潮が引いた時

c0035245_1215760.jpg

東京・高浜運河 / 2009

Hasselblad 503CXi / Distagon 50mm 4,Planar 80mm 2.8

品川駅の東口を出て、海の方へ歩くと運河に行き当たる。近くに5年ほど通勤した事があった。シーバスを釣り上げようと一晩キャストし続けたがノーフィッシュだったりと、この運河には様々な寂寞感的因縁がつきまとう。

撮影時期は2009年の冬。リーマンショック華やかしき(?)頃だ。いよいよ日本も終わった、老年期を迎えたということが、実感を伴って確実視され始めたのはこの時期だと思う。世界不況の中でも、日本が頭ひとつ抜けて「終わった」ということに。

僕は不況下の東京を歩いて「これは焼け野原だ」と思った。物理的には相変わらずの近代都市で、以前に比べてくたびれた建物が目立つ程度だ。だが、町から活気が消え失せている。経済的焼け野原だと思った。

これに似た街を僕は知っている。80年代のロンドン。「英国病」と言われたあの時代、イギリス経済はどん底だった。人口は2000年代の英国バブル期の1/3だったから、もともと人口の多い東京と比べれば、人通りもまばらだった。物理的「焼け野原度」は当時のロンドンの方が上だが、東京の内情は戦後最悪期のイギリスとそう変わらないのでは、とすら思う。

そして、日本は今も悪くなる一方だ。バブル期の大潮からどんどん潮が引いていき、上げ潮になる気配はない。
c0035245_12374055.jpg

Contax G2 / Biogon 21mm 2.8

by hoq2 | 2010-11-30 12:40 | 写真(Street Snap) | Trackback | Comments(0)

ストリート・スナップ

c0035245_7231982.jpg

Greifswalder Straße, Berlin/ 2005 Contax RTS III Vario-Sonnar 28-85/3.3-4

僕にとって、写真はビジネスではない。「どうやったら金になるか」という入り口から写真と付き合いたくはない。純粋に写真が好きだからだ。結果的に「お金になっている」写真もあるが、特に最近は商品を作っているというスタンスに陥らないようにしている。以前は、営業カメラマンの「売れる写真」の撮り方を真似てみたりもした。だが、あせるとろくなことはない。人生が急激につまらなくなる。とはいえ、最初から「仕事」で撮るならば、出口では商品になっていないと困る。その場合、僕の才能と実力、社会的地位では、読者なりお客さんの目を無視するわけにはいかず、最低限の分かりやすさは担保しつつ・・・ということになってしまう。そういう写真は自分の中では純粋さを欠いている。

一方で、おそらく90年代以降の「写真家」といわれる人たちの写真(商品ではなく、作品と呼ばれるもの)のほとんどが、「ワタクシ写真」になっている。目の前の光景を撮っているのではなく、現実の何かに向かってシャッターを切っているが、実際に撮っているのは自分=ワタクシの心の内面、といった写真だ。もっと軽いところでは、友だちとか今日食べた食事とか、セルフポートレートとか、きわめて個人的な日常を素人っぽいタッチで撮る写真が乱造された時期もあった。今は本当の素人がケータイでそういう写真を撮り、ネット上に機関銃弾のように雨アラレと浴びせているので、「素人っぽい日常写真」が「アーティスト」の特権ではなくなっている。いずれにせよ、僕は、これら「ワタクシ写真」は個人的に興味がない。批判しているわけではなく、単に嗜好の問題で見るのも撮るのもあまり好きではない。もちろん、「この人のワタクシ写真は大好き」という例外はある。
c0035245_844571.jpg

東京・谷中/2006 Contax RTSIII, Flektogon 20mm 2.8

万人受けする売れる写真でもなく、ワタクシ写真でもなく。

僕が好きなのは、「目の前で客観的に展開されている光景を、ワタクシの心を交えて撮る」ことだ。なんともビミョーな隙間を見ているのかもしれない。そして、キャプションなど言葉では説明しようのない、状況説明ではない、写真でしか表現できない「絵」(言葉で表現することができないものを、ここで言葉で説明することはできない・・・)。自分で撮るのは、その中でもストリート・スナップとか街頭スナップというもので、つまり町を歩きまわって出会った光景を撮った写真。散歩のついでに、ではなく、やはり写真を撮るために歩くので、流行りの「散歩写真」とは違う。

