【EOS 5D Mark III】 最終評価=ボディ編

EOS5DMK3を導入してから1年余りが過ぎました。本ブログのおもな主旨は、「写真」という結果を紹介することにありますが、アクセス数が多いのは機材に関することをメインテーマにした記事です。ですが、ファーストインプレッション以降、まとまってボディやレンズを評価した記事を書いていませんでした。このままでは竜頭蛇尾になってしまうので、随時ファイナルインプレッションも書いていきたいと思います。

今回のボディ編に続き、各レンズについても不定期で上げて行きたいと思います。

同時進行でNEX-7編もやっています。


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まず、最初に言って置かなければいけないのは、これは自分にとっては歴代最高のEOS DIGITALだということです。2013年7月現在で、仕事用のメイン機として、また個人的(趣味的)な作品作りにおいてもNEX-7と共に使っています。仕事では2台持ちが基本になりますが、その際のサブ機は1世代前の5DMK2です。

ツッコミが多そうなので最初にエクスキューズしておきますが、ニコンのストラップをつけているのは、単純にこのプロストラップ(ニコンプロサービスで配布しているもの。これはF5時代のモデル)が自分にとって一番使いやすいからで、それ以外に他意はありません。たまたま未使用品が手元にあったので、メーカー違いを気にせずに5D3につけているだけです。

自分は、新聞社の社員カメラマンからフリーになりました。新聞社時代の機材は会社所有の支給品で、ニコンかキャノンが選択できました。自分は当時、ニコンユーザーでしたので、デジタル一眼の歴史はニコンのD1から始まりました。D1HからD2に切り替わる頃にフリーになり、その際にすっぱりとキャノンにシステムごと乗り換えました。その当時は、デジタル一眼の仕上がり画像がキャノンの方が一歩進んでいたからです(今はシステム全体を俯瞰すればニコンの方が良いと思ったりしますが)。また、フリーになれば自分の味で勝負できるので、EFレンズの繊細な描写の方がこれから撮りたい自分の写真に合っているという思いがありました。

EOSにしてからのボディの歴史はこんな感じです。2台いっぺんに買い換えることはなく、1台ずつ入れ替える方式をとっています。メイン・サブの分け方は、特定の条件下以外でその当時自分がどっちを優先的に使っていたかということを示します。

・メイン=1DMK2、サブ=20D
・メイン=5D、サブ=1DMK2
・メイン=1DMK3、サブ=5D
・メイン=5DMK2、サブ=1DMK3
・メイン=5DMK3、サブ=5DMK2

ここに来て、1Dを使っていないことにお気づきでしょう。それだけ今の私は5DMK3に信頼を寄せています。現行の1Dは、フルサイズ・高速の1DXで、自分が求めるスペック的には申し分ないのですが、全て自腹で仕事をしなければいけないフリーランスとしては、費用対効果も考えなければいけません。その中で、5DMK3が一台あれば1DXは不要という判断をしています。

1DXの5DMK3に対するアドバンテージはコマ速(12コマ/秒 vs 6コマ/秒)とAF性能(同じAFユニットだが、バッテリー等の関係で1DXの方がやや高性能と言われる)ですが、画総数的な画質では5DMK3の方が勝ります。それを鑑みて、自分が使うべきメイン機はどちらか。5DMK3に軍配を上げました。

(理由その1・激しい動体撮影をする機会が減った) 以前はサッカーやモータースポーツなど高速で移動する被写体も仕事の中にありましたが、仕事の内容が時代と共に変わってきて、今は走る犬くらいです。「走る犬」を撮るには、確かに1DXがベストです。しかし、現在はある程度自分の裁量で被写体を選べるようになってきているので、そういった「動きを止める」質の写真よりも「絵として美しい写真」を志向できるようになった。だから、激しく動く被写体を撮る機会は年に数回程度。また、5DMK3の連写・AF性能でも十分に「走る犬」を撮ることができます。単純計算で1DXの方が倍のカットを撮れ、AFの外しも少ないのは予想できますが、そのためだけに55万〜のボディを持つのは仕事として採算が合いません。

