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EOS5DMK3導入

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ロンドンオリンピックを控え、キャノン・ニコンのプロ機の新製品発売ラッシュが続いています。夏のオリンピックはメーカーにとって絶好のPRの場なので、必ず開催の何ヶ月か前にフラッグシップモデルが発売されます。中継でもカメラマン席が写ると白レンズ(キャノン)と黒レンズ(ニコン)がお互いを主張しています。

自分はもちろん、オリンピックの撮影には行きませんが、フリーになってからは1機種飛ばしでフラッグシップ(キャノン1D系)を更新していて、オリンピックイヤーの春は悩ましい日々を過ごします。仕事用の設備投資とはいえ、50万〜100万の買い物ですから向こう3年くらいの仕事の予測状況をにらみながら導入時期や方法を考えます。予約してすぐ手に入れるか、安定供給・値下りを待つか、中古が出まわるまで待つか、旧機種を売るか、売るなら何を売って何を残すか・・・。

報道写真からこの世界に入り、独立後はキャノンユーザーの自分にとっては高速連写・堅牢性が必須条件なので、メインは1D系というのが自動的に決まっています。で、1DXが発表されると、「ついに高速フルサイズ機がキャノンにも来た!」と、すぐに大喜びで予約を入れたのです。ところが、発売日が伸びに伸びて現在のアナウンスは6月中旬。先に別系統のハイエンドモデルとして5DMK3が発売されるという逆転現象が起きました。

その時点では、1DMK3と5DMK2を仕事用にしていたのですが、仕上がり画像の質は明らかに後発・フルサイズということもあり、5DMK2の方が上です。最近では5DMK2にメイン機を任すことの方が多くなってました。5DMK2の仕上がり画像には何の不満もなく、これを単純にMK3と入れ替えるなら、必然性は乏しいです。だから、まずは陳腐化しつつある1DMK3を1DXと入れ替えるという更新順序に何の疑問も持ってませんでした。しかし、1DXの発売延期が繰り返される中で、ふと既に発売されている5DMK3に目が行ったわけです。1DX導入をペンディングして1D3と5D3を入れ替えるのなら、半額で済むぞ。

それまで、5DMK3は店頭のデモ機もカタログスペックも見ていませんでした。しっかり触ったり調べたりすると、5DMK3は5DMK2の後継機というよりは、1Ds系(1Dの画質優先機)のポジションも吸収した第三の選択肢だということが分かりました。メーカーもMK3発売後もMK2を正規ラインナップに残しているように、MK3がMK2に取って代わるのではなく、上位機種という打ち出し方をしているようです。

5D2と決定的に違うのは、AF機構がAPS-C機と同様の系統から1D系(5D3=1DX)と丸々同じになったこと。そして、連写スピードが5D2の4コマ/秒から6コマ/秒に上がったこと。仕上がり画像の差に35万円の価値があるかは微妙ながら、この「撮る過程の要素の進化」はとてつもなくでかい。僕が5DMK2を一世代古い1DMK3に対して不動のメイン機にできなかったのは、5D系は1D系に対し、この2点が明らかに見劣りしていたからです。自分の被写体の中では、特に走り回る犬を撮る際は5Dはもちろん、5DMK2でもやや力不足でした。絵の仕上がり関してはピーキーな5D系の方が余裕を取った1D系より好みなんですが、5Dの鈍重さは一軍定着へのネックなのです。ドム(リックドム)のバズーカの破壊力は魅力だけど、ビームライフルの機動力と命中率の高さで宇宙ではゲルググを選ぶような話、ですかね・・・。

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EOS1DMK3 70-200/2.8 シャッター優先オート1/500 ISO400

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EOS1DMK3 70-200/2.8 シャッター優先オート1/640 ISO500 露出補正+0.3

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EOS1DMK3 24-70/2.8 1/500 F4 ISO500

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EOS1DMK3 24-70/2.8 シャッター優先オート1/1000 ISO400