人を絡めたストリート・スナップにはブレッソンとか木村伊兵衛とかそういう巨匠がいる。今の日本では、撮っている人はかなり少ないのではないか。個人情報の意味が取り違えられて一人歩きしているのも、その理由の一つかもしれない。ともあれ、僕は10代の頃からシツコク撮り続けている。「仕事」「金」「商品」とはまったく結びつけずに、心のままに。このカテゴリでも、気の向くまま、ちょくちょく吐き出していきたい。

by hoq2 | 2010-11-29 08:24 | 写真(Street Snap) | Trackback | Comments(0)

カテゴリ「Vanguard FP」スタート

c0035245_1144782.jpg

『Vanguard International Foods Free Paper』(Vanguard FP)というフリーペーパーの制作に関わっています。その名のとおりドッグフードの「ナチュラル・ハーベスト」とキャットフードの「カントリー・ロード」を出しているバンガードインターナショナルフーズ発行のフリーペーパーです。私は、こちらの表紙写真やフォトエッセイ、全体の企画編集などを担当しています。ブログのこちらのカテゴリでは、Vanguard FPにまつわるアレコレを不定期に書いていこうと思います。

フリーペーパーといっても、冊子形式のものではなく、新聞紙の片面大の紙を八つ折りにしたA5版のパンフレットのような体裁です。ですが、内容は企業や商品の宣伝だけを目的とした広告ではありません。普遍性のある読み物として楽しんでいただけるよう、多くがフードとは直接関係のない、動物やモノづくりにまつわる話題で占められています。だから、決して宣伝パンフレットではなく、お客さんに無料配布する読み物=「フリーペーパー」なのです。

フードの取扱店などで配布していますので、犬と猫の話題が多いですが、それだけではありません。「Hand Made」という連載では、モノ作りの原点を見直したいと、黙々と「良い物」を作ることに情熱を燃やす人々の話題を取り上げています。箒(ほうき)やリヤカーなど老舗の製品の話もあれば、船大工職人、はたまた縄文人のヤジリの話も。特集では馬の話題も取り上げています。
c0035245_1353647.jpg

c0035245_1375261.jpg

そういう記事が載ってることに「なんで?」と思う方もいるかもしれません。ですが、私はその「なんで?」が大事だと思います。商業誌によくある「〇〇マニュアル」のように、「こうなんだ」と答えを示すのは、はっきり言って楽です。でも、それでは受け手もつまらないんじゃないかと思います。一緒に考えましょう、というきっかけ作り=問題提起の媒体でありたいと思ってます。

ただし、読者に「考えて」と丸投げでは無責任ですから、バンガード社のスタッフ、私や書いている作家さんたちの中にはある程度「こうなんだ」という答えはあります。それは誌面のどこかに滲み出しているかもしれませんが、押し付けることはしていないつもりです。

また、隠す必要もないので、私個人の「こうなんだ」という思いを、あくまでここに独り言として書いておきます。

私個人のFP全体のテーマは、ズバリ「愛」です。純粋な愛。僕は決して、犬や猫を天使のような善なるものとは思いません。隣人愛などなくむしろ利己的とすら言えるし、嘘やごまかしとも無縁ではない。でも、彼らの愛情はとても深くて純粋じゃないですか。人間のオトナのような余計な混じりっけがない。人間と共にしか生きられないペットに対して、それを生み出した人間には責任があります。愛にあふれていて、それに対して純粋な彼らに、同じように純粋な愛で応える義務が、私たちにはあると思います。だから、FPではすべての記事について、犬や猫やほかの動物、そしてモノに対しても、それに寄せたり寄せられる純粋な愛情というバックボーンからはずれないように気をつけています。むしろ、それ以外には何もない。

興味のある方はバックナンバーをweb公開しています(本当は紙でみてもらいたいです。紙の誌面にしかない一覧性を意識した紙面構成なので)。
http://www.natural-harvest.co.jp/fp_index.html

by hoq2 | 2010-11-27 02:04 | Vanguard FP | Trackback | Comments(0)