(理由その2・5DMK3は1D系の絵作り) これは、しばらく使っていて思い直した部分ですが、5D、5DMK2に対して、5DMK3は色の出し方等が従来の1D系に寄っています。どういうことかというと、5DMK2まではアマチュア向けの「パッと見の鮮やかさ」を志向しており、それはそれで好きだったのですが、Photoshopでの後処理の幅を狭めるものでもありました。それに対し、プロ機の1D系は「パッと見の鮮やかさ」よりも「じっくり見た時のトーンの豊かさ」のようなものを志向しています。見る方の質も要求する絵作りで、これはまた後処理のしやすさにもつながる。5DMK2と5DMK3の仕上がりの一番の違いはここにあります。そういう意味では、"ハイアマチュア機”だった5D系が、MK3からプロ機になったと捉えることができるのではないでしょうか?また、画素数で1DXを上回り、大きさ的にも取り回しが楽なのでたとえ1DXを持っていたとしても、自分の場合は5DMK3を使う機会の方が多くなるのかな、と思います。

(理由その3・汎用性の高さ) 予算が有り余っていれば、用途ごとにボディを用意するのがいいに決まっています。しかし、5DMK3は1台で色々な使い方ができる。私の場合、撮影専門の仕事をする時には、大振りな2.8Lズームを使うことが多いですが、その場合はバッテリーグリップをつけた方がバランスがよくなります。また、縦位置シャッターもホールディングの安定にはあった方が良い。つまり、バッテリーグリップで1D的な使い方ができる。逆に外すとコンパクトサイズになるので、単焦点レンズをつけて歩きまわって撮るような際にはそうします。この「小さくまとめる」というのは1D系では得られないアドバンテージで、ライター業を兼ねた撮影や趣味の街頭スナップを撮ることも多い自分には大変に有難い。6コマ/秒というのも、じっくり撮る・連射してガンガン撮る、その両方いけるちょうどよい速さ(自分は、連射モード固定で単写・連射を指の動きで制御する撮り方をしています。10コマ/秒クラスでは単写が難しくなる)です。例えが良くないかもしれませんが、ベンツのステーションワゴンがあればポルシェは必要ない、そんな感覚ですかね。


では、★5つ満点の評価です。動画機能やオートHDRなどの付加機能については、自分はほとんど使わないので評価しません。スチルカメラとしてのベーシックな性能のみを評価します。


【画質全般 ★★★★★】 

絵の仕上がりの点で完全に満足する条件として、フルサイズであることが大前提になります。その点のみで、入れ替え対象になった1DMK3を凌駕します。APS-CやAPS-Hと同じ条件で撮ったとしても、絵の立体感やトーンの豊かさが違います。それをかつての1Dsよりもはるかに安い価格で実現しているのですから、僕はこのカメラは決して高くない、リーズナブルとさえ思います。前モデルの5DMK2との違いは上に書いたプロ機的な色出し以外の部分では、一見それほど変わりません。それは、ポジティブに捉えれば5Dシリーズのポテンシャルが高いということ。1DXは実際に使っていないので分かりませんが、おそらく仕上がりの美しさはやや5DMK3に分があるのではないでしょうか。


【色味 ★★★★☆】 

5D系のカラーバランスは、イエローに寄る傾向があります。初代5Dはひどかった。それがMK2で大幅に改善されましたが、MK2はその分タングステン光下などでややレッド寄りのシーンも見られます。そのレッド寄りがなくなったのが、MK3と言えると思います。アマチュア機的ないわゆる「人肌をきれいに見せる」という設定の悪しき部分がなくなったからでしょう。つまり、MK3は概ねニュートラルだが、シーンやレンズの組み合わせによっては5D系あるいはキャノン全般のクセと言えるものも残っていて、ややイエロー被りが見られるということです。しかし、そのクセさえつかんでいれば、ほぼ全ての条件下でAWB・ピクチャースタイル「スタンダード」で十分。後処理の微調整できっちりニュートラルな発色に持っていくことも、撮ったままの絵を基準に個性を強調したトーンを作ることもできます。もちろん、RAW撮影で後処理の幅を広げることも絵作りの選択肢に入れています。素性が良いだけにカメラ側でWBやピクチャースタイルをいじる必要性を私は感じません。


【AF性能 ★★★★☆】 

MK2から大きく進歩しています。AFシステム全体が10D系から1D系に一新されました。スペック上は1DXと同等です。ただ、その割には追随性が世界最高峰レベルではないな、という実感はあります。1DXよりは少し遅いでしょう。おそらくバッテリーや映像エンジンの違い(同じDIGIC5+だが、5DMK3は1基、1DXは2基搭載されている)の影響はあると思います。とは言っても、トップクラスでの微妙な比較ですから、絶対的な性能としてデジ一のトップレベルには変わらないでしょう。私がこの点で1DXが欲しくなったのは、トップスピードで走るイタリアン・グレーハウンドを追った時のみです。


