【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part4(完)

「アドリブ旅行」
往年の「こち亀」の名エピソード
から拝借したこのフレーズが気に入っている。目的地不明、先の見えない旅。子供の頃からそういうロードムービー的な体験に胸が踊る。地についた足を離し、移動を開始する。その瞬間、肉体と精神が正真正銘の浮草になる。そして、社会や生きることのしがらみから自由になったような錯覚に陥る。

レンタカーの回送という仕事をご存知だろうか。ここではあえて詳細な説明をしないが、次から次へと乗り捨てられたレンタカーと鈍行列車を乗り継ぎ、全国の<下道>と<在来線>をぐるぐる巡って僅かな報酬を得る仕事である。次の目的地は直前まで分からない。

その点だけを捉えれば、自分にとってはこれは究極の「アドリブ旅行」である。ここでは、回送員として「稼働」した日々のロードムービー的な断片にスポットを当て、後のための忘備録を兼ねて写真と文章で記録していきたい。



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【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part1
【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part2
【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part3

さて、本稿最終回にして、ようやくタイトルの「東北初進出」である。時はクリスマス前、立教大学のクリスマスツリーを過ぎて、池袋の営業所から車を受け取って一路山形を目指す。原則どおり下道回送である。東京から山形まで下道で行く--。一般のサンデードライバーにはまったく考えられないことだと思う。本業で若いころからかなり車に乗ってきた僕だって、長距離は高速である。下道で山形なんてチラリと考えたこともない。

以前にも少し触れたが、請負の回送業では、高速は「使ってはいけない」のではなく、元請けとの契約上、「使ってもいいけど、高速代は経費で落ちませんよ」というシステムなのである。

ただし、納期が迫っている時や悪天候時、繁忙期などは例外だ。後になって分かったことだが、高速代が経費で落ちる「高速を使いなさい」という指令=「全線高速(全高)」の指示が出ることは結構多い。これは2013年11月からこの仕事を始めた僕の、あまり根拠のない想像だが、「全高」の割合はここに来て以前よりも増えているのではないか。悲しいことだが、僕がアベノミクス効果を実感するのは、これぐらいなのである。

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で、肝心の怒濤の長距離移動だが、今これを書いている4ヶ月後になってみるとあまり覚えていない。4号線が宇都宮の手前で片側3車線の「高速いらねーじゃん」系の大バイパスになったのに驚き、郡山の手前で「おう、東北!」と安心して爆発的に眠くなってしまい、コンビニの駐車場に駆け込んで爆睡ーという、まあざっくりとした記憶である。

あとは、そう、今回の稼働で危惧した「スタッドレスOK?」な心配は無用であった。スタッドレス装着車であったし、まだ積雪・凍結はギリギリセーフであった。なにより「顧客」が珍しくTR社ではなかったので、車もT社ではなく、H社のコンパクトカーだったのが幸いであった。うんうん、よく走る。ドライビングポジションが最高。全体に軽く鋭すぎるレスポンスは好みではないが、運転していてストレスが少ない。長距離を走る時は特に車種、重要です。

そんなこんなで、仮眠時間を入れて夜7時発の朝7時着という12時間コースですな。そうあらためて振り返ると、アメリカの車移動と比べればまあ、たいしたことないのかな。子供の頃、カナダのオタワに住んでいたのだけど、隣町のモントリオールまで2時間、州都のトロントまで5時間、ニューヨークまで2泊3日とかそんな感じだった。

朝、コーヒーを飲んだコンビニの駐車場。ポッカリと見えた三角山。関東あたりでは見ない感じで、妙に旅情をかきたてられた。仮眠(二度寝)場所を探して市内をさまよった際に、山形市中心部は「横浜市緑区と言っても通じる(首都圏民の目で)意外と普通の住宅地」だったことも付け加えておこう。

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山形で納車した後は、駅前から高速バス(これも「原則鈍行列車」の例外)で仙台へ。車窓からこの冬初めて雪山を見てシャッターを切る。後に記録的な大雪に苦しめられたこの冬。後から思えば無邪気なもんだ、バカみたい。

実は、この高速バスは後払いだったのだが、万札しかなく、しかも降車時におしっこが漏れそうであった。アワアワしていると、厳しい顔で睨んでいると思ったおばちゃんが、黙って立て替えてくれた。その人は急いでいるようだったけど、とにかくコンビニに駆け込んで万札をくずして「ありがとうございました」。東北の人は本当に、無愛想なようで実はものすごく親切。来るたびにこういうエピソードがある。おしっこがまんしまくってたので、僕のほうがもっと恐ろしい顔をしていたはず。感謝の気持ち、伝わらなかっただろうなあ。

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仙台駅前から、市内の引取先へバス移動。ここで詳しくは書けませんが、業界最美人に見下されるというすごい経験をしつつ車を引き取り、仙台空港へ。宮城県内はいまだ、震災復興関連の需要が多い。今も震災の傷跡が残る仙台空港は、我々回送業者にとってもメジャーな引取・納車先の一つなのだ。

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ローカル路線バス乗り継ぎの旅の蛭子さん並に土地の名物に興味のない僕だが、この日は牛タンのかわいい看板に惹かれてドライブインに立ち寄り。しかし、結局値段を見て(いえ、決して高くはなかったのですが)、隣の激安爆盛りっぽい立ち食いそば屋で食べました。満足、次も行くと思う。

帰りは乗り継ぎなしで一気に4号線を南下して羽田空港を目指します。途中、一部で有名な「福島のガンダム」を横目に、美しい夕焼け。1回経験すればもう怖くない、東北下道紀行。気づけばこの日12月10日は僕の誕生日でした・・・(「アドリブ旅行02」完)

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【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part1
【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part2
【アドリブ旅行02】 初の東北進出 Part3

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【今回使用機材】

    

by hoq2 | 2014-03-27 00:10 | 写真(アドリブ旅行) | Trackback | Comments(0)

『アイメイト・サポートカレンダー』2015 今年は子犬がすごいです!