3号戦車J型完成

AFV復帰一作目3号J型。日々少しずつ作業してようやく完成しました。
c0035245_18122584.jpg

50mm長砲身の3号は最も好きな戦車の一つ。スペースド・アーマーのないタイプのJ型がかっこいいですね。パンツァーグラウ時代(ドイツ軍車輌は43年春ごろからデュンケル・ゲルプ=ダークイエローが基準色になります)の長砲身、というのもポイントが高い。戦車をグレーで塗ってしまうというスタイリッシュさが大戦初期のドイツ軍の良いところだ。

長砲身砲装備の3号戦車J型(http://ja.wikipedia.org/wiki/III号戦車)はアフリカでは「マークIIIスペシャル」と英軍に恐れられたのですが、東部戦線では「時既に遅し」で強力なソ連戦車には敵いませんでした。そういう「空気が読めない」マイペースな感じが好きですね。僕は空気読むの大嫌いですから。

アフリカ軍団仕様も良いのですが、やはりグレーで塗りたかったのと、ジオラマの構想もあるのでキット付属のデカールで東部戦線で活躍した第24装甲師団(http://www.axishistory.com/index.php?id=1297)の車輌としました。東プロシアの第1騎兵師団を母体とする部隊なので、部隊マーク(フェンダー上の白いマーク)は馬をデザインしたものです。この523号車はスターリングラードでの写真が残されていますが、やはり過酷な運命をたどったのでしょうか(第24装甲師団はスターリングラードで包囲殲滅された第6軍に所属していたので、一度壊滅している)?

ジオラマは、スターリングラードに送られる前に、北フランスで待機していた頃のワンシーンを計画中。まだ実戦を経験していないので、チッピングなど派手なウェザリングはせず、仕上げも軽い新車感を出したかったので光沢強めの半光沢にしています。



ジオラマに登場予定のメンメン。搭乗員5人、ライカを手にするSSのPK隊員&同女性隊員、地元の民間人女性&同子供、グレート・デーン、Gレトリーバー(マーキング中)。やたら人数が多くなってしまった。
c0035245_1841569.jpg

by hoq2 | 2010-11-25 18:41 | 模型 | Trackback | Comments(0)

Dog Snapshot<5> 番犬

番犬
東京・新橋/ 2006
c0035245_0383757.jpg

 庭先につながれた番犬、というのは日本ではよく見られる光景である。僕も新聞記者時代、事件取材の「地取り」(警察の聞き込みのようなもの)でよく田舎の一軒家を回ったが、こうした犬たちに激しく吠えられたものだ。北海道に住む兄などは、営業で訪れた家の犬にズボンをズタズタにされたこともあったと聞く。

 彼ら、彼女らに求められているのは、ペットとしての従順さや愛嬌ではなく、部外者を撃退する警戒心と勇気である。以前取材した和歌山の山中に暮らす紀州犬の飼い主などは、不審者に噛み付いたことを自慢していたし、庭にいた蛇をくわえてぶん回したと満足げに話していたものだ。

 一方、都会では室内犬が一般化しているが、僕が暮らす東京の下町では、まだ「座敷犬」という日本的な言い方をする人が多い。小学生の頃に通っていた習字教室のヨーキー(ルリちゃん)が、その典型だ。そこはまさに座敷が教室になっていて、奥にどっかと座るおじいさん先生はいつもルリちゃんを抱いていた。生徒には容赦なく厳しい言葉を浴びせるのだが、その舌の根も乾かぬうちに膝の上のルリちゃんには「ル~リルリルリルリ・・・いい子いい子」と、犬なで声。僕の字は今でもとても下手だが、その教室では大人の二面性を学んだものだ。

 欧米人は鎖でつながれた日本式の番犬を見て「虐待だ」と言う。その是非はさておき、このガード下の飲み屋街に鎮座するコリーは、酔っぱらいの目くらいはごまかせるのだろうか?店が客を追っ払っては本末転倒なのだが、来客を歓迎しているようにも見えない、不思議な“番犬”である。