【コマ速 ★★★☆☆】  

もう次期モデルに投資したくないので、しばらくMK3が現行であって欲しいくらいこのカメラに惚れ込んでいますが、唯一、次期モデルに期待したいのがコマ速のアップ。6コマ/秒でもそれほど困ることはない(最終的に撮れなかったということにはならない)のですが、犬の一瞬の動きや表情など、1Dで難なく撮れていたものが、結構気合を入れないと撮れないこともあります。その点で、8コマ/秒あればもう何も望まないというレベルに昇華する。現状では、1DXまでは必要ないにしても、サブに7Dが欲しくなることもあったりするのが本音なわけです。スポーツ等がメインの被写体の人にはギリギリオススメできない、そんな感じです。


【光学ファインダー ★★★★☆】 

視野率がMK2の98%から100%になりました。視野率100%は仕事のメイン機としてはやはり欲しい条件。この点も、1D系を必要としない理由の一つと言えます。ただ、フォーカシングスクリーンが固定式になってしまったのは、MK2からの退化。私はMFカメラの時代から方眼マットをデフォルトで使っていますが、これに関してはデジタル的に方眼を入れることができるので問題はない(だから固定式にしたと思われる)。しかし、MFレンズを使う時に明るいスクリーンに換えるなど、そういうことができないわけです。まあ、自分の場合はMFレンズを多用するもののライブビューとの併用でうまくやってますので、方眼が入れられればAF用の暗めのスクリーン固定でもOKです。でも、スクリーン交換というオプションはやはり残して欲しかったですね。


【モニター・ライブビュー ★★★★☆】 

大きく見やすいし、画質もいいです。初代5Dは、実際の仕上がりとモニター表示の明るさや色の差が大きく、大きな不満があったのですが、完全に実用レベルに進化しています。撮影画像の確認はもとより、モニター画像を頼りにしたライブビュー撮影でも何ら問題はありません。唯一の不満点は、表示画像を拡大した際に、2段階の拡大率を経ないと等倍に戻らないことです。これは、ライブビューで手持ちのピント合わせに拡大機能を用いた時に、弊害になります(ボタンを2回押している間にピントがずれることがある)。シャッター半押しなどワンアクションで復帰できれば良いのですが・・・


【大きさ・操作感・質感など ★★★★★】 

大きさ・重さの感じ方は個人差があるので、なんとも言えませんが、ずっとF5やD1、1Dを使ってきた自分には小さくて軽い部類に入ります。しかし、kissでも大きいと思う人には巨大で重いカメラということになるでしょう。

基本的なレイアウトは5DMK2と変わりません。撮影モードの切り替えがクラッシックなダイヤル操作でできるのは、銀塩世代には嬉しい。僕はこの点で、5D系のレイアウトの方が1D系よりも好きです。

MK2との大きな違いは、ON/OFFスイッチがボディ背面下部から上部ダイヤルの脇に移動していること。これは、カメラバッグに入れたまま操作できるので、良い変更だと思います(MK2はバッグから出さないとON/OFFができない)。また、バッテリーグリップにマルチコントローラーがついたのは非常に嬉しい。縦位置シャッター使用時のAFエリア切り替え(自分は「マルチコントローラーダイレクト」に設定している)が楽になりました。

仕事用なのでモノとしての質感やデザインにはそれほどこだわりませんが、防塵・防滴性は実用上十分だし、剛性感や質感もMK2よりもプロ仕様に向上していると思います。


【総評 ★★★★★】 

コマ速など微妙な不満点はあるにしても、これ1台で自分の望む範囲のことは全てカバーしている。個人的にはベストEOS、満点です。



by hoq2 | 2013-07-16 20:20 | カメラ | Trackback | Comments(0)

【EYEMATE Support goods SIDESTORY】クリアファイル2枚組D =「訓練には犬を愛おしむ心を」

アイメイト後援会が運営する『アイメイト・サポートグッズ オンラインショップ』の公式ブログ『EYEMATE support goods SIDE STORY』が同じexciteブログ内で展開中です。同ブログの運営と記事執筆を担当しています。こちらの個人ブログにも随時記事を転載しています。

アイメイトとは、アイメイト協会が育成している盲導犬のことです。一般名詞の「盲導犬」が「パソコン」ならば、アイメイトは「Mac」のようなものになります。日本の盲導犬の歴史を作った故・塩屋賢一氏直系の最も歴史と実績のある正統派の育成団体です。

