NEW FM2でリハビリ  フィルム撮影の潔さ

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

デジタル写真に移行したのは、比較的早い方だったと思う。新聞社で報道カメラマンをしていた1990年代末から、締め切り間際の夕刊対応の試験運用を始め、2001年末から2002年初めにかけてアフガニスタンに滞在した際には、既にD1Hとインマルサットの組み合わせで100%デジタルで撮影・入稿していた。

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Nikon D1H AF Nikkor 28-70mm F2.8 バーミヤン 2001年

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Nikon D1H AF Nikkor 17-35mm F2.8 カブール 2001年

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          Nikon D1H AF Nikkor 17-35mm F2.8 カブール 2001年

つまり、デジタル写真に親しんでからもう丸15年ほどになるということだ。年齢的には全然若くないのだが、写真に関しては、僕はデジタルネイティブを自負している。

もっとも、2007年くらいまでは、プライベートの作品撮りでは銀塩写真にこだわっていた。もっぱら白黒の自家現像・プリントだったが、引っ越しを何度か繰り返すうちに、現像・プリント環境が少しずつなくなり、この5年ぐらいはほぼ全くと言っていいほどフィルムに触っていなかった。プライベートでは、コンタックスやハッセルの銀塩システムを使っていたが、ほぼ全てデジタル機器の購入資金に消えていった。

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しかし、先日、ひょんなことから、人に半永久的に貸していた数少ないオールドタイプの生き残り、NEW FM2が帰ってきた。これには50mmF2がついていたが、ピントリングが油切れでカスカスで、ちょっとかわいそうな感じになっていた。でも、手にしているうちにネガカラーでスナップしたい気分になってきて、衝動的に1.4の50mmを落札。ちょっと騙されてこれまた油切れの個体だったのだが、まあ、試しに一本撮ってみるかと、個人経営の写真店に残っていたフィルムを高〜い定価で1本だけ買って、酒蔵が並ぶ諏訪市の中心部に向かった。

1カット1押し50mm1本勝負!そう、これはデジタルに慣れすぎた体に、写真の基本を再び叩きこむリハビリなのだ。

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

と言っても、現像・プリントまではさすがに再開する余裕はなし。店にフィル現出して、上がりを待つ間に日帰り温泉入って、家帰ってからスキャンという作戦を立てた(古い写真の整理のために、フィルムスキャナーとそれを動かすためのibookG4は取ってある)。まずは、蓼科の家からパンダで山を下りる間に3枚。

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

上諏訪の町は、寂れている現代日本の地方都市の中でも、さらに寂れている方だと思う(何しろ大都市近郊でもなく、県庁所在地ですらないのだから)。でも、暖冬の今年は、気候がいいせいか、去年あたりよりは明るい感じがした。人が歩いていたり、商店街の店が開いていたりすると驚くレベルなのは変わらないのだが・・・。このなんとも言葉では表現しきれない、寂しさの中の微妙なぬくもり、粒状感のあるネガカラーの画像から少しは伝わるだろうか?

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

僕が今まで使った50mm1.4と言えば、キャノンFL、SMCペンタックス、ヤシコンプラナー、コシナプラナー、AFニッコールくらいで、このAiニッコールは記憶にない。そもそも、フリーになってからキャノンに転向した(最近はソニーも)ので、ニコン自体が超久しぶりなのだ。やはり、安定感抜群だなあ、という印象。「決まればすごい!」というキャノンやツァイスにはない良さです。50mmという画角と相まって、正面ぎみに、しかし、ラフに潔く撮りたくなる。その点で、オールマニュアルのFM2とネガカラーを組み合わせて、露出も構図もピントも肌感覚、という撮り方は気持ちがよく、非常に身体論的である。

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

裏道に神社を発見。太鼓の音が聞こえる。神事をやっているようだ。諏訪大社のお膝元の諏訪地方では、今も神道が生活に根付いている。縄文系の骨太な山の信仰である。

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

50mmの画角が自分にとって名実ともに標準になったのは結構最近だ。写真を始めたばかりの10代の頃は28mmが標準だったし、報道写真は、「全景の状況説明」か「望遠で詰めて象徴的に撮る」というパターンが王道なので、むしろ標準域はすっ飛ばしがちであった。作品撮りでは、28mmから35mmを飛ばして、今はちゃんと50mmが標準になっている。やはり新聞社時代に基礎的な修行を終えてフリーになり、若いころの自己流を卒業したからであろう。歳をとって視野が狭くなったのか、自分の構図に確信を持てるようなり、余分なものが削ぎ落とされた結果なのか。謙遜なしに後者だと言っておこう。若い時はとかく、先人が歩いてきた道を外れたくなるものである。それが自信のなさの表れだと気づける人は、一定以上の高みに登ることができる。

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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          Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

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 Nikon New FM2 Ai Nikkor 50mm F1.4 フジカラー SUPERIA PREMIUM 400

ここに掲載したのは、36枚中22枚である。本当は、36枚全部載せようと思っていた。リハビリという名の練習・トレーニング・修行なので、1押し必中で36打数36安打を目指した。しかし、当然、そうはいかず、お見せできるレベルにない(つまり、自分で納得できない)「アウト」の写真が14枚。いつかは達成できると信じて、このフィルム1本勝負を打率10割達成まで、月1ペースくらいで続けたい。

ということなので、Ai 50mm 1.4は、今後気持よく修行するために、本日オーバーホールに出しました。

  

by hoq2 | 2015-12-02 23:46 | 写真(Street Snap) | Trackback | Comments(2)