『WAN』2006.10月号掲載

by hoq2 | 2010-11-25 00:39 | 写真(Dog Snapshot) | Trackback | Comments(0)

2011アイメイトサポートカレンダー

c0035245_2241598.jpg

『アイメイトサポートカレンダー』の2011年版が販売中です。
アイメイト(盲導犬)の育成をサポートするチャリティーグッズです。収益は全額アイメイト育成団体の「アイメイト協会」へ、後援者で作るボランティア団体「アイメイト後援会」から寄付されます。写真は、後援会のメンバーの協力のもと、私が1年間かけて撮影しました。
mobilemeギャラリーに内容をアップしております。
http://gallery.me.com/hoq1#100166


また、「アイメイトの一生」と題して、アイメイトの育成過程を解説するページも設けました(2010年版は学校教材としても利用していただいております)。

(内村コースケの個人的メッセージ)

ワーキング・ドッグそのものの存在を疑問視する向きがあることは承知していますが、私は犬が人と共に生きてきた長い歴史を鑑みて、そして、なによりアイメイトたちがいきいきと明るく日々すごしている「現場」に触れ、そういった批判はごく一部の例外にしか当てはまらないと思います。むしろ、犬が「人と共に生きる」ことの代表例として、アイメイトを写真のテーマの一つにしております。

そして、これは決して「仕事を貰っているから」という営業トークでも贔屓目でもなく、「現場」にふれた実感から、多くある育成団体の中でアイメイト協会が、その実績と障害者福祉・犬への理解、それらへの哲学の点で、「国内で最も信頼のおける団体」だと私の責任において申し添えておきます。

また、カレンダー制作について、私は撮影料はいただいておりますが、収益は全額アイメイト協会へ寄付されます。売上は直接私の収入にはなりません。内村コースケの「商品」ではなく、あくまでもアイメイト育成のためのチャリティーグッズであるという点をどうかご理解いただきたく思います。視覚障害者の自立支援とアイメイトたちの充実した人生のために、ご協力ください。


<2011アイメイトサポートカレンダー>
 
(発行)アイメイト後援会
(監修)アイメイト協会
(Photos)内村コースケ
(サイズ)A4見開き
(価格)1000円

アイメイト(盲導犬)の育成資金に充てるためのチャリティー・グッズです。収益は全額
アイメイト後援会からアイメイト協会へ寄付されます。

※「アイメイト協会」=全国に9つある盲導犬育成機関の一つで、1957年に日本初の盲導犬を送り出して以来、現在までに国内で最も多い1000組を超えるペアが誕生しています。
HP http://www.eyemate.org/

<ご購入申し込み>
(電話)   03-3878-7353          
(Email)  eyemate-goods@jcom.home.ne.jp


電話またはEmailにて、アイメイト後援会・鈴木薫まで、 送付先住所・氏名、部数をお知らせください。 郵送にてお届け致します。お支払いは、同封の振込用紙にて、郵便局よりお振込ください。

by hoq2 | 2010-11-23 23:00 | アイメイト | Trackback | Comments(0)

僕が欲しい模型

オタクな話題は夜中の更新でひっそりと・・・。

 前回、僕の模型遍歴を書き、AFV(戦闘装甲車両)&ガンダムモデラーであることをカミングアウトしましたが、だからといって決して戦争を賛美しているつもりではありません。オトコのコなので戦車とかモビルスーツのような戦闘機械は単純にカッコいいと思うし、それらが活躍するWWIIヨーロッパ戦線やガンダムの「ストーリー」には、負の面を含めて教えられたり感じたりします。

 ドイツ軍が好きなのも負けた方のストーリーにより興味があるからで、政治的にナチというわけではありません。そして、戦車などの工業デザインを含め、あの時代周辺のドイツのデザインが好きだからであります。ナチス時代には不遇をかこいましたが、バウハウスデザインなんて最高ですね。