アイメイトの育成には多くのボランティアの方々が関わっており、アイメイト後援会はその中心となるボランティア団体です。チャリティグッズの販売はその活動の一つで、収益はアイメイト協会に寄付されます。『EYEMATE support goods SIDE STORY』では、グッズにまつわるサイドストーリーや制作秘話などを不定期で掲載します。商業目的のグッズではありませんので、商品の宣伝よりも、アイメイトのことをより深く知っていただくための読み物として展開していく所存です。どうぞよろしくお願い致します。


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アイメイトやアイメイト候補の子犬の写真を全面に使った「クリアファイル」は『アイメイト・サポートグッズ オンラインショップ』の人気商品の一つです。A4判2枚組で、現在4種類が販売中です。そのうちの『クリアファイル 2枚組 (D)』の1枚に使われているのが、「ドアー」の訓練の様子です。使用者の方がアイメイトに発するコマンドの一つで、「ドアー」と言われたアイメイトは、鼻先で部屋などのドアノブの位置を示します。今回は、こうしたことを教える「訓練」についてのお話です。

(写真・文 / 内村コースケ・写真家、クリアファイル制作担当)


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前回の【イラストミニレター】 上杉一道さんとケビン、マービーの話でも、「不適格犬」という呼び名について書きましたが、アイメイト協会では安易に横文字を使って物事の本質をオブラートに包むようなことはしません。そのため、「訓練」という言葉の印象でビシバシとスパルタ教育を行なっているというふうに思っている方も少なからずいるようです。

しかし、上の3枚の写真の歩行指導員(人間教育を本分と考えるアイメイト協会では、犬の「訓練士」「トレーナー」ではなく、人に対する「歩行指導員」という呼び方をします)の優しい笑顔を見ていただければ分かりますが、「グーッド!」と褒めることの方が圧倒的に多いのです。

これは、協会の歩行指導員が皆、創設者の塩屋賢一氏の哲学を受け継いでいるからです。

「訓練には犬を愛おしむ心を」 塩屋賢一氏が遺した言葉です。

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賢一氏は幼い頃から犬が大好きでした。飼い犬を枕に犬小屋で一緒に寝たり、犬が父親に叱られた時には泣きながら代わりに謝るような、そんな少年でした。そして、戦後復員してすぐ、誰もがその日食べるものにも困っていた時代に全財産をはたいて憧れのシェパード犬を手に入れたほどです。奥様が苦労して手に入れた肉を自分が食べずにその「アスター」にやってしまうなど、奥様がやきもちを焼くほどの関係だったといいます。

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現在の歩行指導員たちも、皆賢一氏に負けず劣らずの犬好きです。ただし、それはベタベタとした愛情ではありません。将来の視覚障害者との対等なパートナーとして、敬意を払いながらも若い候補犬の良きお姉さん、お兄さんとして愛情深く接している。そういう関係だと私は感じています。そして、教えたいことが良くできた時には心から共に喜び、褒めます。上辺だけの気持ちは犬には伝わらない。見透かされてしまうからです。犬の愛の感覚に対するスルドさは、人間以上だと私は思います。

候補犬たちも、しっぽを振って喜び勇んで訓練に臨みます。「スィット」(座れ)、「ステイ」(待て)などが上手にできた時の得意そうな表情は、見ている者をも幸せにしてくれます。犬全般に言えることですが、特にラブラドール・レトリーバーという犬種は人と一緒に行動し、褒めてもらうことに何よりもの幸せを感じるようです。これは、太古の昔から人と犬が共に暮らし、狩猟などの共同作業をしてきた長い歴史の積み重ねがあるからでしょう。

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アイメイトが街を歩いていると、よく「偉いねえ」「賢いねえ」という声が聞こえてきます。しかし、実際には犬だけが偉くて賢いのではなく、パートナーの視覚障害者が覚えた道順をアイメイトに指示したり、交差点の位置や信号の変化を足先の感覚や音で把握して歩行をリードします。アイメイトはその指示に従いながら、時には車が飛び出してきた時には指示に従わずに止まったり、路上の障害物を自主的に避けたりします。アイメイト歩行とは、そうした対等な共同作業なのです。そのため、塩屋賢一氏は「盲人を導く犬」を示す「盲導犬」という呼び名を嫌い、EYE=私・愛・目、MATE=仲間という意味を込めてEYEMATEという呼称を使うようになったのです。

