなプロ向け機種のバランスを基準に持ってきたようです(5D→5D2→5D3とだんだん1D系のバランスになってきている)。ソニーはその点でも、スチルカメラの積み上げがないのでしょう。まだプロや写真が分かっている相手には戦えない。だって、半世紀近く前のミノルタのレンズの方が「正しい」発色なんだもんね。

注意してほしいのは、日本人の色彩感覚がかなり暖色に寄っているということ(いい悪いではない。客観的にそうだという淡々とした話)。つまり、私が「赤い!」と文句を言っている画像の多くは、大半の日本人にとっては好ましいバランスなのだろうということは薄々分かってはいます。ただ、「木を見て森を見ず」ではないですが、「人肌をきれいに」という発想はNEXのハイエンド機としていかがなものか。9を想定しているので、7はまだ普及機という言い訳は立たない。だって、「究極の小型一眼カメラ」という惹句で宣伝してるじゃない。

SEL50-F18は「神レンズ」か!?で「神じゃない」と書いたのも、標準レンズの選択  スカイツリー・押上〜京島 実写編であえて純正SEL35mm1.8を避けたのも、NEX-7とソニー純正レンズの組み合わせで出る「人肌しか見ていない」ことから派生するマゼンダ被りをマイナス点としているからです。だいたい、「人肌」って黄色人種基準でしょう?グローバル企業なのだから、白人や黒人、インディオなどの人肌も考慮に入れていなければおかしいのですが。もし、輸出仕様のWB設定が違うのなら、次からは海外通販で買います。

とはいえ、僕は「前衛」が好きです。ソニーの伝統である前衛主義を体現するオンリーワンなカメラなのは間違いない。前衛と未熟は表裏一体なので、AWB問題があっても根本的には好きなカメラです。未熟さを含めての前衛を評価しない人は、完成しきったライカに倣ったフジのXシリーズや、お金があれば本家本元のライカデジタルの方が良いでしょうね。


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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F8 ISO200 露出補正-0.7

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F8 ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F8 ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F8 ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F8 ISO400

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NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F8 ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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         NEX-7 Minolta MC W.Rokkor 35mm1.8 絞り優先オート ISO400

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NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F1.8 ISO200 露出補正-1.3

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         NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F4 ISO400 露出補正-0.7

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         NEX-7 SIGMA 19mm2.8 絞り優先オート F4 ISO400 露出補正-0.3

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NEX-7 Sony SEL50mm1.8 絞り優先オート F4 ISO400



【ファイナルインプレッション】  

【NEX-7】 最終評価 ボディ編
【NEX-7】 最終評価 レンズ編 1  SIGMA 19mm 2.8 EX DN
【NEX-7】 最終評価 レンズ編 2  Carl Zeiss Sonnar 24mm 1.8 ( SEL24F18Z )
【NEX-7】最終評価 レンズ編3  Sony E 50mm 1.8 OSS ( SEL50F18 )
【NEX-7】 最終評価 レンズ編 4  Minolta MC W.Rokkor-HH 35mm1.8

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おもな作例
写真(Naganao snapshot)  
写真(Street Snap)

by hoq2 | 2012-12-23 15:20 | 写真(Naganao snapshot) | Trackback | Comments(0)

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