 漫画『エロイカより愛を込めて』の「9月の7日間」(http://amzn.to/dk6dE0)で、KGBの「仔熊のミーシャ」にエルアラメインで「ナチ野郎」と罵られたエーベルバッハ少佐のセリフ「俺のじいさんは国防軍だったんだ」ではありませんが、僕のドイツ軍模型はほとんど、国防軍仕様で作っております(一般的にはSS仕様の方が人気があります。カッコいいから)。

 前のこのカテゴリの記事に書いたように、僕は「現物」よりも「模型」の方が好き。だから、リアルな精密感は当然欲しいのですが、現物と寸分違わないディティールで正確な寸法でスケールダウンすることを求めるいわゆる「完全スケール派」ではありません。模型は模型、現物とは違う模型ならでは魅力が好きだから、「再現度」よりもそのもののカッコ良さ・美しさが大事。もちろん、「再現度」という要素を含んだ魅力を求めているのですが、日本のモデラーに多く見られるように、それに特化したコダワリ方はしていないということです。小学生のころ、友だちと<完全スケールVSディフォルメ><バーリンデン(ベルギーの大モデラー)VSシェパード・ペイン(アメリカの大モデラー)>でよく言い争ったのを思い出す・・・・。

 さて、模型の未来が先細りなのはあらためてここで言うまでもないですが、僕らが子供の頃のように、「誰もが一度はプラモデルを作る」という時代はとうに終わった。悪い要素はたくさんありすぎてキリがないですが、僕はいつも「模型化されるアイテムのジャンルの狭さ」を嘆いている。車・バイクを除けば、城とかマイナーアイテムは例外的にあるものの、代表的なジャンルは全部「兵器」なんですね。なんでかというと「それが売れるから」と言えば身も蓋もないのですが、「兵器」にしかユーザーが集まらない時代でもないだろう、そもそもその「兵器」のプラモが全然売れてないじゃない、とも思うのです。

 動物とか自然とか、「生きている物」は基本、プラモデルは苦手ですから、犬とかは置いておいて、街頭スナップ写真をやる僕が欲しいのは、「街」を構成するアイテムです。建物、鉄塔、下町の路地まるごと、とか。
 単品で「昭和の木造アパート」とかリアルに塗って飾るのもいいけど、この写真みたいな「路地」のジオラマとか、作りたいんです。山田卓司氏みたいなセンスも技術もない一般人でも、キットを使えばできるのではと思うのです。
c0035245_2304364.jpg


既に細々と出ている中で、「おっ」と思うものもあります。
◯「大間のマグロ一本釣り漁船第三十一漁福丸 喫水線モデル」(http://www.aoshima-bk.co.jp/kokuchi/gyosen/gyosen_1.htm
◯「1/150 団地 (ホワイト) 2棟セット」(http://www.aoshima-bk.co.jp/scripts/shouhin/shohin-shosai.aspx?cl_id=3&ot_id=22&si_id=552&code_a=08757

 こういうのを各メーカーもっと出して欲しい。来年、バンダイで東京スカイツリー出すみたいですが、そういう有名建築(同潤会アパートとか欲しいよなあ)もいいけど、上の「団地」みたいな「昭和30年代型・木造長屋」とか「郊外型建売住宅」とか、匿名の「町の建物」がいい。あくまでプラモデル(スケールモデル)でやってほしいわけで、鉄道模型のストラクチュアよりも単体の模型としてハイクオリティなものが欲しいし、建築模型のような図面を立体化したものや「フォトモ」みたいのは全然違う。で、AFVの1/35や飛行機の1/48のように各社統一スケールでこういう「平和的な模型」を出してくれれば、立体的な「街頭スナップ」がジオラマで組める。「町の人たち」のフィギュアももちろん。ああ、なんかアオシマの漁船で漁港のワンシーン作りたいね。「テトラポッド」とかあればいいね。

 バカ売れはしないだろうけど、スケールを合わせれば車模型もまだまだいけるし、「戦争」を離れれば、時代や国をまたがってテーマは無限にあると思うけど。模型をミリタリーマニアやアニメオタクのものだけにするのはもったいない。「兵器」で商売するの、もう無理じゃないですか?かのタミヤも全然元気ないしね。

by hoq2 | 2010-11-23 02:33 | 模型 | Trackback | Comments(0)