だから、訓練を受ける候補犬たちも、特別に賢かったり偉かったりするわけではありません。本質的には私たちの家庭にいるペットと同じ、愛らしい子供のような存在です。だから、訓練中も隙を見ては歩行指導員のひざにあごを乗せて甘えたりもします。ハーネスをつけて歩き出すとピシっと引き締まった表情になる所が、ちょっと特別な部分でしょうか。

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時には失敗も。訓練中におしっこをしてしまいました(訓練を終えれば、「ワン・ツー」の号令がなければ排泄をすることはありません)。なんともバツの悪そうな表情がかわいらしいですね。

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【クリアファイル 2枚組 (D)】300円

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by hoq2 | 2013-07-10 02:53 | アイメイト | Trackback | Comments(0)

【恵比寿ー渋谷】 追憶と初見の街

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         NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F5.6 ISO200


恵比寿で仕事の打ち合わせがあり、帰りに渋谷まで歩いた。幼少時は徒歩圏内に住んでいたのと、高校の一時期は渋谷乗り換えで通学していたり、近辺に友人も多かった。だから個人的に懐かしいエリアである。しかし、渋谷文化圏を離れてだいぶ経つ。最近は用事がない限りは行かない。90年代後半以降のこの街は、個人的にはイライラさせられる要素が多すぎて疲れるからだ。

ただ、あまりにも行かなすぎて食わず嫌いになっているのではないかと思い、今回は意を決して好き好んで歩いてみた。最初はやはりセンター街や公園通りなどメジャーな通りには足が向かなかったが、だんだんと「おっ、そんなでもないな」と感じ始めた。最後には自然にメジャーな渋谷に足を踏み入れることができた次第である。

とても傲慢な物言いであるが、僕は渋谷は「頭の悪い人たちが集まる街」だと思っていた。古臭い学歴的な意味ではなくて、「この街を歩いている自分になる」ことが目的になってしまっているような、底の浅い馬鹿さかげんである。テレビの馬鹿騒ぎが現実になったような、レベルの低い所でごちゃごちゃやっている街。

しかし、もはや少し認識を改めねばなるまい。平日ということもあったかもしれないが、人々の外見や街のディスプレイ感などは思った通りの感じではあったが、なぜか以前ほど頭が悪そうな感じはしなかった。色々分かっていてやっている感がにじみ出ているのである。要は、街全体が少し大人になったような気がする。少しは物事を深く考える街になったのだろう。日本人全体が大人になった結果の底上げだとしたら、その必要性を迫る要素=不況もまんざら悪くない。

同時に個人的な街の空気感の捉え方も変わった。この街を行き交う者の一人だった時からかなりの時間が過ぎて、ノスタルジーを感じる要素がかなり増えた。80年代や90年代的要素がもはや昭和ノスタルジーの域に達している。幼少時の70年代の、むしろ田舎臭かったクラシックな渋谷が残っているのも大きい(東横線の地上駅やプラネタリウムがなくなったのは残念だが)。この街の不思議なところは、建物や通りなど「器」は昔から意外と変わっていないことだ。その中身だけがめまぐるしく入れ替わる。それは、街頭スナップ的には非常に魅力的な要素である。


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NEX-7 Sony E 50mm 1.8 絞り優先オート F2.5 露出補正 +0.3 ISO100

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         NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO200

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO200

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NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーター VCL-ECU1 絞り優先オート F8 ISO200

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NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーター VCL-ECU1 絞り優先オート F8 ISO200

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         NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーター VCL-ECU1 絞り優先オート F8 ISO200

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F5.6 ISO200

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         NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO200

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         EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーター VCL-ECU1 絞り優先オート F8 ISO200

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NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーター VCL-ECU1 絞り優先オート F8 ISO200

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         NEX-7 Sony E 50mm 1.8 絞り優先オート F8 ISO200

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         NEX-7 Sony E 50mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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         NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO200

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NEX-7 Sony E 50mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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         NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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NEX-7 Contax Carl Zeiss Sonnar 90mm 2.8 G 絞り優先オート ISO400

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NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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         NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO400

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         NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F8 ISO100

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         EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F8 ISO200 露出補正+1.0

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         NEX-7 Contax Carl Zeiss Sonnar 90mm 2.8 G 絞り優先オート 露出補正+0.3 ISO200

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         NEX-7 Contax Carl Zeiss Sonnar 90mm 2.8 G 絞り優先オート ISO400

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         NEX-7 Sony E 50mm 1.8 絞り優先オート F6.3 ISO400

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F8 ISO100

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 Carl Zeiss Sonnar E 24mm 1.8 絞り優先オート F5.6 ISO200