アイメイト後援会が運営する『アイメイト・サポートグッズ オンラインショップ』の公式ブログ『EYEMATE support goods SIDE STORY』が同じexciteブログ内で展開中です。同ブログの運営と記事執筆を担当しています。こちらの個人ブログにも随時記事を転載しています。

アイメイトとは、アイメイト協会が育成している盲導犬のことです。一般名詞の「盲導犬」が「パソコン」ならば、アイメイトは「Mac」のようなものになります。日本の盲導犬の歴史を作った故・塩屋賢一氏直系の最も歴史と実績のある正統派の育成団体です。

アイメイトの育成には多くのボランティアの方々が関わっており、アイメイト後援会はその中心となるボランティア団体です。チャリティグッズの販売はその活動の一つで、収益はアイメイト協会に寄付されます。『EYEMATE support goods SIDE STORY』では、グッズにまつわるサイドストーリーや制作秘話などを不定期で掲載します。商業目的のグッズではありませんので、商品の宣伝よりも、アイメイトのことをより深く知っていただくための読み物として展開していく所存です。どうぞよろしくお願い致します。



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『アイメイト・サポートカレンダー』2015年版の撮影は、昨年の秋から始まっています。季節感が要素の一つとなっているカレンダーの撮影は、通年で行われています。

また、ほとんど全ての写真は、このカレンダーのための撮りおろしです。

『アイメイト・サポートカレンダー』では、盲導犬として活躍するアイメイトたちの誕生から子犬時代、訓練・歩行指導中、現役時代、リタイア後、家庭犬としての道といった「アイメイトの一生」の各ステージを写真で表現しています。そして、なるべくリアルタイムな「今の姿」を伝えることが、アイメイトを支援するという目的に最低限必要な「誠実さ」であると私は考えています。

なぜなら、アイメイトは、会社などの特定の利益のために存在するのではなく、視覚障害者福祉という公益のために存在するからです。その支援をする後援会が作るグッズは、社会に向けて誠実でなければいけません。

たとえば、よくある犬のカレンダーのように、ストックフォトなどからの寄せ集めでは、どうしてもテーマ性が希薄になったり、こじつけ的な白々しさが生じてしまいがちです。いつ、誰が、なんのために撮ったか、1枚1枚バラバラでは当然です。そうならないためにも、『アイメイト・サポートカレンダー』は、同じスタッフが毎年、次の年のカレンダーのためだけに撮っています(掲載枚数の関係等で再来年に回すなど、いくつかの例外はあります)。

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しかし、その中で子犬というのはちょっと違って、「無条件なかわいさ」で押し通す無垢な力に満ちています。視覚障害者福祉というアイメイトの本筋の部分は、やや固いというか、入りにくいテーマかもしれません。そこに興味を持ってもらう入口として、子犬たちの力を借りるという側面もあります。ですので、子犬の写真は、表紙など目立つ場所に使うことが多く、そのため、ほかのステージよりはドキュメンタリー性よりも純粋な「かわいさ」に振った撮り方が多くなってきます。

そして、今年はその子犬に珍しいことが連続して起きています。子犬は「繁殖奉仕」という繁殖用の母犬を預かるボランティア家庭で生まれます。まず、暮れに「イエロー」「ブラック」「チョコレート」とラブラドールの3色全て揃った5頭が生まれました。

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こんな手のひらサイズだった子たちが、先月(2月)には冒頭の2枚や下の写真のように成長しました。

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そして、先日撮影したのは、13頭!の兄弟姉妹。アイメイトの子犬は長年撮影していますが、これまでの最高は11頭でした。もうこうなると犬団子状態ですね。

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おっぱいをあげるお母さんも大変です。

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アイメイトは、この時期に兄弟姉妹、母犬と犬同士のコミュニケーションを取って社会性を身につけます。13頭もいると奉仕者の方は大変だと思いますが、子犬たちにとっては賑やかな毎日が良い社会勉強になることでしょう。

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『2015 アイメイト・サポートカレンダー』は、この秋の発売になります。

その他のグッズの売上も、アイメイトの育成のために役立てられます。ぜひ、アイメイトサポートグッズ・オンラインショップをご利用ください。

アイメイト後援会の活動内容や、繁殖奉仕などのボランティア活動については、アイメイト後援会HPをご覧ください。アイメイトの育成は、皆様のご協力によって成り立っています。

by hoq2 | 2014-03-12 02:16 | アイメイト | Trackback | Comments(0)