Dog Snapshot<4> 地雷探知犬

地雷探知犬
Bagram, Afghanistan /2002
c0035245_1320451.jpg

 かつては葡萄畑が広がる緑豊かな田園地帯だった。「この世の楽園」とも言われた美しい光景が絵画にも残されている。だが、今目の前に広がるのは旧ソ連製の戦車や装甲車の残骸が転がる荒野。その下には、おそらく、かなりの数の地雷が埋まっている。2002年の冬、アフガニスタンの首都カブールに向かう幹線道路で、地雷探知犬に出会った。

 「絶対にアスファルトの外には出ないで」。通訳のムスタファの注意を背に受けながら、車を降りた。この近くの廃墟で英国人ジャーナリストが地雷を踏んで亡くなった事件を知っていたから、それは十分承知していた。探知犬と処理班の兵士たちのすぐそばには、地雷で破壊されたと思われる装甲車の残骸もある。

 兵士たちが立っている場所は犬の後ろ。つまり、捜索済みの「安全地帯」だ。が、正面から写真を撮るには犬の前に行かなければならない。僕は兵士たちに聞いた。
「犬の正面から写真を撮りたいんだけど、入っても大丈夫?」
「犬が捜索を済ませた部分なら大丈夫だろう。責任は負わないが」
 
 結局、捜索済エリアのぎりぎりの淵に立って、この写真を撮った。つまり、僕はNGOが連れて来たというこの犬に命を預けたのだ。だが、今にして思えば危険を冒したのは僕ではなく、この犬である。犬の体重では対人地雷も爆発しないとのことだったが、この場に居合わせた者の中で、本当の意味で命をかけていたのは誰だろうか。

『WAN』2006.9月号掲載

by hoq2 | 2010-11-22 13:20 | 写真(Dog Snapshot) | Trackback | Comments(0)

模型遍歴

c0035245_23639100.jpg

 子供の頃から断続的に凝っているものの一つに「プラモデル」がある。10年おきに集中して作ってはやめ、の繰り返しだ。模型マニア用語で言う「出戻り」というのを繰り返しいる。ただし、僕は元来手先が器用でも造形的・絵画的素養がある訳でもなく、「モデラー」を名乗るほどのものではない。「下手の横好き」というやつだ。

 でも、「模型」というものがどうしようもなく好きである。その理由は写真が好きなのと一緒だ。現実に目の前にあるものを二次元にスケールダウンした写真同様、模型は実物の乗り物やアニメのキャラクターをスケールダウンして立体的に模したものだ。だから、写真と同じように写像である。

 写真は2D、模型は3Dの違いはあれど、絵や彫刻のように一から自分で作り上げるのではなく、カメラ/キットが道半ばまでやってくれる。決して画家や彫刻家への負け惜しみではなく、僕は自分の内面を一から形にしていくタイプではなく、「そこに既にあるもの」を感じて解釈して仕上げたり提示することが好きだ。「僕を見て」という欲求は案外薄くて、淡々としかし集中して「そこにある」ものを感じることに快感を覚える。

 一方で、「そこにあるもの」に自分・カメラ・キットというフィルターを通さねば気が済まないという面もある。フィルターを通して「現実とは似て非なるもの」になった模型や写真のほうが、現実よりも美しいと思ってしまう。だから、素晴らしい景色そのものよりも、それを素晴らしく切り取った写真の方が好きだし、実物の戦車や車にはあまり興味がなくて、上手な人が作った模型を眺めている方がずっと興奮する。