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F6.3 露出補正+0.3 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F6.3 露出補正+0.3 ISO200

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         NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F6.3 露出補正+0.3 ISO200

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         EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 絞り優先オート F5.6 ISO200

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NEX-7 SIGMA 19mm 2.8 絞り優先オート F5.6 露出補正+0.3 ISO200

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NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーターVCL-ECU1 絞り優先オート F5.6 露出補正+0.3 ISO200

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NEX-7 Sony E 16mm 2.8 + ウルトラワイドコンバーターVCL-ECU1 絞り優先オート F5.6 露出補正+0.3 ISO200



【使用機材】

    

    


by hoq2 | 2013-07-06 20:24 | 写真(Street Snap) | Trackback | Comments(0)

大塚ー巣鴨  ネット時代のストリートスナップの問題

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EOS 5D Mark III Carl Zeiss Planar 50mm 1.4 ZE 絞り優先オート F5.6 ISO200


東京を広い風景として見れば、ヨーロッパの整った街に比べればゴチャゴチャとして醜いという人が多い。しかし、一方でパリやロンドンに住む人の目にはかえってcoolな街に映ることが多いらしい。僕も東京をクールだと思うクチだ。特に写真に切り取るという街頭スナップ的なアプローチで見ると、この街は秀逸である。さまざまな要素が隣り合ってひしめくが、それがミクロ的には整然としている。整然としたものが雑然と集まっているとでも言えばいいだろうか。僕はそれがたまらなく好きである。だから地元なのにいつまでも新鮮だ。

この街を歩く通行人にしても同じで、雑然と整然と多くの人が行き交う。写真を始めた頃からこの街で通行人を絡めたスナップを撮っているのも、人が物体としての街に動きを与え、空気に濃密感を与える心地よさに酔っているからである。

しかし、ネット時代を迎えてこの「通行人を絡めた街頭スナップ」に一種の制限が加わっている。「個人情報」という言葉がいささか乱用ぎみに使われるようになって、特に不特定多数の人がアクセスするネットに「人が写った写真」を上げるのが難しくなっている。「顔」は個人情報ではないという正論も、受け手の感情によっては通じない。それでも僕は「人が写った街頭スナップ」を撮り、細々と発表し続けている。だが、以前に増して非常に気を遣っているのも確かである。

まず、「人」そのものをテーマにした写真は本人の了解がないと載せない。すなわちそれはポートレートであったり、特定の一人の特定の行為がメインテーマになった写真である。ざっくり言えば、何かをしている人、特に変わったことや反社会的なことをしている人をアップでは撮らない(どうしてもな時はその場で了解を取る)。あくまでも背景が主役で街頭風景にたまたま人がいる(入り込んでいる)写真を、撮る段階から志向せざるを得ない。もちろん、ケースバイケースでの例外はたくさんあり、最終的にはシャッターを切る毎の個別の判断が要求される。そして、その結果については全責任を負う。

総論的に言えば、「芸術写真」としての「人が入ったスナップ」しか撮らないということである。今まで経験はないが、何らかの形でクレームが入った場合は「芸術写真です」と堂々と答えるしかない。ベルリンやロンドンで街頭スナップを撮っていた時には、「街頭スナップ」というジャンルの芸術が広く一般に認知されているのを感じた。撮影時の僕の撮り姿を見た通行人から、「ああ、そういうアーティストなのね」と雰囲気で察してくれているのが伝わってきた。誰も文句を言わないし、中にはブレッソンの写真の登場人物のような芸術的なポーズをさりげなく決めてくれる人までいた(それが決して珍しくない)。

東京もここ2、3年でそういう感じに近づきつつあると思う。おそらくSNSの普及と関連しているが、ドキュメント系の写真において「個人情報」を拡大解釈するような人はあまりいなくなったように思う。反対に「撮るな」というオーラをはっきり出す人も多くなった。だから、最初からそういう人を察知したらカメラをしまうことができる。

とはいえ、やはり細心の注意が払えなければ、この時代、街頭スナップを撮るのは難しいだろう。自分の写真についても以前に比べて怖がってしまって、「通行人」に対する踏み込みができていないと自覚する。もっと芸術性を高めなければいけないと思う。

今回歩いた大塚ー巣鴨間は、「人」の濃密感があるエリアである。最近にしては少しだけ通行人に踏み込んでみた。


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by hoq2 | 2013-07-03 04:08 | 写真(Street Snap) | Trackback | Comments(0)