5Dの大幅な高速化は、自分にとっては1Dの必要性を疑うのに十分な要素でした。AFの追従性はカタログスペックを信じれば全く同じ。一方、連写スピードは5DMK3の6コマ/秒に対して1DXは12コマ/秒。2倍早い。通常の3倍というシャアザクに近い話ではあります。しかし、1DMK3で撮った上のような写真は確かにその連写性能やAF追従能力を生かしたものだけど、10コマ/秒(1DMK3の最高値)は絶対条件だったのか?5DMK3の6コマ/秒は遅すぎるのか?1DMK2を使っていた頃は7.5コマ/秒で十分以上だった。そして、10コマ/秒は普段使いではオーバースペックで、常用していたのは7コマ/秒に設定した低速連写モード。そのまま高速モードに切り替えないで走る犬などの連写撮影をすることも多かった。

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EOS1DMK2 70-200/2.8 シャッター優先オート1/2000 ISO400

7コマ/秒で十分なら、5D3の6コマ/秒と決定的な違いがあるか。5Dの3コマ/秒はきつかった。5D2の4コマ/秒はぎりぎりセーフ。6コマ/秒はfairな速度だろう、というのがデモ機を触ったり1DMK3で設定して実写した上での結論。1DXとの比較で映像エンジンは同じDIGIC5+(ただし、1DXは高速処理化のためダブルで搭載)、AF機構は同じということなら、画素数的にも自分の好み的にも画質に分がある5DMK3をメイン機として迎えるのもアリではないか。

また、バッテリーグリップ(オプション品)の着脱で用途によってボディサイズの調整ができることは、撮影がメインではない記事取材やプライベートで街頭スナップを撮ることが多い自分にとっては5Dの大きなアドバンテージだ。常に大きくて重い1Dは逆に撮影専門の仕事以外では持て余すのです。そして、スチル撮影専門の仕事は世間一般的にも今後は減っていくと思われます。

これらをふまえ、5DMK3メイン、5DMK2サブという体制を組むことにしました。1DXの導入は値下がりを待ちながらゆっくり判断します。

ただ、1DMK3を残すか手放すか、その判断は難しい。5DMK3の連写スピードがもう一声速かったら何も迷うことはないのだけど・・・。

仕事となると「撮れませんでした」では済まされない。特に機材の不備でミスをすることほど馬鹿馬鹿しいことはない。才能や能力の不足で失敗したり満足な結果が残せないのはその時点では仕方のないこと。しかし、バッテリーが切れたり故障や性能不足で失敗するのは、悔いが残る。だから、こと撮影機材に関しては二重三重の保険をかけます。予備バッテリーの確保はもちろん、現場には必ず2台以上のボディを持っていくし、予備のレンズは少なくとも車に積んでおく。また、ストロボのワイヤレストリガーなど新しめのシステムに対しては従来の有線でも対応できるようにシンクロコードも用意しておくとか、大型ストロボが何かの要件で使えなくてもシューマウント(クリップオン)ストロボで同様の照明効果が出せるようシステムを組んでおく・・・などの備えをしています。

だから、やっぱり保険的意味合いで10コマ/秒というオプションは当面残しておきたい。1DMK3は確かに5DMK2と比べても仕上がり画像は陳腐化しつつありますが、今なお現役でいける高画質なのは変わりません。累計ショット数は15万を超えましたが、公称30万まで耐えるシャッターユニットなのでもうしばらく戦えそうです。APS-Hサイズ(35mm換算1.3倍)というのも、フルサイズのような流麗な立体感こそないものの、テレコン的使い方をすれば望遠側の可能性が広がるため、意外に便利なものです。一発逆転できるチームには必ずスーパーサブがいる。1DMK3は残すことにしました。

そういうわけで、品薄が続く5DMK3ですが、先日店頭に予約キャンセル品がありましたので早速入手しました。バッテリーグリップは入荷待ちですが、「足なんて飾りです」という言葉もある通り、既に趣味のライブ撮影、街頭スナップ、依頼仕事のこちらの音大のレッスン風景などで実戦投入済み。1DMK3の出番は今のところなし。新旧5Dたちで何の問題もなく戦ってます。今回、5DMK3の撮影画像は1枚もありませんが、それは続いての日記で・・・




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by hoq2 | 2012-04-20 02:28 | カメラ | Trackback | Comments(0)

(フォトジャーナリスト・内村コースケ)写真と犬を愛するフォトジャーナリストによる写真と犬の話。写真は真実の写し鏡ではなく、写像である。だからこそ面白い。


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