<40年の模型遍歴>
◯幼児(日本)・・・近所の模型屋に一人で行って、真っ青になって探しにきた親にロボダッチを買ってとせがむこと数回。幼稚園くらいでマッハゴーゴーのキットを作った記憶が。
◯小1〜小3(カナダ)・・・兄がヘリコプターをパクトラタミヤで塗っていたのを横で見ていた記憶。やがてモノグラム?のパットン戦車(米軍・ベトナム戦争)を作りはじめた兄に「ボクも作りたい」と言うと、「お前はドイツ軍だ」と言われるも、結局何も作らず?
◯小4〜小6(日本)・・・第一次ブーム。「お前はドイツ軍だ」の兄とは別の兄に手伝ってもらい、初めてのスケールモデル、タミヤのキングタイガー(リモコン)を作る。迷彩塗装のみ、色を塗る。その後、戦艦武蔵とか宇宙戦艦の方のヤマトを作った記憶。やがてガンプラブームにどっぷりはまり、「リアルタイプ」が出るころまでほとんど全MS/MAを作った。ガンプラでプラモ作りの基礎を身につける。このころにはプラモ仲間もできて、やがてスケールモデルの世界にも本格進出。タミヤMM中心に、やはり自分はドイツ軍、友人はアメリカ軍。HJ、PANZERなど購読。イタレリの1号戦車やモノグラムの1/32四号H型も作ったと言えば、分かる人にはどんな小学生か分かるでしょう。
◯中学(ロンドン)・・・模型友だちと離れたことと、日本よりも模型関連が入手難ということもあって、落ち着く。エアフィックスのスピットとかイギリスらしいキットなどちょぼちょぼ。塗装はもちろん、ハンブロールの筆塗り。そういえば、ボブキャットという全然乾かない水性塗料もあった。
◯高校(以後日本)・・・ほとんどやらず。写真を始めた。ポケ戦のガンプラでポリキャップを知ったくらい。
◯大学・・・まったくやらず
◯20代・・・地方勤務をしていた一時期、2年くらい集中してAFV製作。ドラゴン、エッチングパーツ、モデルカステンなどが出てきて活気づいたころ。ドイツ軍中心に結構な台数作った。WWIIドイツ軍ものの新作が出ると模型屋に予約を入れるくらい。おかげで半「積んどくモデラー状態」。ジオラマも2、3。作らなかったキットは転勤時に模型屋に引きとってもらい、その後しばらく休作。
◯30代・・・2年くらい、ガンプラの進化にびっくりしてはまる。MG初期〜中期を中心に作る。
◯最近・・・ガンプラのさらなる進化にびっくり。何体か出戻り的習作をガンプラで作り、現在AFV復帰1作目に取り組んでいる。

以上

by hoq2 | 2010-11-22 03:18 | 模型 | Trackback | Comments(0)

【Dogsnapshot Vol.3】他人(犬)の空似

他人(犬)の空似
東京・武蔵小山 + 東京・浅草
Tiergarten, Berlin + 東京・恵比寿 /2006

c0035245_19335911.jpg

c0035245_19182246.jpg

 「犬は飼い主に似る」と言うが、僕(コースケ)とほとんど同じ名前を持つ我が家のフレンチブルドッグ(ゴースケ)は、性格も嫌になるほどよく似ている。人(犬)付き合いが不器用なところや、本当は臆病なところ、街を徘徊することが三度の飯なみに好きなところなど、挙げればきりがない。ただし、コースケとゴースケは、顔はそれほど似ていない。

 世の中には上には上がいて、飼い主と顔までそっくりな犬も多い。一緒に暮らしていれば性格や態度が似てくるのは分かるが、顔が似るのは不思議だ。無意識に自分に似た犬を選んでいるのだろうか。

 ところで、僕は街に出て人間の写真もよく撮る。一期一会の通行人を絡めた街の情景、ストリートスナップというやつである。写っている人たちは、もちろん皆初対面なのだが、現像の上がった写真を眺めていると、「どっかで会ってないか?」と思うことが時々ある。そして、しばらくして過去に撮った写真を整理していると、「あっ、こいつだ!」と気づくのである。その時手にしているのは、以前街で出会った犬の写真だったりする。さらに不思議なのは、たいていの場合、顔だけでなく、写真の背景や状況まで似ていることだ。

 まあ、おそらく、ある特定の顔と状況の組み合わせが僕のセンスを刺激して、同じような写真を撮らせているのだろう。あるいは、何か「大いなる意思」のようなものが、似た顔同士の運命を結びつけているのだろうか。だとしたら、ちょっと刺激的だ。

『WAN』2006.8月号掲載

by hoq2 | 2010-11-21 19:26 | 写真(Dog Snapshot) | Trackback | Comments(0)